トヨタ:16年ぶり国内販売価格値上げ、人気のプリウスや商用車限定

自動車販売で世界2位のトヨタ自動車は25 日、国内で販売するハイブリッド車「プリウス」や小型商用車などを9月1日か ら値上げすると発表した。鉄鋼をはじめとする原材料費の上昇を国内でも転嫁す る。ただ、国内需要そのものがピーク時の7割程度にまで縮小していることから、 世界的に受注残を抱えているプリウスや、他社が先行値上げしている小型商用車 に限定して値上げする。

トヨタは一連の原材料高を受け、すでに米国など海外で価格転嫁している が、国内で既存車を値上げするのは16年ぶりとなる。またトラックメーカーが 商用車の国内価格を7月から順次値上げしているが、乗用車ではトヨタが初めて。 値上げするのはメーカー希望小売価格で、改定率はプリウスおよびスポーツ型多 目的車「ハリヤー」のハイブリッドモデルがそれぞれ3.0%、ダイナなど商用車 が平均2.0%となっている。ハイブリッド仕様を除くハリヤーや、2月に全面改 良した小型商用車「タウンエース/ライトエース」は据え置く。

国内乗用車メーカーの先陣を切ってトヨタが値上げに踏み切ったことについ てクレディ・スイス証券の遠藤功治リサーチアナリストは「海外で先行して値上 げした際の為替水準から円安方向に振れており国内価格と釣り合わなくなってき たため」とした上で、値上げの対象が限定的だったことから「第2、第3の値上 げが今後あり得る」との見通しを示した。

鉄鋼などの原材料費の上昇は企業努力を上回るペースで進んでおり、トヨタ の第1四半期(2008年4-6月期)ではお家芸とされてきた原価低減効果を100 億円上回る規模になった。またホンダは期初に通期(2009年3月期)で740億 円とみていた原材料費の上昇による影響を2000億円程度にまで増額修正した。

しかし、国内市場そのものは安易に値上げできる状況にない。今年上半期 (1-6月)の新車総販売台数は前年同期比2.0%減の278万6170台で、1984 年同期実績(278万9154台)とほぼ同水準。ピーク時の90年上半期実績(393 万4432台)から比べると29%の落ち込みとなる。

このため日産自動車のカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)は6月に 横浜市内で開いた株主総会で値上げについて「日本も例外ではない」としながら も、「マーケットリーダーが動かない限り単独でやるのは難しい」との考えを示 していた。しかし、トヨタの値上げ対象車種が極めて限定的となったことで、他 社は対応に苦慮しそうだ。日産は25日、ブルームバーグ・ニュースの取材に対 し、国内での価格改定について「我々も鋼材使用量の大きい商用車の値上げを検 討している。詳細が決まり次第発表する」(広報・CSR部、米川満氏)とコメ ントした。

25日のトヨタの株価終値は前週末比140円(2.9%)高の4910円で、昨年末 の終値から19%下げた水準となる。