東京外為:ドルの上値が重い、米悪材料で買い持ち高調整-ユーロ反発

朝方の東京外国為替市場では、ドルが上値 の重い展開が続いている。前日には原油相場の上昇や金融機関の損失拡大不安、 スタグフレーション(景気減速下の物価上昇)の様相を呈する経済指標など、 米国で悪材料が目立つ格好となり、積極的にドルは買いづらい。

一方、欧州の経済指標は予想を上回る結果となり、これまで続いていたユ ーロ売り・ドル買いの流れは一服。ユーロ・ドル相場は一時、1ユーロ=1.4806 ドル(ブルームバーグ・データ参照、以下同じ)と3営業日ぶりの水準までユ ーロが買い戻される展開となっている。

JPモルガン・チェース銀行為替資金本部の棚瀬順哉FXストラテジスト は、「金利等の状況からみて足元のドル上昇には行き過ぎ感があったが、前日 は8月に入って初めて株安・原油高を受けたドル売りという流れになり、短期 的に積み上がったドル買い持ち高の巻き戻しが始まった可能性がある」と指摘 する。

ドル・円相場は1ドル=109円台後半で推移。前日の海外市場では一時、109 円56銭までドルが売られる場面も見られたが、ユーロ・円などクロス円(ドル 以外の通貨の対円相場)で円が軟調に推移するなか、ドルの下値は限定的とな っている。

また、ユーロ・円相場は1ユーロ=162円台前半と、海外市場で付けた5月 13日以来のユーロ安値、160円87銭から1円以上ユーロ高・円安水準で推移し ている。

米国の悪材料

19日のニューヨーク原油先物相場は反発。ドルの下落でインフレヘッジ目 的としての商品の買いが促進されたほか、20日に発表される週間在庫統計で米 ガソリン在庫が4週連続での減少を示すとの見通しも強材料となった。

また、金融機関の損失拡大懸念や景気の先行き不安から米株式相場は続落 し、米2年債利回りは2.30%と7月15日以来の水準に低下した。

米商務省が発表した7月の住宅着工件数(季節調整済み、年率換算、以下 同じ)は前月比11%減の96万5000戸と、1991年3月以来の低水準となった。 先行指標となる7月の住宅着工許可件数は18%減の93万7000件。

一方、米労働省が発表した7月の生産者物価指数(PPI)全完成品は前 月比1.2%上昇、食品とエネルギーを除くコア指数は同0.7%上昇となり、それ ぞれ市場予想を上回った。前年比では全完成品が9.8%上昇)と1981年6月以 来、コア指数が同3.5%上昇と91年以来で最も高い伸びだった。

ダラス連銀のフィッシャー総裁は19日、食品やエネルギー価格の上昇を受 けて企業がコスト高を転嫁するなか、米国のインフレ加速局面は長期化する可 能性があると指摘した。また、元国際通貨基金(IMF)チーフエコノミスト のケネス・ロゴフ米ハーバード大学教授は、米経済は信用市場の混乱によって リセッション(景気後退)入りしており、大手米銀が破たんする可能性がある との見方を示した。

ユーロ安が一服

一方、ドイツの欧州経済研究所センター(ZEW)が発表した8月のドイ ツ景況感指数(期待指数)はマイナス55.5と、91年の統計開始以来で最低とな った前月のマイナス63.9から改善した。最高値水準にあった原油相場が下落し たことを受け、エコノミスト予想を上回る改善幅となった。

前日の東京市場午後には一時、2月20日以来の水準となる1ユーロ=

1.4631ドルまでユーロ安・ドル高が進む場面も見られたが、欧州景気に対する 懸念がひとまず後退し、米国の悪材料が相次いだことで、ユーロ・ドルは戻り をうかがう展開となっている。

もっとも、ドル・円については、1ドル=110円台でいったん上値の重さを 確認した格好となっているが、前日には日本銀行が足元の景気は「停滞してい る」と2カ月連続で情勢判断を下方修正するなど、リスク回避目的以外で円を 買う理由もなく、109円台半ば付近ではドルが底堅さを維持する展開となってい る。

--共同取材:曽宮一恵 Editor: Tetsuzo Ushiroyama, Norihiko Kosaka

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