郵船:6年で700億円の環境投資-新日石と共同で太陽電池自動車船

【記者:松井博司】

8月26日(ブルームバーグ): 国内最大手の海運会社、日本郵船と石油元売 り最大手の新日本石油は26日、太陽電池で発電した電力を船の動力に活用する実 証実験を共同で始めると発表した。郵船は今後6年間で700億円の環境関連投資を 行い、新エネルギーによる運航への移行を進める。2013年までに同社のCO2排出 量を最低10%削減し、50年には半減させる計画だ。

実証実験は郵船が三菱重工業に発注し、12月に完成する自動車運搬船で始める。 甲板に太陽電池を貼り付け、発電した総発電量40キロワットの電力を船内の生活 用の電力のほか、エンジン制御にも利用する。推進力への太陽光発電の活用は世界 初の試み。システムは新日石が設計、荷主であるトヨタ自動車も実験に協力すると いう。

実験に期限は設けないが、高波で潮をかぶった場合の塩害の影響などを確かめ、 「できれば甲板の面積が広いタンカーなどにも応用したい」(日本郵船・宮原耕治 社長)考え。郵船では電子制御ディーゼルエンジンの導入や今回のような省エネ運 搬船の新造船、生態系に悪影響を及ぼすといわれるバラスト水対策などで、6年間 に700億円の環境投資を行う「環境特命プロジェクト」を4月に立ち上げた。

今回の太陽光パネル設置の船の他、エネルギー消費を半減できる自動車運搬船 や30%改善できるコンテナ船も2010年完成予定で既に発注。船底に泡を発生させ、 泡の上をすべるように航行して10%の省エネ効果が期待されるプラント運搬船も 10年に完成する。郵船では2020年には保有船舶の半数を燃料電池やバッテリーな ど非エンジン系の動力で運航し、50年には全てエンジン以外の動力に切り換えてい く方針だ。

国際海運業界では国境がないことから京都議定書の枠外で、独自にCO2削減 の議論が行われている。その半面、日本の海運会社はこぞって船隊規模拡大をひょ うぼうし、CO2排出量はますます増えていく見通しだ。自動車船の実証実験もコ スト負担の割りに微々たる電力しか得られないが、「自助努力をしていかないと、 CO2規制で他の業界と一緒されてしまって、生き残れない」(宮原社長)可能性 があるとの危機感から、郵船で環境関連投資に動き出した。