ECB、量的緩和のジレンマ:条約で実施困難か-追加措置必要でも

欧州中央銀行(ECB)の政策委員 会メンバーは、政策金利を過去最低水準まで引き下げてもユーロ圏のリ セッション(景気後退)深刻化に歯止めがかからず、取るべき追加的手 段に悩んでいる。

欧州連合条約(マーストリヒト条約)によって、ECBは各国政府 から国債を直接買い取ることができないほか、市場で買い入れるにして も、どの国の債券を購買対象にするのか、議論となるだろう。また、新 たな対策を講じてECBが損失を被っても、それを保証する規定がない ため、選択肢が限られる。

シティグループのユーロ圏チーフエコノミスト、ユルゲン・ミヒェ ルス氏は「問題は、ECB自体が将来講じるべき措置を分かっていない ということだ。実施可能な措置の範囲について、恐らく意見が大きく割 れているだろう」と指摘する。

危険なのは、他の中銀が政府から証券買い取りや量的緩和を許され るなかで、ユーロ圏のリセッションが深刻化しても、手段のない状況に ECBが陥ることだ。

政策金利がゼロに近づいた米連邦準備制度理事会(FRB)とイン グランド銀行は、それぞれの政府に支援を要請。米財務省はFRBのバ ランスシート拡大に向け、通常の資金調達とは別枠で財務省短期証券(T B)を発行しているほか、イングランド銀は英財務省に通貨供給量を拡 大する量的緩和の開始許可を求めた。

ユーロ圏の複雑さ

これに対し、マーストリヒト条約は欧州全体をカバーする財務省を 創設していない。条約は、危機に陥った特定国をECBが救済すること を禁じているほか、証券買い取りは流通市場で実施するよう制限を設け ている。

ECBの政策委員会メンバー、ギリシャ中銀のプロボポラス総裁は 国債購入について、各国の財政赤字をECBが直接穴埋めする措置とな る可能性があり、「ECBの規定では許されない」との見方を示した。ま た、ルクセンブルク中銀のメルシュ総裁は1月26日付の英紙フィナン シャル・タイムズ(FT)とのインタビューで、量的緩和は「一部の人 が考える以上に、ユーロ圏では複雑だ」と述べ、ECBによる国債買い 取りは可能なものの、「どの国の債券にすべきだろうか」との疑問を投げ 掛けている。

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