キリン:豪乳業2位デアリーF買収、総額840億円-海外基盤強化(4)

酒類を主力とし清涼飲料、食品、医薬事業な どを展開するキリンホールディングスは25日、オーストラリア乳業2位のデアリ ー・ファーマーズ(豪州シドニー市)を買収すると発表した。買収予定総額は有 利子負債を含め約840億円(約8億8400万豪ドル)。

人口減少で国内市場が伸び悩むなか、キリンはアジア・オセアニアでの事業 拡大を目指しており、昨年にはオーストラリアの乳製品・飲料最大手ナショナル フーズ(同メルボルン市)を約2940億円で買収したばかり。デアリー・ファーマ ーズも傘下に入れ、同国最大手の地位をさらに堅固なものにし、海外事業の基盤 を盤石にする。

子会社のナショナルフーズ(同メルボルン市)が同日デアリー・ファーマー ズの買収で基本合意し、全発行済み株式取得に向けた優先交渉権を持った。買収 にはデアリー・ファーマーズ株主の75%以上の承認が必要で、最終的に買収が完 了するまで約3カ月かかる予定。デアリー・ファーマーズのチーズ事業は、豪ワ ーナンブールチーズ&バター社(同アランスフォード市)と合弁会社を設立する ことで合意した。業績に与える影響は現時点では未定で、確定次第開示する。

新生証券の宮川淳子シニアアナリストは「キリンがアジア、オセアニアでの 事業基盤を強化するのに、オーストラリアは生産・物流拠点として良い場所。原 材料価格が高騰するなか、規模を拡大してコスト削減を図ることもできる」と述 べている。

キリンは今月4日、アジア・オセアニアを中心とした飲料・酒類事業への投 資を模索し、2012年末までに約3000億円を買収などに充てることを表明。海外 売上高比率も15年に約30%(07年実績は19%)へ高める目標を掲げており、豪 州での基盤強化で海外展開を進展させる。

アジア・オセアニアの基盤強化

今回の買収によって、キリンはナショナルフーズで安定的な生乳調達による 収益性の向上、全乳製品カテゴリーで強力なブランドを獲得することによる販売 拡大が期待できるほか、調達、生産、販売のあらゆる面でのシナジー(相乗効 果)を実現できる、としている。

デアリー・ファーマーズは牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品の製造・ 販売を行い、約2000軒の酪農家で構成された協同組合組織。売上高(07年6月 期末時点)は約1116億円、営業利益は約28億円。オーストラリア国内に12の工 場を持つ。ナショナルフーズも同国内に19工場、ニュージーランドに1工場、マ レーシア、インドネシアにも各2工場を保有する。

デアリー・ファーマーズのロブ・ゴードン最高経営責任者(CEO)は同日 行われた電話会議で、不採算事業の売却やコスト吸収などが奏功し、08年6月期 の利益は25%伸びると説明したほか、同社の株主はキリンの買収提案を支持する だろうとの見通しを示した。

今回の買収案件に関する財務アドバイザーは、キリン側がマッコーリー・キ ャピタル・アドバイザーズ、デアリー・ファーマーズ側はゴールドマン・サック スJBウェア。