7月の鉱工業生産は2カ月ぶりプラス-「弱含み」判断据え置き(2)

7月の日本の鉱工業生産指数は、輸送機械、 電気機械などの生産が増え、2カ月ぶりの上昇となった。世界経済の減速や原 油高などを受け国内景気が停滞する中、今回の上昇は一過性との見方が有力で、 経済産業省も「総じてみれば、生産は弱含みで推移している」とし、基調判断 を据え置いた。

同省が29日発表した7月の鉱工業指数速報(季節調整済み、2005年=100) は前月比0.9%上昇した。ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査の予想 中央値は同0.3%の低下だった。同時に発表された8月の製造工業生産予測指数 は前月比2.9%の低下、9月は3.4%上昇だった。

政府は8月の月例経済報告で、「景気はこのところ弱含んでいる」に基調判 断を下方修正し、4年8カ月ぶりに「回復」の表現を削除した。生産指数が1― 3月に続いて4-6月期も2四半期連続で低下したことを受け、景気は既に後 退局面に入ったとの見方が広がっているが、その期間や度合いを占う上で生産 と輸出の動向が引き続き焦点となっている。

大和総研の熊谷亮丸シニアエコノミストは発表後、「単月では上昇した格好 だが、これは貿易統計の輸出数量が単月で上昇したことと連動している」とし た上で、「輸出環境は悪化しており、生産も傾向的には下方トレンド上で推移す るとみられる」と述べた。

鉱工業生産発表後のドル円相場は円が小幅上昇、午前9時58分現在、1ド ル=109円31銭で推移している。債券相場は小動き、日経平均株価は同時刻現 在、前日比195円89銭高の1万2964円14銭となっている。

3四半期連続マイナスの可能性

同省調査統計部の志村勝也経済解析室長は記者説明で、8月、9月の予測 がそのまま実現すると仮定すると、7-9月期は前期比0.5%減と3四半期連続 でマイナスとなるとの試算を示した。志村室長は、先行きについて「少なくと も良くなるという感じは持てない」と述べ、欧米向け自動車輸出の動向やコス ト増加に伴う企業収益の悪化が生産活動にどう影響するか注視する必要がある と述べた。

三菱総合研究所の酒井博司主席研究員はブルームバーグテレビジョンに出 演し、7月の鉱工業生産が市場予想を上回ったことについて「一時的な動き」 と指摘、「基本的には生産活動、企業行動は慎重化しており、弱含み傾向に変更 はない」と述べた。その上で、「単月でみると、改善したと見られなくもないが、 ある程度期間をもってみると、出荷、在庫のバランスが悪化していることは変 わっていない。当面、減産傾向が続く」と予想した。

同氏はまた、電子部品・デバイスについて「生産、出荷ががなり減ってい る。在庫も減っているが、これは一時的な流れとして在庫調整の動きが続いて いる」とし、情報通信機器も「在庫がかなり積み上がっており、全体的に縮小 している」と述べた。

--共同取材 鎌田泰幸 Editor:Hitoshi Ozawa、Masaru Aoki

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 伊藤辰雄 Tatsuo Ito +81-3-3201-3655 tito2@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net 東京 David Tweed +81-3-3201-2494 dtweed@bloomberg.net

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