経済対策:株価押し上げ効果は小さいが傷も小さい、モルスタ証神山氏

政府の総合経済対策は、株価の押し上げ 効果は小さいが、その分あとの傷も小さくなる――。モルガン・スタンレー証 券の神山直樹ストラテジストは、きょうにも公表される政府・与党の総合経済 対策に対し、このような見方を示した。その上で、銀行や陸運、消費関連など のセクター選択には一時的に影響する可能性があると予想する。

株価に直接影響する対策について神山氏は、①証券優遇税制などの株式減 税、②企業の海外における内部留保を国内に還流させる企業減税、③中小企業 向け金融支援や定額減税などの消費関連、という3つの分野に大きく分類する。

このうち、株式減税の配当課税優遇や高齢者優遇制度は規模が小さい上、 「税制という敷居を低くしても、投資先である家の魅力がなければ結局マネー は入ってこない」(同氏)ため影響はないとし、ネット証券や中小証券など一 部でポジティブに認識される可能性がある程度という。企業減税についても、 日本での投資対象が見当たらない以上、資金還流にはつながらず、マクロへの 影響はないだろうと見る。

消費対策の効果は短期的

一方、対策の柱である中小企業向け金融支援や消費関連については、農林 水産業への補助金や高速道路の料金引き下げなどは農林水産株や陸運株など一 部の業種にプラスだと指摘。定額減税は個人消費株に影響するほか、中小企業 に対する資金繰り支援は、「本来は銀行が支払うべき貸倒引当金を国が代わり に払う格好になる」(神山氏)として銀行株、特に地方銀行株にとってポジテ ィブだと予測する。

もっとも、現在の消費低迷の原因は、所得の上昇期待が少ないことにそも そも起因すると神山氏は分析。このため、「一時的補助金は支出の穴埋めに使 われ、消費拡大効果は持っていない」(同氏)とし、効果が短期的にとどまる だろうと見ている。

非効率拡大リスク

神山氏によると、90年代に行われた過去の経済対策は、株価が5分5分で プラスに働いているケースもあるそうだ。ただ、景気刺激策で株価が一時的に 上昇した場合でも、その後は一段の安値を割り込む結果になっていると指摘。 対策が大型になるほど、「あとの経済の非効率が拡大するリスクも頭に入れな ければならない」と警告する。

市場では、今回は事業規模で10-12兆円、財政支出を伴う真水で1-2 兆円程度が有力視されている。神山氏は「規模は小さめだが、赤字国債を減ら したいという考えは長期的に適切だ」とし、株式市場のセンチメント改善に役 立つのがベストシナリオだという。その点で、定額減税は赤字国債の大規模発 行につながる大きなものなら直接的に株価にネガティブ、小さいものなら株価 にニュートラルと見ていた。

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