スイス政府のUBS顧客データ提出容認、「秘密厳守」の伝統に風穴も

大手銀行のUBSが顧客情報の詳細 を米税務当局に引き渡すことを認めたスイス当局の異例の決定は、秘密 厳守を強みとしてきたスイス銀行業界への打撃となりそうだ。

ベルン大学のピーター・V・クンツ教授(企業法)は「この展開が、 壁に風穴を開けてしまう可能性がある」として、「米国の要請に屈した ことは、他の諸国や欧州連合(EU)に対してシグナルを送ることにな る。各国やEUが米国と同じ行動を取るのを阻止する方法が見当たらな い」と話した。

スイスの金融市場監督当局は18日、UBSが米国で訴追されること を避けるため、一部顧客のデータを米当局に引き渡すことを認める決定 を明らかにした。

スイスはドイツなど各国から、銀行の秘密厳守に関する1934年来の 法律の改正を求められている。EUの欧州委員会は今月、EU域内で匿 名銀行口座を廃止することを提案した。この措置はスイスとリヒテンシ ュタインにも拡大される可能性がある。

ロンドンのシティー大学カス経営大学院で金融学を講義するディル ク・ニーチェ氏は「スイス銀行界の秘密厳守の伝統は、今から2、3年 後には今日の形では残っていないだろう」と話している。

顧客情報の秘密厳守はスイスの銀行業の要だ。スイス銀行協会によ れば、世界のオフショア資産の27%前後はスイスの銀行に預けられてい る。脱税は、米国では犯罪だがスイスの法律では犯罪とはみなされてい ない。

しかし今後は、米国の成果を見た「他の諸国の税務当局がスイスに 対する要求を強めるだろう」とサンフォード・C・バーンスティーンの アナリスト、ディルク・ホフマンベッキング氏はリポートで指摘した。

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