クラレ社長:太陽電池フィルムに注力-原油高で需要拡大見込む(2)

液晶ディスプレーパネルに使うPVAフィル ムで世界トップのクラレの伊藤文大社長は26日、都内で会見し、太陽光発電パネ ル向けのフィルム事業を一段と強化・加速する方針を表明した。原油価格の高騰 などで太陽光発電関連市場が世界的に拡大していることから、液晶用フィルム事 業などに続く同社の大きな収益の柱に育てる考えだ。

伊藤社長は、同社の生産するPVBフィルムの新規用途開拓について、従来 の太陽光パネルのフィルムより耐久性に優れているとし、「この分野は全社を挙 げて一気かせいにやりたい。新しい中期経営計画の完成を待たず取り組みを本格 化させる」と述べた。原油価格高騰に伴い代替エネルギーの機運が盛り上がるな かで、世界的な需要拡大が見込める太陽光発電パネル向けのPVBフィルム事業 で「シェアを取りにいくつもりだ」との考えを示した。

PVBフィルムは自動車や建築向けのガラスが主流で、同社は建築向けガラ スでは、世界シェア2位で4割を占めている。同社はすでに、ことしから新規用 途として太陽光発電パネル向けのフィルム外販を開始している。会見に同席した 同社の澤田献三常務は、「太陽光発電は、半導体や液晶に続く大きな事業に発展 する」として、同社の出荷量についても、「すぐに数千トンの水準に達するだろ う」との見方を示した。

原油高による業績予想修正は否定

伊藤社長は2009年3月期の通期業績予想については、「原油高で70億円か ら100億円程度の一段のコストアップが見込まれる」との通しを示した。しかし 同社長は、化学各社が原燃料価格の高騰に伴う経費増加により業績予想を引き下 げる動きが相次いでいるなか、このレベルのコスト増は追加値上げと経費削減で 乗り切れるとし、通期業績の修正については、現状では考えていないと語った。

伊藤社長は世界的な事業展開における生産拠点の設置については、自前か合 弁が簡単ではあるものの、「従業員の採用や教育、販売先の確保などを考えると 買収が一番よいと思う」との認識を示し、「M&A(企業の買収・合併)は積極 的に行いたい。2000億円程度の予算枠は獲得できる」として、「常に対象につい ては検討している」との考えを明らかにした。

同社は2010年3月期から始まる新中期経営計画について、9月から本格的な 策定に入り年度末には発表する予定。新中計の重点項目には、伊藤社長は、原油 1バレル当り200ドルの水準にも全事業部門が対応可能であること、2016年3月 期に売上高1兆円への道筋を付けること、の2点を意識した計画を策定する方針 だと説明した。

クラレの株価終値は、前日比21円(1.9%)高の1127円。