米メリル、ゴールドマン、ドイツ銀:ARS問題で州当局と和解(5)

大手金融機関が入札方式証券(ARS)を 投資家に不正に販売したとされる問題で、米メリルリンチ、ゴールドマン・サ ックス・グループ、ドイツ銀行は、最大150億ドル(約1兆6260億円)相当の ARSを買い戻し、約1億6000万ドルの罰金を支払うことで複数の州当局と合 意した。ニューヨーク州のクオモ司法長官が21日午後発表した。

この合意により、長期投資商品であるARSを、売買しやすい投資商品と して顧客に不適切に販売したとされる問題で当局と和解合意した企業は、過去 2週間で計8社になった。メリルは最大120億ドル相当のARSを買い戻し、 1億2500万ドルの罰金を支払う。

クオモ長官は「大きな進展のあった一日だった」と指摘。合意に向けた交 渉に参加したメリルのジョン・セイン最高経営責任者(CEO)は、同社が率 先して取り組まなければならない立場にあることを理解していると説明した。

ウォール街の金融機関は、ARSを現金のような流動性のある投資商品と して不当に販売していたと指摘された問題を解決するため、当局との和解に取 り組んでいる。今年2月、総額3300億ドル規模に達していたARS市場は、定 期的な入札に参加していた金融機関が信用危機の影響で参加を取りやめたため、 凍結状態となった。

各社の和解内容

ゴールドマンは15億ドル相当のARSを買い戻し、罰金2250万ドルを支 払う。ドイツ銀行は10億ドル相当のARSを買い戻し、罰金1500万ドルを支 払う。8月7日に来年1月から100億ドル相当のARSを買い戻すとしていた メリルは、今年10月に買い戻しを開始することとなった。

メリルのセインCEOは、発表文で「われわれは、過去に例のない今回の 流動性の危機に対する好ましい解決策がわれわれの顧客にもたらされたことに 満足している」と表明した。同社は米証券取引委員会(SEC)と和解に達し たことも明らかにした。

ドイツ銀行の広報担当テッド・マイヤー氏も、同行は「この問題が解決し たことに満足している」と述べた。

ゴールドマンは21日付の発表文で、約10億ドル相当のARSを買い戻す ことになるとの見通しを示し、SECの調査に協力していることを明らかにし た。

北米証券監督者協会(NASAA)の会長として、全州を代表するノース ダコタ州証券当局のカレン・タイラー氏は、今回の合意は米投資家を対象にし た「包括的な取り決め」だと説明。先月メリルリンチを提訴したマサチューセ ッツ州のガルビン州務長官も21日、同様の内容の合意を個別に発表した。

和解合意の交渉に参加したSECは、独自調査を継続していることを明ら かにした。

UBSとシティグループのほかモルガン・スタンレー、JPモルガン・チ ェース、ワコビアの3社はすでに、ほぼ350億ドル(推定合計残高2000億ドル の約17%)相当のARSを個人や慈善団体、中小企業から買い戻し、計3億6000 万ドルの罰金を支払うことで合意している。

大手金融機関のうち、バンク・オブ・アメリカ(BOA)がまだ和解合意 に達していないことについて質問を受けたクオモ長官は「われわれは本日、3 件の和解を発表した」とした上で、「1日ですべてを完了できると考えておられ るのですか?」と回答した。

地方証券会社のチャールズ・シュワブやフィデリティ・インベストメンツ、 Eトレード・ファイナンシャルも、大手金融機関が組成したARSを販売する 仲介役を務めたことをめぐり、当局の調査対象となっている。