7月の雇用情勢は足踏み、失業率は小幅低下も有効求人倍率は悪化(2)

7月の国内雇用指標は、完全失業率が小幅 低下する一方、有効求人倍率は6カ月連続で低下した。同倍率の1倍割れは8 カ月連続。世界経済の減速とエネルギー・原材料価格の高騰を背景に企業収益 が鈍化するなか、企業の採用姿勢には慎重さが見られ、雇用情勢は厳しい状況 が続いている。

総務省が29日発表した労働力調査によると、7月の完全失業率(季節調整 済み)は4.0%と、前月から0.1ポイント低下した。男女別では、男性が4.0% と前月から0.2ポイント低下し、女性は3.9%と0.1ポイント低下した。また、 厚生労働省が発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は0.89倍と、前月か ら0.02ポイント低下した。これは2004年10月(0.89倍)以来の低い水準。

7月の就業者数は6406万人と前年同月比52万人減少し、6カ月連続の減 少。7月の完全失業者数は256万人と4カ月連続で増加。前年同月に比べて22 万人増加したものの、前月の24万人増に比べて増加幅が2万人減少したことな どから失業率が低下した。総務省は「改善ではなく横ばい」としている。

完全失業者数を理由別でみると、「自己都合」が前年同月比9万人増、「新 たに収入が必要」が8万人増だった。また全人口に占める就業割合を示す就業 率は58.0%と同0.5ポイント低下。産業別就業者数は建設業で同0.4%、製造 業で同2.8%、運輸業で同1.2%それぞれ減少した。

政府の8月の月例経済報告は雇用情勢について、前回6月の完全失業率の 上昇などを受け、「厳しさが残る中でこのところ弱含んでいる」とし、判断を6 カ月ぶりに下方修正した。6月の毎月勤労統計調査(確報値)も、景気動向を 反映する製造業の所定外労働時間(残業時間)が前年同月比4.4%減と3カ月連 続で減少、景気後退色の強まりを裏付けるものとなった。

第一生命経済研究所の中本泰輔エコノミストは発表前のリポートで、「雇用 者数はほぼ横ばい圏内で推移するなかで失業者数は増加傾向にあり、失業率も 悪化している。景気の減速を受けて企業は雇用に対して慎重姿勢を強めている」 とした上で、先行きも引き続き弱含みの展開になるとみている。

ブルームバーグ・ニュースがエコノミストを対象にした調査によると、完 全失業率の予想中央値は4.1%、有効求人倍率は 0.91倍だった。

消費支出は減少/増加

一方、総務省が同日発表した家計調査は、2人以上の世帯の消費支出が前 年同月比0.5%減の29万8366円と、5カ月連続で減少した。ブルームバーグの エコノミスト調査の予想中央値は同1.8%減だった。

消費支出で減少に寄与した項目は、家賃・地代、贈与金などの交際費、携 帯電話や固定電話の通信料など。一方で、外壁工事費などの設備修繕・維持、 宿泊料などの教養娯楽サービスなどが増加に寄与した。

原油や食料品など生活必需品の相次ぐ値上げで個人消費は勢いがない。4 -6月期の実質GDP(国内総生産)一次速報値では個人消費が前期比0.5%減 と、7四半期ぶりのマイナスとなった。8月の月例経済報告は個人消費につい て、「おおむね横ばい」としているが、与謝野馨経済財政政策担当相は「上より もむしろ下を向いた横ばい」と説明している。

モルガン・スタンレー証券の佐藤健裕チーフエコノミストは統計発表前、 「天候不順による夏物商材の不振という特殊要因があるものの、インフレで消 費者の実質所得が伸び悩むなか、個人消費は減少傾向にある。景気の減速感が 広まるにつれ、消費行動は慎重化しており、持ち直しの兆しが見えない」と指 摘した。

--共同取材:亀山律子 Editor: Hitoshi Ozawa、Masaru Aoki

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