日銀口座に円転資金が1兆円超-東京市場の外銀取引は急速に縮小

日本銀行の当座預金に滞留する外国 銀行の資金が膨らんでいる。ドルを円に一定期間交換する為替スワップ 取引で調達した資金を、安全かつ確実に0.1%の利息が稼げる日銀口座 で運用しているためとみられる。こういった資金は1兆円を超えており 、短期資金を貸し借りする東京インターバンク市場の取引が減少してい る背景にもなっている。

日銀が公表した1月の業態別の当座預金残高によると、外銀が法定 以上に準備預金を積み上げた超過準備額(平均残高)は前月比2800億円 増の1兆1580億円まで膨らんだ。預金の少ない外銀が本来必要な所要準 備額は300億円弱で、大幅な余剰資金を抱えている。

外銀の超過準備額を見ると、昨年前半は1000億円以下で推移してい たが、「リーマンショック」が生じた9月に3166億円に急増。日銀が口 座利息と政策金利を同じ0.1%にした12月は8780億円まで膨らんでい た。

ABNアムロバンクの永井伸マネージングディレクターは、「為替 の円転が効くのなら、無担保コール取引に頼らず、日々の資金を多めに 抱えて、最終的には日銀に積む外銀が増えている」という。

薄れる外銀の存在感

為替スワップ取引でドルと円を1カ月程度交換した場合、円の調達 コストはゼロ%から若干のマイナス金利になるという。このため、ドル に余裕がある一部の外銀は為替スワップ取引を通じて円資金を調達し、 無担保コール市場では本来、資金の出し手に回っているはずだが、大方 の資金は日銀口座にとどまっている。

日銀が公表した1月のコール市場残高によると、外銀による無担保 コール調達の平残は前月比3655億円減の4350億円だった。これはリー マンショック前の昨年8月(4兆7515億円)の10分の1以下。全体の コール取引残高も5年超ぶりの水準に落ち込んでいる。

これまで東京市場の外銀は円を調達してドルなど外貨に交換し、外 貨資産投資の資金繰りを助ける「円キャリートレード」の中心だった。 しかし、世界的な金融市場の混乱が金融機関のリスク許容度を低下させ、 東京市場の外銀の存在感は薄れている。

現金抱え込みで流動性低下

ABNの永井氏は、「日銀の付利で外銀のスタンスが変わった」と いう。欧米の金融不安が根強いなか、日銀口座に予備的資金を抱えれば、 安全に利息も稼げる。「リスク資産であるインターバンク取引や長めの 運用はほとんど手を出さない」(永井氏)という。

三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長は、金融機関の バランスシート(貸借対照表)における現金比率が高まっていると指摘 する。「どんなに利益が出る取引があっても、今はリスクを取らない。 損をしないことに精一杯だ」という。

1月の超過準備額(平残)は全体でも3兆2000億円と高水準で、外 銀以外にも幅広い業態で余剰資金が抱え込まれている。日銀口座の付利 は、その動きを促す要因になっている。

国内大手銀行の資金担当者は、東京市場の外銀は「撤退」に近く、 短期市場や債券市場の資金の流れが減る要因にもなっているという。三 井住友海上の高野氏は、「日銀がいくら資金を供給しても、銀行で資金 が止まり、結局は日銀に戻ってしまう」と指摘する。

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