東京外為:ドルが下げ渋り、材料難で売り続かず-対円で110円台回復

東京外国為替市場では、ドルが下げ渋り。 原油相場の上昇や金融機関の損失拡大不安、スタグフレーション(景気減速下 の物価上昇)の様相を呈する経済指標といった米国の悪材料を受け、前日の海 外市場では対ユーロを中心にドルが売られたが、そうした動きも一服。新規の 材料難でもみ合い相場となるなか、午後にはドル・円が1ドル=110円台を回復 した。

みずほコーポレート銀行国際為替部の兼平修一調査役は、今後の注目材料 として株や商品相場の動向、ロシア・グルジア情勢を挙げた上で、「商品市場 の動向を見ても、下げ止まる兆候を見せており、そういう意味ではドル買い上 げの局面も少し一服したという印象を持っている」と語る。ただ、ドル・円に ついては、「円を積極的に買う材料もない」といい、しばらくはレンジ相場が 続くと予想している。

一方、海外市場の流れを受け継ぎ、ユーロ・ドル相場は朝方に一時、1ユ ーロ=1.4806ドル(ブルームバーグ・データ参照、以下同じ)と3営業日ぶり の水準までユーロ買い・ドル売りが進行。その後は徐々にユーロの上値が重く なり、午後には1.4738ドルまでユーロ安・ドル高方向に振れる場面が見られた。

ドル・円は110円台回復

ドル・円は前日の海外市場で一時、109円56銭と14日以来の水準までドル 売りが進んだが、その後はもみ合いとなり、109円台後半でこの日の東京市場を 迎えた。

その後、仲値に絡んだ円売り需要や「値ごろ感からの証拠金プレーヤーな どによるクロス円(ドル以外の通貨と円の取引)の買い」(メリルリンチ日本証 券外国為替部・今泉光雄ディレクター)の思惑を背景にドルは109円60銭付近 からじりじり上昇。午後には一時110円台を回復し、110円13銭まで値を戻し た。

ソシエテ・ジェネラル銀行外国為替本部長の斉藤裕司氏は、「きのうの続 きでもう少しドルの調整があるかなと思ったが、仲値にかけては輸入企業のド ル買いがあり、日本株も思ったよりも下げ渋っているので、ドル・円は下を攻 め切れなかった」と説明。109円台半ばから110円台前半にかけてはオプション も並んでいるもようで、目先は動きづらい状態が続くとみている。

米国の悪材料

19日のニューヨーク原油先物相場は反発。ドルの下落でインフレヘッジ目 的としての商品の買いが促進されたほか、20日に発表される週間在庫統計で米 ガソリン在庫が4週連続での減少を示すとの見通しも強材料となった。

また、金融機関の損失拡大懸念や景気の先行き不安から米株式相場は続落 し、米2年債利回りは2.30%と7月15日以来の水準に低下。7月の米住宅着工 件数が1991年3月以来の低水準に落ち込んだ一方、7月の生産者物価指数(P PI)は食品とエネルギーを除くコア指数ともに市場予想を上回る伸びとなり、 海外市場では「スタグフレーション懸念から米株も落ちて、ドルも売られると いう相場になった」(メリルリンチ日本証券・今泉氏)。

野村証券金融市場部の高松弘一エグゼクティブマネージャーは、「ドル高 へのバイアスが先週末から大きくかかっており、期待感からの短期のドルロン グ(買い持ち)は相当たまっている」と指摘した上で、「これまでドルに代わ って買われていた通貨の中長期的なポジション解消は引き続きトレンドの中に あると見ており、短期的なドル売りはあっても、リスクはユーロやポンドのダ ウンサイドにある」と語る。

クロス円が底堅い

前日にはユーロ・ドルが1ユーロ=1.4631ドルと2月20日以来、約6カ月 ぶりのユーロ安値から反発。ドル・円も1ドル=110円台を維持できず、109円 台に水準を切り下げたが、対ユーロなどで円が軟調に推移するなか、ドルの下 値も限られた。

一方、ユーロ・円は前日の海外市場で一時、1ユーロ=160円87銭と5月 13日以来の水準までユーロ安・円高が進行。しかし、その後はユーロの買い戻 しが進み、この日の東京市場では162円台前半でユーロが底堅く推移した。

日本銀行は20日午後、8月の金融経済月報を公表し、足元の景気について 「エネルギー・原材料価格高や輸出の増勢鈍化などを背景に停滞している」と して、前月の「さらに減速している」から下方修正した。下方修正は2カ月連 続。ただ、先行きについては「当面停滞を続ける可能性が高いものの、国際商 品市況高が一服し、海外経済も減速局面を脱するにつれて、次第に緩やかな成 長経路に復していく」として、成長復帰の基本シナリオは維持した。

--共同取材:曽宮一恵 Editor: Tetsuzo Ushiroyama, Norihiko Kosaka

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