米民主党オバマ氏が指名受諾演説:「新・アメリカの約束」堅持を公約

米民主党から大統領候補指名を受けたバラ ク・オバマ上院議員(イリノイ州、47)が、28日夜(日本時間29日午前)コロ ラド州デンバーのフットボールスタジアム「インベスコ・フィールド」で指名受 諾演説を行った。

演説の中でオバマ候補は、現政権の「ほころびた政策」を立て直し、政策 綱領「新・アメリカの約束」を堅持していくことを公約した。オバマ候補は27 日、正式に民主党から指名を獲得。主要政党からの指名を獲得した初めての黒人 となった。

オバマ候補はスタジアムに集まった約7万5000人の支持者に向け、「今こ の瞬間、この選挙は、21世紀に新・アメリカの約束を守り継いでいく好機だ」 と訴えた。「われわれは、この国を非常に愛しており、過去8年間のような状況 をまた4年間繰り返すのは耐え難いとの思いから、今この場所に集っている」と 述べた。

オバマ候補は、ケニア人の父親と米カンザス州出身の白人の母親に言及し、 「米国では、自分たちの息子は全力を傾ければいかなることも達成への道は開け ているとの信念を両親は持っていた」と語った。

民主党員は、この演説に高い期待を抱いていた。2004年の民主党全国委員 会(DNC)でのオバマ氏の基調演説が、同氏の指名獲得に弾みをつけたといえ るからだ。オバマ候補は今回の受諾演説を、自らの人となりをより広く国民に浸 透させる機会ととらえると同時に、共和党の候補指名を確実にしているジョン・ マケイン上院議員(アリゾナ州、71)より、自らが米国を率いるリーダーにふ さわしいと主張する場にした。

オバマ候補は演説の中で、マケイン候補とブッシュ現大統領との結びつき を指摘。ブッシュ政権の「破たんした政策」が米労働者の富を減らしたと批判し た。また、労働者世帯と小規模企業を対象とした減税の実施と、今後10年で中 東原油への依存から脱却を図る考えを示した。

スタジアムを埋めた支持者

オバマ候補は演説の冒頭で、最後まで指名を争ったヒラリー・クリントン 上院議員(ニューヨーク州)に対し、「両者の娘に良い刺激を与えた」と語り、 謝意を表した。

スタジアムには、演説開始の数時間前から支持者が続々と集まった。オバ マ候補は演説会場をスタジアムに決定した理由を、「変革は底辺から始まらな ければならず」、できるだけ多くの支持者に集まってもらうためと説明してい た。この会場選定についてはマレイン陣営が、オバマ候補は政治のリーダーと いうより「セレブ」であると批難する材料を与えるリスクもあった。オバマ氏 は演説原稿の中で、「マケイン候補が考えるセレブの暮らしというものがどん なものであるかは分からないが、これが自分流だ」とかわした。

さらに共和党がオバマ候補に対し、米軍を率いる最高司令官としての資質 について疑問視している点については、「責任を持って」イラク戦争を終結さ せると公約する一方で、「米国を防衛する上で決して躊躇(ちゅうちょ)はし ない」と述べた。

同候補は「われわれはルーズベルト元大統領を輩出した党だ」と語り、 「ケネディ元大統領も民主党の出身だ。従って、民主党は米国を防衛しないと 言ってもらいたくない。民主党は国民の安全を守ってくれないとは言わないで ほしい。ブッシュ大統領やマケイン議員の外交政策は、過去に2大政党が構築 してきた遺産を無駄にするものであったが、われわれはそれを修復する」と語 った。

さらに演説の中で、現在の国民の苦境を詳細に説明して新たな方向性を打 ち出し、共和党の経済政策を批判した。

また、マケイン候補がブッシュ政権の政策に9割賛成してきていることに 言及し、同候補とブッシュ大統領との結びつきの深さを強調した。マケイン議 員は来週、共和党から正式に党指名を獲得する予定だ。

オバマ候補の登壇前にはゴア前米副大統領が登場し、2000年の大統領選挙 でブッシュ候補(当時)を自分が破っていれば世界は変わっていただろうと述 べて、万雷の拍手を浴びた。ゴア前副大統領は、オバマ候補は正しい道を指し 示していると支持を表明。「われわれに投げ掛けられている問いは、この変革 のチャンスをつかむかどうか、というものだ」とし、「この機をとらえ、オバ マ大統領を誕生させなければならない」と訴えた。

受諾演説の前には歌手のジェニファー・ハドソンさんやシェリル・クロウ さん、スティービー・ワンダーさんらが歌や演奏で華を添えた。