ユーロ・商品人気終えんで09年はドル復権、中期的円安を予想-BOA

ユーロは対ドルですでに天井を打ち、商品 ブームも終えんを迎えて、2009年はドル復権の年になる――。バンク・オブ・ア メリカグローバル為替・金利・商品戦略部の藤井知子日本チーフエコノミスト 兼ストラテジストはまた、円は「借り入れ通貨」としての地位が確立しており、 期待金利差やリスク許容度に左右されやすいながらも、中期的には円安が続く とみている。

藤井氏は25日、都内で開かれたフォレックスセミナーで08年後半から09 年の為替相場見通しについて講演。そのなかで、藤井氏は、ここにきて想定し ていたよりも早くドルが上昇したため、向こう数カ月はもみ合いとなるが、来 年にかけては米国の経済や資産市場がどん底から立ち直っていくことにより、 ドルは回復し、対ユーロでは09年6月末で1ユーロ=1.41ドル、その後もさら にドル高・ユーロ安が進むとの見方を示した。

また、ドル・円は08年9月末が1ドル=108円、12月末が110円と現状の 水準からそれほど変わらないが、来年はさらに円安となり、09年6月末は113 円を予想。藤井氏は、円の場合、低金利通貨で資金を借り入れ、高金利通貨で 運用する「キャリートレード」ブームで、株が上がれば投資家のリスク許容度 が高まり円安になるという構図が定着しているため、キャリートレードの巻き 戻しなど後向きの要因で一時的に円が上昇することはあっても、「日本買い」 がおこる理由は何もなく、今後、円が2ケタ台に上昇することはない、と述べ た。

米国は年内低迷、年末以降利上げへ

藤井氏は、世界的な景気減速で商品ブームは終わりを迎えつつあるとはい え、「財政出動により中国経済がハードランディング(景気失速)を回避し、 なんとか持ちこたえることにより、商品市況もある程度下げ止まることができ る」と指摘。原油相場については、春先から過大評価されていた部分の調整が 終わり、「ここから先は今の水準からそう大きく変わらず、レンジで推移する との前提」が妥当とした。

米国経済については、貸出基準の厳格化などの影響で年内は低迷が続くが、 低迷脱出のカギとなる住宅価格については、中古住宅需要に下げ止まりの兆し も見えており、来春ごろには状況が改善し始めると予想。その上で、インフレ 率は米連邦準備制度(FED)の許容範囲を超えており、実質金利もすでにマ イナスとなっているため、米金融当局は早ければ08年の年末以降に金融引き締 めに動くという。

米国の「双子の赤字」については、米国債の保有を外国人に依存している 点が問題となっているが、景気回復局面では株式や社債に資金が入ってくるた め、経常赤字のファイナンスに関してはあまり悲観していないと語った。また、 秋には大統領選が行われるが、インフレや住宅金融公社の問題が残るなか、仮 に民主党が政権をとっても、金融市場の不安定化につながる可能性がある「ド ル安政策」を採用することはできないと強調した。

「日本買い」の円高はない

藤井氏は、ユーロ圏景気はかなりの大幅減速となるが、ドイツの賃金イン フレも残るため、欧州中央銀行(ECB)による利下げはないと予想。一方、 英国については、利下げ再開時期の予想を来年2月から今年11月に前倒しし、 最終的には3.5%まで大幅に金利を引き下げるとの見通しを示した。

日本経済については、交易条件の悪化と海外景気の減速の影響で、小幅な 後退局面に入り、年内いっぱいは低迷が続くが、日本銀行は内外景気が立ち直 れば、インフレに対応するため、来年7月にも利上げに動くと予想。

その上で、藤井氏は、「日本は人口が減っていくし、政府も成長力を高め るような政策をとっていないので、何ら『日本買い』で資金が入ってくる理由 はない」といい、「95年に70円台を付けた時が円のピークで、これから先、同 じところに戻ることはないだろうし、戻るべき理由もない」と語った。

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