月例報告:景気は急速な悪化続き厳しい状況-5カ月連続下方修正(2)

与謝野馨経済財政担当相は19日夕、 2月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。景気の現状は「急速な 悪化が続いており、厳しい状況にある」との認識を示し、5カ月連続で 基調判断を引き下げた。月例経済報告で「厳しい」という表現を使うの は2002年8月以来。個別項目では個人消費と輸入の判断を引き下げた。

今月の月例報告は、景気が引き続き下降している方向感を示した「悪 化」と、生産活動が低水準となり企業部門の悪化が家計にも波及してい る経済状態の悪さを示した「厳しい」という2つの表現を併用したこと が特徴。基調判断の5カ月連続の下方修正は、01年2月から6月までと 並ぶ過去最長となる。

判断引き下げの材料の1つとなった個人消費については「緩やかに 減少している」とし、前月の「このところ弱含んでいる」から2カ月連 続で下方修正。今回の景気後退期でも比較的堅調だった個人消費につい て「減少」という表現を使うのは初めて。雇用不安があり賃金上昇が見 込めない中、飲食代や家電、自動車、衣服などの支出が減少している。

与謝野経財相は会議後の会見で、「通常、個人消費は不況に強いが、 今回は消費自体にも影響が出始めたことは、十分注意しながら政策をす る必要がある」との考えを示した。また、1-3月期の国内総生産(G DP)については「民間の意見では楽観的なことを言う人は一人もいな い」と指摘した。

さらに、経財相は兼任する金融相の立場として会議の席上、「銀行が やや消極的になっている。金融仲介機能を果たすように働き掛けたい」 と述べたことを紹介した。

月例報告では輸入については、内需の低迷を反映し、前月から「緩 やかに」を削除し「減少している」に変更。生産の急速な落ち込みに伴 い部品の輸入なども減少しているため、2カ月連続で判断を下げた。生 産については「極めて大幅に減少している」と前月の判断を踏襲。10- 12月の鉱工業生産指数(確報)は前期比12.0%低下と過去最大の下落と なった。

昨年10-12月期の日本のGDP1次速報値は前期比年率12.7%減 と、第1次石油危機直後の1974年以来、約34年ぶりの減少率となった。 与謝野経財相は同統計後の会見で、「戦後最大の経済危機だ」との認識を 示した。ホンダの福井威夫社長は、ブルームバーグ・ニュースの取材に 対し、1ドル=90円台の円高水準が続けば日本の輸出産業の競争力が保 てず、日本の景気後退が長引くとの見通しを示した。

景気の下押しリスクを警戒

2月の月例報告では、先行きについては、前月同様「当面悪化が続 くとみられる」とし、「急速な減産の動きなどが雇用の大幅な調整につな がることが懸念される」と指摘。さらに「世界的な金融危機の深刻化や 世界景気の一層の下振れ懸念、株式・為替市場の変動の影響など、景気 をさらに下押しするリスクが存在する」との警戒感を維持した。

海外経済では、米国、アジア、欧州のすべて判断を下方修正した上 で、世界経済について、「景気は後退しており、急速に深刻化している」 と判断を引き下げた。また先行きについては「金融危機と実体経済の悪 循環がさらに強まり、一段と下振れするリスクがある」とした。

内閣府の林伴子参事官(海外担当)は、昨年10-12月期は9月のリ ーマン・ブラザーズの破たんに伴い、金融セクターの信用収縮や貸し渋 りが実体経済に波及したのに対し、今年1月以降は実体経済の不振が金 融セクターに再び波及する「悪循環のスパイラルが始まった」との認識 を示した。さらに「欧州でも同じことが起きている」と説明した。

一方、林参事官は中国については、景気は一段と減速しているが、 中国当局による4兆元に上る景気刺激策の効果が昨年10月ごろから表 れ始め、鋼材在庫数量の減少に寄与している可能性を指摘した。

--共同取材 小松哲也, 北村真樹子 Editor:Masaru Aoki,Hitoshi Ozawa

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