7月の鉱工業生産は2カ月連続低下へ-コアCPIは2%台乗せに(2)

7月の日本の鉱工業生産指数は2カ月連続 の低下が見込まれる一方、同月の全国の消費者物価指数(除く生鮮食品、コア CPI)上昇率はエネルギー・原材料高の高騰や食料品などの値上がりを受け て、消費税の影響を除いて1992年12月以来約15年半ぶりに2.0%の大台に乗 る見込みだ。

経済産業省は29日午前8時50分、7月の鉱工業生産指数(速報)を発表 する。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査では、鉱工業生 産指数(季節調整済み、2005年=100)の予想中央値は前月比0.4%低下、前年 同月比では0.6%上昇がそれぞれ見込まれている。

政府は8月の月例経済報告で、「景気はこのところ弱含んでいる」に基調判 断を下方修正し、日本銀行も8月の金融経済月報で、足元の景気について「停 滞している」に下方修正した。足元の日本経済は、鉱工業生産が2四半期連続 でマイナスとなるなど景気後退色が一段と強まっている一方で、原油高・食料 価格高などの影響で消費者物価が急上昇。物価上昇がマインドの悪化を通じて 個人消費を抑え、景気がさらに落ち込むリスクが高まっている。

みずほ証券の清水康和シニアマーケットエコノミストは、「4-6月期まで は従来の後退期に比べて緩やかな落ち込みにとどまっており、今後、低下ペー スが加速してくるかに注目」としている。6月の生産指数(確報)は前月比2.2% 低下し、4-6月期は1-3月期に続いて2四半期連続のマイナスとなった。

過去の経緯からみると、生産指数が2四半期連続で低下すれば、「例外なく 日本経済は景気後退局面に入っている」(野村証券金融経済研究所の木内登英チ ーフエコノミスト)。バブル経済崩壊後の企業による過剰な債務・設備・雇用が 解消されていることから、今回の景気後退の度合いは深刻化しないとの見方が 有力だが、後退期間がどの程度になるかは海外要因に左右されそうで、戦後の 平均である16カ月程度で終わるかどうかは不透明だ。

前月比プラスの予測も

一方、生産指数の関連指標である7月の大口電力使用量が前年同月比6.5% 増加したことなどを受け、7月の生産指数が前月比でプラスになるとの見方も ある。ただ、HSBC証券の白石誠司チーフエコノミストは7月が仮にプラス となっても、「生産・輸出のトレンドは年末に向けて下降方向にあることに変わ りはない。同時に公表される8、9月の予測指数で、7-9月期の生産が3期 連続の前期比マイナスとなる可能性がある」と厳しい予測を立てている。

また、みずほ総合研究所の草場洋方シニアエコノミストは「IT(情報技術) 関連や鉄鋼、化学などが減産となる一方、自動車輸出が増加した輸送機械工業 などが生産を押し上げたもよう」と述べている。

コアCPI、15年半ぶり2%の大台に

一方、総務省は29日午前8時半、7月の全国コアCPIと8月の東京都区 部コアCPIを公表する。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト 調査の予想中央値は、全国コアCPIが前年同月比2.3%上昇、東京都区部コア CPIが同1.7%上昇と、いずれも前月(同1.9%上昇、同1.6%上昇)を上回 るとみられている。

12日発表された7月の国内企業物価指数は前年同月比7.1%上昇と、前月 (同5.7%上昇)から伸びがさらに加速し、81年1月(同8.1%上昇)以来27 年半ぶりの高い伸びとなった。モルガン・スタンレー証券の佐藤健裕チーフエ コノミストは「輸入食料品高騰を背景に加工食品の上昇傾向が続いており、最 終消費財への価格転嫁が緩やかながら進んでいる。7月のコアCPIも引き続 き伸びが加速し、前年比2.3%程度と2%の大台を超える」と予想する。

景気は停滞、回復は後ずれ

日本銀行は19日開いた金融政策決定会合後に公表した声明で、足元の景気 は「エネルギー・原材料価格高や輸出の増勢鈍化を背景に停滞している」とし て、前月の「さらに減速している」から下方修正した。20日公表された8月の 金融経済月報では、輸出、設備投資、生産の判断を下方修正したほか、個人消 費についても「雇用者所得の伸び悩みや石油製品・食料品価格の上昇などから、 弱めの動きとなっている」として、前月から判断を引き下げた。

12日発表された7月の全国消費動向調査では、今後半年間の消費者の購買 意欲を示す消費者態度指数(一般世帯)が2カ月連続で過去最低水準を更新し た。「生活必需品を中心にインフレ圧力が高まっており、消費者マインドが急速 に悪化している」(大和総研の熊谷亮丸シニアエコノミスト)。白川方明日銀総 裁は19日の定例会見で「経済が大きく落ち込む可能性は小さい」としながらも、 成長経路に復する時期は「足元が停滞している分、先ずれしている」と述べた。

日銀はコアCPIの先行きについて「エネルギーや食料品の価格動向など を反映し、当面上昇率がやや高まった後、徐々に低下していく」(8月の金融経 済月報)とみている。ただ、同時に「エネルギー・原材料価格の動向に加え、 消費者のインフレ予想や企業の価格設定行動の変化など、上振れリスクに注意 が必要」(19日の声明)としており、先行きはなお不透明だ。

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