10-12月期実質GDPは12.7%減、第1次石油危機以来の減少率(3)

昨年10-12月期の日本の国内総生産 (GDP)1次速報値は前期比年率12.7%減と、第1次石油危機直後の 1974年以来、約34年ぶりの減少率となった。昨年10月以降の輸出の急 減を受けた企業部門の不振が家計部門にも波及し、異例の速さで日本経 済が収縮したことが浮き彫りになった。1-3月期もマイナス成長の見 込みで、日本経済は当面、下降局面が続く見通しだ。

内閣府が16日発表した四半期別国民所得統計によると、10-12月 期の実質GDPは前期比3.3%減だった。マイナス成長は3四半期連続。 輸出は前期比13.9%減と過去最大の落ち込みを記録。輸出から輸入を差 し引いた外需の成長率への寄与度もマイナス3.0%と過去最大のマイナ スとなった。内需の柱の一つである民間設備投資は前期比5.3%減と4 四半期連続で減少し、GDPの6割近くを占める個人消費も同0.4%減 少した。住宅投資は同5.7%増加した。

10-12月期の減少率は、四半期ベースで74年1-3月期の前期比 年率13.1%減に次ぐ過去2番目の大きさ。サブプライム(信用力の低い 個人向け)住宅ローン問題に端を発した米国発の金融危機については、 当初日本への影響は限定的との見方もあったが、輸出を成長の源泉とし てきた日本経済の脆弱(ぜいじゃく)性が、円高の進行とともに一気に 表面化した格好だ。

主要国・地域では、金融危機の震源地である米国の10-12月期の実 質GDPは季節調整済み年率で前期比年率3.8%減少した。また、ユー ロ圏(15カ国)の同期の実質GDP速報値は前期比1.5%減、年率換算 で6%前後の減少と、少なくとも過去13年で最大の落ち込みとなった。

戦後最大の経済危機

 与謝野馨経済財政政策担当相は16日午前、昨年10-12月期のGD P統計発表後の記者会見で、世界経済の急減速の直撃を受けて自動車な どの「輸出の猛烈な落ち込みがあった」ことを挙げ、「戦後最大の経済危 機だ」との認識を示した。内閣府の大脇広樹国民経済計算部長は記者説 明で、大幅な落ち込みの要因について、「世界的な景気の減速が日本の輸 出を直撃した」と述べ、「円高も日本の輸出にとって逆風だった」との認 識を示した。

マネックスの村上尚己チーフエコノミストは発表後、「世界同時不況 の深刻化を背景に、自動車・ハイテクを中心とした輸出が急降下した」 とした上で、「これだけで、今回のGDPの大幅な落ち込みの70%前後 に相当する」と説明。「1-3月GDPも大幅なマイナス成長となるのは 避けられず、09年度GDP成長率がマイナス2%を下回るリスクが高ま っている」との見方を示した。

大和住銀投信投資顧問の大中道康浩チーフエコノミストはブルーム バーグテレビジョンに出演し、「欧米と比べても日本の景気の悪化のスピ ードは非常に速い。これは輸出主導で成長してきた日本経済の、ある意 味で構造的欠陥を示している」と述べ、「今のモメンタムは1-3月期も 続いていくと思うので、引き続き二けたに近い前期比年率のマイナスに なる」との見方を示した。

ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査(対象26人)による と、10-12月期の実質GDPの予想中央値は前期比3.1%減、年率換算 では前期比11.6%減だった。

円の対ドル相場は午前11時12分現在、1ドル=91円63銭前後。 発表直前は同91円73銭前後だった。日経平均株価の午前の終値は、前 週末比16円37銭安の7763円03銭。債券先物市場の中心限月(3月限) は小幅安(利回りは小幅上昇)で推移している。

デフレーター、98年以来の上昇

10-12月期の内需の成長への寄与度はマイナス0.3%となった。名 目成長率は前期比1.7%減、年率換算では6.6%減となった。年率6.6% 減は98年1-3月期(7.7%減)以来過去2番目の下落率となった。名 目成長率が4四半期連続でマイナスとなったのは今回が初めて。一方、 名目成長率が実質成長率を上回るのは06年10-12月期以来、8四半期 ぶりとなった。

名目GDPを実質GDPに変換する際に用いられる物価指数である GDPデフレーターは、原油価格下落などによる輸入物価の下落や円高 が寄与し、前年同期比 0.9%上昇と98年1-3月期以来43期ぶりに上 昇に転じた。

第一生命経済研究所の新家義貴主任エコノミストは、「これは原油価 格下落や円高に伴って輸入デフレーターが前年比11.7%減(7-9月期 同17.4%増)と急低下したことを反映したものであり、デフレ脱却を示 すものではない」と強調。その上で「実際、外需の影響を除いた国内需 要デフレーターは前年比0.4%増と、7-9月期の同1.4%増から伸び率 が大きく縮小している」と指摘した。

プラズマテレビ国内3位のパイオニアは12日、今期(09年3月) の業績予想を下方修正するとともに、世界で1万人の従業員を削減する などのリストラ策を発表。日産自動車は9日、世界的な自動車販売の急 減や円高進行などを理由に、今期(09年3月期)の連結純損益予想を従 来の1600億円の黒字から2650億円の赤字に修正したと発表した。

1-3月期

みずほ証券エクイティ調査部の飯塚尚己シニアエコノミストは統計 発表後、「辛うじて戦後最悪のマイナス成長は避けられた形だが、08年 10-12月期法人企業統計季報(公表予定3月5日)の結果次第では、二次 速報段階でのGDPが戦後最悪の記録を塗り替える可能性も否定できな い」との見方を示した。

ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎主任研究員は09年1-3月期につ いて、「年明け以降も輸出、生産の急減には歯止めがかかっておらず、1 -3月期も前期比年率10%前後のマイナス成長となることが予想され る。この結果、08年度の実質GDP成長率は3%近いマイナスとなるこ とが見込まれる」としている。

政府経済見通しの08年度経済見通しの実質経済成長率のマイナス

0.8%程度を達成するには、残る1-3月期に前期比5.6%程度(同年率

24.2%程度)の成長が必要となり、実現はほぼ不可能な状況だ。

また政府は1月に09年度の経済成長見通しについて、物価変動の影 響を除いた実質でゼロ程度とし、生活実感に近い名目ではプラス0.1% 程度とすることを閣議決定した。内閣府は、昨年8月末以降に政府が打 ち出した3度の経済対策(事業規模75兆円、財政支出12兆円)による GDP押し上げ効果は1%程度と試算している。

一方、08年暦年の実質GDPは前年比0.7%減と、99年以来9年ぶ りのマイナス成長になった。また名目GDPは前年比1.6%減と03年以 来5年ぶりのマイナスだった。

内閣府の外郭団体、社団法人・経済企画協会が10日発表した民間エ コノミスト38人対象のESPフォーキャスト調査(回答期間1月26日 -2月2日)によると、09年度の実質成長率の予想平均はマイナス

2.58%(前回調査マイナス1.19%)、名目でマイナス2.40%(同マイナ ス

0.99%)とマイナス幅が拡大している。

--共同取材 亀山 律子 林 純子 小松哲也 Editor:Hitoshi Ozawa Masaru Aoki

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