7月の国内経済指標:消費者物価が16年ぶりの伸び、生産・雇用は停滞

29日午前発表された7月の国内経済指標は、 エネルギー・原材料高などを受けて物価上昇が一段と加速し、消費を抑制する 一方、世界経済の減速を背景に生産や雇用が停滞していることを示した。全国 消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の上昇率は消費税率引き上げの 影響を除くと約16年ぶりの高い伸びとなり、景気がさらに落ち込むリスクが高 まっている。

7月の全国コアCPIは前年同月比2.4%上昇(前月は1.9%上昇)と10 カ月連続プラスで、消費税率引き上げの影響を除くと1992年6月以来の高水準 となった。8月の東京都区部コアCPIは同1.5%上昇(同1.6%上昇)。食料 (酒類除く)とエネルギーを除く「米国型のコア指数」は7月の全国が同0.2% 上昇、8月の東京都区部も同0.2%上昇だった。

大和総研の熊谷亮丸シニアエコノミストは「所得が伸びない中で物価が上 昇し、家計の購買力や消費者マインドを悪化させる『悪い物価上昇』が加速し ている」と指摘。「国内景気が後退する中で、当面、物価上昇が継続する」と予 想する。

ただ、原油価格など国際商品市況が足元下落基調に転じたこともあり、コ アCPIがこのまま一本調子で上昇していくとの見方は少ない。三井住友アセ ットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストは9月分以降のガソリン価格 の低下を予想した上で、「昨年後半のガソリン価格は上昇傾向だった反動も出て、 秋以降の消費者物価の前年同月比は伸び率が鈍化する可能性が高い」とみる。

生産はプラスに転じるも一過性

一方、生産指標は、7月の鉱工業生産指数(季節調整済み)が前月比0.9% 上昇と、市場予想に反して2カ月ぶりのプラスとなった。ただ、前月に大幅に 減少した反動増で輸送機械、電気機械などの生産が増えたのが要因で、今回の 上昇は一過性との見方が有力。経済産業省は「総じてみれば、生産は弱含みで 推移している」との基調判断を据え置いた。

同時に発表された8月の製造工業生産予測指数は前月比2.9%の低下、9月 は3.4%上昇。同省調査統計部の志村勝也経済解析室長は記者説明で、8月、9 月の予測がそのまま実現すると仮定した場合、7-9月期は前期比0.5%減と3 四半期連続でマイナスになるとの試算を示し、先行きについて「少なくとも良 くなるという感じは持てない」との認識を示した。

7月の雇用指標は、完全失業率(季節調整済み)が4.0%と前月から0.1ポ イント改善した一方で、有効求人倍率(季節調整値)は0.89倍(前月は0.91 倍)と6カ月連続で低下し、2004年10月(0.89倍)以来の低水準となった。 同倍率の1倍割れは8カ月連続。

7月の完全失業者数は256万人と4カ月連続で増加したものの、増加幅が 22万人増と前月に比べて2万人減少したことが失業率の小幅低下につながった。 総務省は「改善ではなく横ばい」としており、企業収益の鈍化が鮮明となるな か、依然として厳しい雇用状況が続いている。

家計の消費支出は5カ月連続減

個人消費関連は、7月の家計調査で2人以上の世帯の消費支出が前年同月 比0.5%減と5カ月連続で減少。7月の商業販売統計では、7月の大型小売店販 売額は既存店ベースで同0.7%減少する一方、小売業販売額は前年同月比1.9% の増加と12カ月連続のプラスとなった。

小売業販売額の増加は、猛暑で飲料やエアコン、冷蔵庫などの販売が好調 だったほか、原油高を背景に燃料小売業が引き続き販売額を押し上げたのが要 因。経産省の小林真一郎産業統計室長は記者説明で、季節調整済み前月比では 横ばいになっている点を指摘した上で、「総合的に勘案した上で、前月に引き続 おおむね横ばい』の判断を維持する」と述べた。

--共同取材:日高正裕、伊藤辰雄、下土井京子、亀山律子 Editor:Hitoshi Ozawa、 Masaru Aoki

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