短期市場:L-T格差が1年ぶり低水準、外銀の調達プレミアムは縮小

短期金融市場では、ユーロ(オフショア) 円3カ月物のLIBOR(ロンドン銀行間貸出金利)とTIBOR(東京銀行間 貸出金利)の格差が約1年ぶりの低水準となっている。米連邦準備制度理事会 (FRB)が潤沢なドル資金を供給するなか、為替スワップを使ってドルから円 を調達した場合の円転コストの低下がLIBORを押し下げているためだ。結果 的に外銀の調達プレミアム(上乗せ金利)が縮小する形となっている。

21日のLIBORとTIBORの3カ月物の格差は前日比0.187ベーシス ポイント縮小の0.02428%と、2007年8月1日(0.02318%)以来の低水準にな った。サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題に端を発した金融 市場の混乱が始まる同年8月9日以前の水準に戻った。

邦銀の調達コストを反映するTIBORに対して、外銀の調達コストを反映 するLIBORの低下が急速で、外銀プレミアムは急速に縮小している。LIB ORの3カ月物は過去1カ月間で4.3ベーシス低下、6カ月物は6.6ベーシス低 下している。

みずほ銀行市場営業部金利トレーディングチームの安西文博調査役は、「サ ブプライム問題の長期化でLIBORは高止まりとみられていたが、ドル需要の 影響で為替スワップを使うと外銀は政策金利0.5%以下で短い資金が調達できる ようになっている」と指摘する。

外銀が提示する円のLIBORは、ドルの調達コストから為替スワップを通 じて逆算される場合が多い。FRBが積極的な資金供給オペを継続するなか、欧 米金融機関は期間の長いターム(期日)資金を早めに手当てして資金繰りを安定 化させており、手元のドルにも余裕を持たせているもようだ。

背景には邦銀の円投も

ドルに余裕のある欧米金融機関が為替スワップの「ドル投・円転」を行うと、 円の調達コストは安くなる状況だ。国内大手銀行の資金担当者によると、このと ころ邦銀勢は外貨資産を増やしており、9月決算期末に向けて円からドルを調達 する「円投・ドル転」を強めているため、円転コストを低下させているという。

こういった「円転資金」が国内市場に流れ込むことで、無担保コール翌日物 やレポ(現金担保付債券貸借)金利の低位安定を促し、政府短期証券(FB)利 回りの低下を促しているとの指摘がある。ユーロ円市場では、邦銀に対して外銀 が資金の出し手になる場合も散見されている。

もっとも、ドル市場における金融機関同士の資金取引が回復しているわけで もなさそうだ。金融不安がくすぶり続けるなか、FRBの資金供給オペであるT AF(ターム・オークション・ファシリティー)には引き続き応札意欲が強い。 国内大手銀の資金担当者は、投資銀行が何兆円単位でキャッシュを抱えるなど、 資金繰りはより保守的になっていると指摘する。