債券は堅調、年限長期化の買いや入札順調で―須田日銀委員講演(終了)

債券相場は堅調(利回りは低下)。前日の 米国債市場を受けて買い先行で始まった。その後も、月末接近で、投資家から保 有債券の年限を長期化させる買いが入ったほか、この日実施の2年債入札が順調 な結果となったことも好感された。一方、日本銀行の須田美矢子審議委員の講演 での発言の影響は限定的だった。

みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は、「信用不安や流 動性リスクに対する警戒感があり、安全性の高い国債への資金流入が続いている。 月末なので年限長期化の買いもある。金融政策での利上げ封印長期化、下期の需 給などを考慮すれば、一進一退ながらも金利は低下方向とみている」と語り、今 秋に10年債利回りは1.3%台に低下すると予想している。

東京先物市場の中心限月9月物は、前日比10銭高の138円18銭で寄り付い た。その後は、買い優勢の展開となり、2年入札結果が良好なことが判明すると、 午後2時6分ごろに日中高値138円48銭まで上昇した。取引終盤には上げ幅を 縮め、午後2時半ごろに138円16銭まで伸び悩んだ。結局、17銭高の138円25 銭で引けた。9月物の日中売買高は2兆2049億円。

10年債利回りは1.415%まで低下

現物債市場で新発10年物の295回債利回りは、前日比0.5ベーシスポイン ト(bp)低い1.425%で寄り付いた後、若干水準を切り上げ、1.43%をつけた。そ の後は徐々に水準を切り下げ、午後2時前には1.5bp低い1.415%に低下した。 3時40分過ぎからは1.42%で推移している。

超長期債相場が堅調。新発20年債利回りは3bp低い2.12%、新発30年債 は3bp低い2.32%に低下している。毎月、月末日にかけて、指数対比で運用す る年金基金などの投資家が保有債券の平均残存期間(デュレーション)を長期化 するための買いを現物債に入れることから、需給が改善するとみられている。

一方、前回入札された2年物の271回債利回りは、一時0.72%まで上昇し た後、午後に水準を切り下げ、0.5bp低い0.705%で推移している。

国際投信投資顧問円債運用グループリーダーの加藤章夫氏は、新発10年債 利回りは3月に、米国の金融不安と日本の景気悪化を材料に1.2%台前半まで低 下したが、現在は国内景気が当時よりも悪いか、今後悪くなるという認識なので、 低下余地はあると指摘する。「基本的には1.4%台前半で推移するだろうが、1 週間のレンジで見ると1.4%割れもあり得る」と語った。

2年債入札結果は順調

財務省がこの日実施した表面利率(クーポン)0.7%の2年利付国債(272 回債、9月債)の入札結果は、最低落札価格が99円93銭、平均落札価格は99 円93銭6厘。最低落札価格は、予想中央値(99円92銭5厘)を上回った。最 低と平均落札価格の差である「テール」は6厘となり、前回債の2厘から若干拡 大、応札倍率は3.85倍と前回債の3.30倍から上昇した。

モルガン・スタンレー証券債券ストラテジストの伊藤篤氏は、「クーポンは 引き下げられたが、利回り曲線上で割安とみられ、しっかりだった」と述べた。

日本相互証券によると、この日入札された2年債(272回債)利回りは、業 者間取引において、0.735%で寄り付いた。その後は、0.72-0.735%のレンジで 推移した後、午後3時50分前後は0.725%で取引されている。

須田日銀審議委員、インフレリスク強調

須田日銀審議委員は、金沢市内で会見し、金融政策運営について、「物価安 定の下での持続的な成長パスへの蓋然(がいぜん)性にある程度確信が持てれば、 それなりの行動を取る必要がある」と述べ、景気の下振れリスクが低下すればで きるだけ速やかに金利を引き上げたいとの考えを示した。

伊藤氏は、「タカ派的だったが、インフレの2次的波及はみられないとも発 言しており、大筋では変わらない。金利先物相場で戻り売りや利益確定売りが出 たが、金利上昇を目指して売っていくことは考えにくい」と語った。

BNPパリバ証券エコノミストの丸山義正氏も、「自ら不確実性が高いと認 める現状において、インフレリスクの重要性をあえて強調し、タカ派的な側面を のぞかせている」としながらも、「先週の金融政策決定会合後に公表された声明 や白川方明総裁の会見におおむね沿ったものであり、特段のサプライズ(驚き) はない」と分析した。

経済指標や総合経済対策に注目

あす29日は重要な経済指標や総合経済対策の発表が注目を集めている。ブ ルームバーグ・ニュース調査によると、7月の全国消費者物価指数(CPI)コ ア指数は前年比2.3%上昇、8月の東京都区部コアCPIは同1.7%上昇へと伸 び加速が見込まれている。前月は全国コアCPIが前年比1.9%上昇、東京都区 部コアCPIが同1.6%上昇だった。

一方、7月の鉱工業生産は前月比0.3%減少、家計調査消費支出は前年比

1.8%減少が予想されている。

総合経済対策に関しては、「相場が比較的高値圏にいられるのは、実際に財 政出動を伴う『真水』の額としては2兆円以下で、事業規模が8-10兆円であ っても、実際の追加的な国債発行は1兆円程度というのが市場におけるコンセン サスだからだ。真水の額が2-3兆円以上になると一時的に影響が出てくる」 (加藤氏)などの声が聞かれた。

--共同取材:進藤優  Editor:Hidenori Yamanaka,Hidekiyo Sakihama

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