7月のコア消費者物価は前年比2.4%上昇-約15年半ぶりに大台乗せ

【記者:日高 正裕】

8月29日(ブルームバーグ):7月の全国の消費者物価指数(除く生鮮食品、 コアCPI)上昇率は、エネルギー・原材料価格の高騰や食料品などの値上がり を受けてさらに加速し、消費税率引き上げの影響を除くと、1992年12月以来約 15年半ぶりに2%の大台に乗った。物価上昇が消費者のマインドの悪化を通じ て個人消費を抑え、景気がさらに落ち込むリスクが高まっている。

総務省が29日発表した7月の全国コアCPIは前年同月比2.4%上昇と10 カ月連続でプラスとなった。8月の東京都区部コアCPIは同1.5%上昇した。 ブルームバーグ・ニュースがまとめた予想中央値は、全国コアCPIが同2.3% 上昇、東京都区部コアCPIが同1.7%上昇だった。前月の全国コアCPIは同

1.9%上昇、東京都区部コアCPIは同1.6%上昇だった。

アールビーエス証券の山崎衛チーフエコノミストは統計発表前、「コアCP Iは7月にも2%超えとなりそうだ。足元で原油価格は調整しているものの、水 準はなお高く、7-9月から10-12月にかけて2%超えが続く」と指摘した。 UBS証券の前川明エコノミストは統計発表前、「コアCPIは7-9月に

2.5%弱の水準でピークに達するだろう。その後は石油関連製品による物価上昇 圧力は後退する見込み」と指摘していた。

CPI総合指数は7月の全国が同2.3%上昇。8月の東京都区部は同1.3% 上昇した。前月はそれぞれ同2.0%上昇、同1.6%上昇だった。食料(酒類除 く)とエネルギーを除く「米国型のコア指数」は7月の全国が同0.2%上昇。8 月の東京都区部は同0.2%上昇した。前月はそれぞれ同0.1%上昇、同0.3%上 昇だった。

上昇率はやがて鈍化か

日銀の白川方明総裁は19日の定例会見で「物価上昇率は、これまでゼロ% 近辺だったものが最近2%間近になり、来月以降は2%台に乗ってしばらく2% 台で推移するとの見通しがある。これは従来なかったものなので、やはり注意が 必要だ」と述べた。8日発表された景気ウオッチャー調査は、スーパーの店長な ど景気の動きを肌で感じやすい職業に就いている人の現状判断が4カ月連続で悪 化して過去3番目に低い水準になるなど、消費マインドは急速に悪化している。

ただ、原油価格など国際商品市況が下落基調に転じたこともあり、コアCP Iがこのまま一本調子で上昇していくとの見方は少ない。白川総裁は「エネルギ ー・原材料価格の上昇がずっと続くという強い仮定を置かなければ、やがては前 年比でみた上昇率は下がってくることになるので、私どもとしては、2次的効果 が起こるかどうかを注意してみていく必要がある」と述べた。

2次的効果とは、エネルギー・原材料価格の高騰が企業や家計のインフレ予 想を押し上げることによって賃金・物価が一層上昇することで、1970年代の第 一次石油ショック時はそうした2次的効果が顕著に物価を押し上げ、いわゆる狂 乱物価となった。白川総裁は19日の会見で、2次的効果を左右する賃金につい て「上昇率は少し弱含んでおり、どんどん上がっていく状況ではない」と指摘。 その上で「2次的な効果が現在発生しているとは判断していない」と述べた。

2%を超えても現状維持

白川総裁は7月18日の講演で、エネルギー・原材料価格の上昇という、い わゆる供給ショックに対する金融政策運営の対応について、先進国中央銀行間で 共有されている基本的な考え方を紹介した。第1に、供給要因に基づく輸入コス トの一時的な上昇に対しては、金利引き上げで抑え込むことは適切ではないこと。 第2に、インフレ予想の上昇などを通じて2次的効果が発生する恐れがある場合 は、金利引き上げで対応すべきである、というものだ。

コアCPI上昇率は日銀が物価安定の理解として示している「0-2%」を 超えてきた。しかし、アールビーエス証券の山崎チーフエコノミストは「日銀は 足元の物価情勢について、供給ショックと需給動向による影響を慎重に見極める 必要とのスタンスを示しており、コアCPIが2%超で推移しても、それが日銀 の政策スタンスの変更に即座につながるとは考えていない」としている。