3メガ銀がコモディティ事業を強化-三井住友はバークレイズと連携も

3大メガバンクが商品(コモディティ)事 業を強化する。未曾有の原材料高が企業収益を圧迫するなか、価格リスクを回 避するためコモディティ・デリバティブ(金融派生商品)への関心が高まって いるためだ。三井住友銀行が資本関係のある英バークレイズとの連携で検討に 入ったほか、三菱東京UFJ銀行は専門の担当者を倍増して取り扱い商品の拡 大に意欲を示す。

三井住友銀はことし7月、バークレイズに約1000億円出資し業務提携を締 結。コモディティ分野でも「互いにメリットのあることで何かできないか話し 合いをしている」(藤田伸一コモディティーズグループ長)という。非鉄関連に 強みを持つなどコモディティ分野に力を入れているバークレイズグループが活 用する海外先物市場でヘッジ(保険つなぎ)手段の提供を受けるなどして顧客向 け商品の新たな開発につなげたい考えだ。

同行はことし4月、商品開発など事業強化のため5人から構成されるコモ ディティーズグループを新設。7月にはコーヒークリーム大手のメロディアン (大阪府)に原料となるパーム核油の価格高騰リスクを限定する商品を販売し た。マレーシアのパーム油相場は3月に史上最高値を記録。メロディアンは昨 年10月に販売価格を10-20%引き上げ、16年ぶりの値上げを迫られていた。

企業側の関心は大企業から中小企業にまで広がっている。三菱東京UFJ 銀は7月、東京、大阪などでコモディティ・セミナーを開催。参加企業は400 社弱と昨年に比べ倍増したという。前年度下期にはコモディティ専門の営業担 当者を6人へと倍増させた。市場営業部デリバティブ営業推進グループコモデ ィティラインの田中正章上席調査役は「現在はエネルギーや非鉄関連が主軸だ が穀物やガスなども将来的に取り扱いを検討する」と語る。

三菱UFJ証券のロンドン現地法人が海外先物市場でのコモディティのト レーディングを手がけており、銀行と証券のグループ間連携でポジションをヘ ッジすることでデリバティブの提供につなげている。みずほコーポレート銀行 もロンドンに人員を配置し、欧米の商品先物市場でトレーディングする体制を 整える。

3メガバンクのコモディティ事業の取り組みについて、クレディ・スイス 証券の伊奈伸一アナリストは「商品価格の先行きに不透明感はあるがビジネス としては重要。法人向け手数料ビジネスの収益が落ち込むなかで各行とも強化 することが課題となっており、力を入れていく分野だろう」と指摘する。

関心が高まりつつあるとはいえ、実際に契約を結ぶ企業が急増しているわ けではない。みずほ総合研究所の長谷川克之市場調査部長は「一般論として慣 れていないコモディティ・デリバティブに対する慎重な対応は十分考えられる。 しかし、商品市況の乱高下が繰り広げられるなかでリスク管理のひとつのツー ルとしては有効。時間はかかるかもしれないが市場は拡大していくだろう」と の見方を示す。

銀行は金利、為替に次ぐ品ぞろえとしてコモディティのヘッジ商品の提供 に注力する。金融庁は年内に銀行グループに商品の現物取引を解禁する方針で 規制緩和によって取引の自由度は増す。一方で競合する大手商社や外資系証券 などが取り組みを強化しているほか、野村証券もコモディティ分野に本格参入 した。競争環境が厳しさを増すなか、顧客ニーズにきめ細かく対応できるかが 今後のカギとなりそうだ。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE