スクエニ:テクモに友好的TOB提案-9月4日までの賛同前提(5)

ゲームソフト開発メーカーのスクウェ ア・エニックスは29日、同業のテクモ取締役会に対し株式公開買い付け(T OB)を提案したと発表した。TOB価格は1株920円で、同社の株式総数の 過半数を取得する計画。欧米を中心に海外ゲーム市場で人気タイトルを有する テクモをグループ企業とすることで世界的なゲームソフトメーカーとしての基 盤を一段と強化する狙い。

買い付け価格の920円は29日の終値に対し、14%のプレミアム。TOB 成立の株式数の下限は、発行済み株式総数に新株予約権等の潜在株を加えた完 全希釈後の株式総数の過半数で上限はない。ブルームバーグ・データによると、 テクモの時価総額は196億円。

TOBは9月4日までにテクモ取締役会から賛同の意見表明が得られるこ とが前提。同日までに回答がない場合や賛同が得られない場合はTOBを行わ ない予定。

ただ、スクエニの和田洋一社長は、今回のTOBについて、同日午後、帝 国ホテルで会見し「まず友好的なTOBの提案から入るのが筋」とし、テクモ の対応次第では今後、別の対応も検討する可能性を示唆した。TOBが成立し た場合でも、テクモのブランドは維持し、新たに10月に誕生する持ち株会社、 スクウェア・エニックス・ホールディングスの傘下企業の1つと位置付ける方 針。

スクエニは「ファイナルファンタジー」や「ドランゴンクエスト」などの 人気タイトルを有する大手開発メーカー。テクモはアクションゲーム『NIN JA GAIDEN』などの人気タイトルを、米国市場を中心に世界的に販売 しており、中国でもオンラインゲーム『DOA ONLINE』を開発、サー ビスを年内に開始する予定。

和田社長「100%の株式取得が望ましい」

和田社長は、今回のTOBについて、「両者が席について実務的な話し合 いをやりたい。具体的な展開はそこからだ」と述べたが、特に海外での販売チ ャンネルで両社が協力することで、世界規模でゲーム事業を拡大させることが 可能になるとの見通しを示した。

一方、テクモの経営首脳陣をめぐっては、ソフト開発の中核を担う「Te am NINJA」のゲーム開発責任者の板垣伴信氏が退社し、会社を提訴。 また6月中間業績を発表した8月20日に安田善巳前社長が突然辞任し、会長 だった柿原康晴氏が9月1日付で社長を兼任する人事を発表するなどの事態に 陥っていた。

和田社長は今回のTOBに関連して「テクモの安田前社長の辞任が間接的 な要因」の一つであるとしたうえで、「テクモのブランドは継続して、グルー プ企業として海外の流通面でお手伝いできることがある」との考えを示した。 さらにスクエニ・グループとしては「収益拡大につながり、開発段階で相互に 刺激を与えるなどシナジー(相乗)効果も期待できる」と語った。株式取得の 見通しについては「持ち株会社としては100%の取得が望ましいが、最低過半 数は必要だ」としている。

スクエニの和田洋一社長は2月1日のブルームバーグ・ニュースとのイン タビューで、新たなM&A(企業の合併・買収)を中核に据えた成長戦略を推 進する方針を明らかにしていた。2001年に旧スクウェアの社長に和田氏が就任 して以来、03年にスクウェアとエニックス、05年にタイトーと、ほぼ2年で 1回のペースでM&Aを実施し、タイトーを軌道に乗せたとし、同社長は新た なM&Aの実施について示唆していた。また資金調達についても「いつでも出 動できる資金が手元に約1000億円ある」と語っていた。

新光証券の企業投資調査部、小林雄一シニアアナリストは、「テクモが世 界展開するうえで、経営の混乱や開発リーダーだった板垣氏の不在を、スクエ アがバックに付くことで担保することにつながる」と語った。

スクエニの株価終値は前日比90円(2.6%)高の3610円、テクモはスト ップ高(値幅制限いっぱいの上昇)の同100円(14%)高の806円。

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