8月19日の海外株式・債券・為替市場(2)

(米国市場を更新します)

○米国株:続落。経済統計では7月の生産者物価指数(PPI)がエコノミスト 予想を上回る伸びとなったほか、住宅着工件数が減少。金融セクターでは大手金 融機関でさらに損失が拡大するとの懸念が再燃した。

保険最大手のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)と住宅 ローン債券引き受け最大手のリーマン・ブラザーズ・ホールディングスは、いず れも新たな評価損計上の可能性をアナリストに指摘され、株価は大幅安となった。 センテックスやパルト・ホームズなど住宅建設株で構成する指数は3週間ぶりの 安値。7月の住宅着工件数が1991年3月以来の低水準となったことが売りにつ ながった。高級百貨店チェーンのサックスは業績見通しが嫌気されて14%急落し た。

S&P500種株価指数終値は前日比11.91ポイント(0.9%)下げて1266.69。 ダウ工業株30種平均は同130.84ドル(1.1%)安の11348.55ドルで終了。ナス ダック総合株価指数は同32.62ポイント(1.4%)下げて2384.36で終えた。ニュ ーヨーク証券取引所(NYSE)の騰落比率は1対3。

パイオニア・インベストメント・マネジメント(ボストン、運用資産3000 億ドル)のジョン・キャリー氏は、「金融セクターからは相変わらず悪いニュー スが届き、小売りについての情報も期待外れ、住宅には改善の兆候がみられない。 悪材料だらけだ」と語る。「まともな神経の持ち主だったら、きょうは海辺での んびりするところだ」と付け加えた。

米労働省が市場の寄り付き前に発表した7月の生産者物価指数(PPI)全 完成品は前月比1.2%上昇と、ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミス ト予想中央値(0.6%上昇)を上回った。パイオニアのキャリー氏によれば、この 統計も市場参加者をやや「神経質」にさせた。

商い閑散

ニューヨーク証券取引所(NYSE)の出来高概算は約10億1000万株。3 カ月平均を27%下回った。18日は終日としては昨年12月27日以来の薄商いだっ た。

S&P500種は昨年10月の最高値から19%下げた水準にある。元国際通貨 基金(IMF)チーフエコノミストのケネス・ロゴフ米ハーバード大学教授は、 米経済は信用市場の混乱によってリセッション(景気後退)入りしており、大手 米銀が破たんする可能性があるとの見方を示した。

同教授はシンガポールでブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、 「米国での最悪期はまだこれからだ」とし、「金融業界は縮小が必要だ。中規模 と小規模の銀行が幾つか倒れるだけでは不十分だと思われる」と語った。

米住宅不況を背景に世界の金融機関が計上した信用市場での損失は5000億 ドルを超えた。危機の過程では米証券5位だったベアー・スターンズが破綻して いる。ロゴフ氏は住宅金融大手のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディ マック(連邦住宅貸付抵当公社)を国有化する必要性を指摘した。両社の株式時 価総額は今年に入り、85%以上消失している。

増資観測

アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)は1.28ドル安の20.32 ドル。ダウ平均採用銘柄で値下がり率トップ。ゴールドマン・サックス・グルー プがAIGについて、追加増資を余儀なくされる「可能性が高まっている」と指 摘したことが売りを誘った。ゴールドマンのアナリスト、トーマス・チョルノス キー氏は19日付のリポートで、AIGが債券投資家を損失から保護するために売 却したクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の契約履行のため、200億 ドル(約2兆1920億円)の支払いを迫られ、格下げと大規模な増資につながる可 能性があるとの見方を示した。

リーマンは13%急落。JPモルガン・チェースのアナリストらは、米リーマ ンが2008年6-8月(第3四半期)に、信用商品への投資などで約40億ドル (約4400億円)の評価損を計上するとみている。

ケネス・ワーシントン氏らJPモルガンのアナリストは18日付のリポート で、「信用市場の環境は厳しい状況が続いている」として、第3四半期もリーマ ンにとって厳しい四半期となるとの見方を示した。

銀行株、住宅建設株

S&P500種の金融株価指数は3%下げ、10指数のうちで値下がり率トッ プ。米銀2位のバンク・オブ・アメリカやJPモルガンも下げた。

センテックスやパルトも下落。S&P500種の住宅建設株価指数は3.6%下 げた。米商務省が発表した7月の住宅着工件数(季節調整済み、年率換算、以下 同じ)は前月比11%減の96万5000戸と、1991年3月以来の低水準となった。 先行指標となる7月の住宅着工許可件数は18%減の93万7000件。

サックスは8.3%安。5-7月(第2四半期)決算は2年ぶりの大幅な損失 となった。婦人物衣料の値引きが収益に響いた。同社は8-1月(下期)の売上 高見通しを下方修正した。

ステープルズも大幅安。同社は中小企業がオフィス用品購入を控えていると 指摘し、通期の増益見通しを下方修正した。

原油価格の反発を背景にS&P500種のエネルギー株価指数は2.8%上昇し、 10指数のうち値上がりトップ。米石油最大手のエクソンモービルは1.42ドル高 の77.95ドル。シェブロンも上げた。

ニューヨーク原油先物相場は反発。ドルの下落でインフレヘッジ目的として の商品の買いが促進された。原油先物9月限は前日比1.66ドル(1.5%)高の 1バレル=114.53ドルで終えた。

○米国債:2年債利回りは5週間ぶりの低水準付近にとどまった。 金融機関が信用市場ならびに住宅市場低迷からの損失拡大に直面 しているとの懸念が背景だった。

投資家が金利政策に一段と敏感に反応する短期債を選好するなか、 2年債に対する10年債利回りの上乗せ幅はここ10週間で最大となっ た。JPモルガン・チェースのアナリストらは米証券大手リーマン・ブ ラザーズ・ホールディングスが6-8月(第3四半期)決算を発表する 際に40億ドルの評価損を計上する可能性があると指摘した。

ドイツ銀行のプライベートバンク部門の債券トレーディング責任者、 ゲーリー・ポーラック氏は「金融システムに亀裂が生じるリスクはこれ まで以上に高まっている」と指摘。「債券相場には悪いニュースが上げ 材料となり、残念ながら引き続き上昇が予想されている」と語った。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時間 午後4時9分現在、2年債利回りは前日比3ベーシスポイント(bp、 1bp=0.01%)低下の2.30%と、7月15日以来の低水準を付けた。 2年債価格(表面利率2.75%、償還期限2010年7月)は2/32上昇し 100 27/32。

10年債利回りは前日比2bp上昇し3.83%。一時は5週間ぶり低水 準となる3.79%を付ける場面もあった。30年債利回りは前日比2bp上 昇し4.46%。

10年債と30年債利回りが上昇した背景には、ダラス連銀のフィッ シャー総裁とリッチモンド連銀のラッカー総裁が米インフレの加速可能 性を示唆したことや、予想以上に上昇した7月の米生産者物価指数(P PI)があった。また、原油相場が4営業日ぶりに上昇したことも手掛 かりだった。

「くすぶる問題」

D.A.デビッドソンの債券トレーディング部門バイスプレジデン ト、メアリアン・ハーレー氏は、「インフレの問題は今後もくすぶり続 けると市場は認識している」と述べた。

米労働省が発表した7月の生産者物価指数(PPI)全完成品は前 月比1.2%上昇と、ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト 予想中央値(0.6%上昇)を上回った。6月は1.8%上昇だった。

米ダラス連銀のフィッシャー総裁は19日、食品やエネルギー価格の 上昇で企業がコスト高を転嫁するなか、米経済は長引くインフレ高進に 直面する可能性があるとの見解を示した。

同総裁はコロラド州アスペンでの講演で、「コスト押し上げに伴う 最近のインフレ圧力の噴出で深刻な消化不良が生じており、これが長引 くインフレ高進という形で現れる可能性がある」と指摘。「金融当局は 賭けでその信認を失うわけにはいかない」と述べた。

米リッチモンド連銀のラッカー総裁は19日、インフレを抑制するに は、経済成長と金融市場の正常化の前に利上げが必要になることもあり 得ると述べた。

極めて薄商い

今月は夏休み入りした市場参加者もいるため、米国債の出来高が減 少していることも相場の振れを増幅している可能性がある。

クレディ・スイスの金利ストラテジスト、カール・ランツ氏(ニュ ーヨーク在勤)は「8月も後半に入っていることを考えると、商いは非 常に薄い」と指摘。「したがって大商いの中で何らかの変化が起きてい るのとは違う。薄い商いでは影響が大きくなり得る」と語った。

銀行間取引で世界最大のブローカーであるICAPによると、米国 債市場の出来高は今月、1日当たりの平均で2390億ドル。7月の同期間 の平均は3303億ドルだった。

2年債の値動きは長期債より堅調となった。米政策金利が年内は据 え置かれるとの見方がトレーダーの間で強まっていることが背景。2年 債利回りは10年債利回りを1.53ポイント下回っている。この利回り格 差は6月6日以来最大。

評価損の見通し

シカゴ商品取引所(CBOT)のフェデラルファンド(FF)金利 先物相場の動向によると、米連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金 利を年内は2%で据え置くとの確率は79%とみられている。1週間前の 確率は62%だった。年末までに0.25ポイントの利上げがある確率は 17%とみられている。

ケネス・ワーシントン氏らJPモルガンのアナリストは18日付のリ ポートでリーマンは保有する610億ドル相当の不動産ローン関連資産や 他の資産担保証券(ABS)の評価額を一部引き下げる見込みだと指摘。 ブルームバーグがまとめたデータによると、リーマンは過去12カ月間に 評価損と信用市場の損失で82億ドルを計上している。

○NY外為:ドルが続落。対ユーロでは6カ月ぶりの高値を付けた後、下げに 転じた。株価が下落し、原油相場が上昇したため、米国の景気減速が長引く との懸念からドル売りが出た。

リーマン・ブラザーズ・ホールディングスなど金融機関の信用市場での損 失が一段と膨らむとの憶測から円は対ドルで上昇。低金利の日本で資金を調達 し、高金利通貨で運用するキャリー取引を解消する動きとなった。ドルはユー ロに対しても下落。月初からの6%上昇は持続するにはピッチが速過ぎるとの 見方が背景にある。

INGファイナンシャル・マーケッツの自己勘定取引ディレクター、マシ ュー・カッセル氏(ニューヨーク在勤)はブルームバーグテレビジョンとのイ ンタビュー で、「過去6-9カ月、ぜい弱な状態が続いている米経済が改善に 向かっている兆候はまったくないと思う。ドルは長期的な上昇基調を維持でき る環境下にはない」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時5分現在、ドルはユーロに対して前日比

0.6%下落し、1ユーロ=1.4785ドル。一時は1.4631ドルと、2月20日 以来のドル高・ユーロ安水準を付ける場面もあった。前日は同1.4694ドル。 円はドルに対して0.4%高の1ドル=109円72銭(前日は同110円13銭)。 円は対ユーロでは0.2%下げて1ユーロ=162円21銭。一時は5月13日以 来の高値となる160円87銭まで買い進まれる場面もあった。

RSI

対ドルでのユーロの相対力指数(RSI、期間14日)は23.42。30を下 回る水準はユーロの反発を示唆している可能性がある。

英銀大手スタンダード・チャータード銀行のシニア為替ストラテジスト、 マイク・モラン氏は「ドルが上値を追うには材料不足だ」と指摘した。

原油相場は1.5%高のバレル当たり114.53ドルで終了。ブルームバーグ の算出によると、対ドルでのユーロと原油相場の過去1年の相関係数は0.9。 相関係数1は完全に動きが一致することを意味する。

金融機関の評価損でキャリー取引が抑制されるとの思惑から円は対ポンド で0.3%上昇した。

日本の政策金利は先進国で最も低い0.5%。一方、英国は5%、ユーロは

4.25%。

JPモルガン・チェースのアナリストは米証券大手リーマン・ブラザー ズ・ホールディングスが2008年6-8月(第3四半期)に、信用商品への投 資などで約40億ドル(約4400億円)の評価損を計上するとみている。ゴー ルドマン・サックス・グループは米保険最大手のアメリカン・インターナショ ナル・グループ(AIG)について、追加増資を余儀なくされる「可能性が高 まっている」と指摘した。

S&P500種株価指数は0.9%安。アジアと欧州でも株価は下げた。

元国際通貨基金(IMF)チーフエコノミストのケネス・ロゴフ米ハーバ ード大学教授は信用市場の混乱によって大手米銀が破たんする可能性があると の見方を示した。

7月の住宅着工件数は96万5000戸と、1991年3月以来の低水準とな った。前月は108万4000戸。生産者物価指数(PPI)は前年比9.8%上昇 と、1981年6月以来で最も高い伸びとなった。

RBSグリニッチ・キャピタル・マーケッツ(コネティカット州グリニッ チ)の国際通貨戦略責任者、アラン・ラスキン氏は「この日発表の指標はスタ グフレーションのリスクを示唆している。市場は先走っている感があるが、ユ ーロはゆっくりと1.50ドルを回復するだろう」と語った。

シカゴ商品取引所(CBOT)のフェデラルファンド(FF)金利先物相 場の動向によると、米連邦公開市場委員会(FOMC)が12月16日の定例会 合で2%のFF金利誘導目標を少なくとも0.25ポイント引き上げる確率は19 %。1週間前の37%から低下した。次回定例会合は9月16日。

ダラス連銀のフィッシャー総裁は19日、食品やエネルギー価格の上昇を 受けて企業がコスト高を転嫁するなか、米国のインフレ加速局面は長期化する 可能性があるとの見解を示した。さらに、ドル回復の物価への影響を判断する には早過ぎると述べた。

欧米金利差

米2年債利回りは独2年債を1.68ポイント下回っている。利回り差は6 月6日の過去15年で最大だった2.26ポイントから縮小しており、ドル建て 資産の相対的な魅力が高まっている。

豪ウエストパック銀行のシニア為替ストラテジスト、リチャード・フラヌ ロビッチ氏は「欧州経済は急減速している。米経済が下半期に鈍化しても、利 回り差はドルの支援材料になるはずだ」と述べた。

○英国債:相場は上昇。利上げ観測が後退したのに加え、世界的な株安で安全投 資としての国債需要が高まったことが背景。

10年債利回りは前日比4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下げ

4.56%。同国債(2018年3月償還、表面利率5%)価格は0.28ポイント上昇 し103.40。2年債利回りは3bp低下し4.52%となった。

独10年債に対する英10年債の上乗せ利回りは43bpと、今年最大だった 2月25日の69bpから縮小した。英国では10年にわたる住宅ブームが終了、 景気減速に伴う利下げ観測が広がっている。

○欧州債:独10年債相場が下落。同利回りは約3カ月ぶりの低水準から上昇に 転じた。ドイツの景況感がエコノミスト予想よりも改善したことが背景。

米ダラス連銀のフィッシャー総裁が、米連邦公開市場委員会(FOMC)が 利上げに踏み切っても信用市場の回復を遅らせることにはならないとの認識を示 し、米国債相場が下落したことも欧州債相場を押し下げた。

野村インターナショナルの債券ストラテジスト、ショーン・マロニー氏(ロ ンドン在勤)は「相場は過去数日にわたって上昇してきただけに、一部反転する 必要があった。特にフィッシャー総裁の発言が伝えられた後はなおさらその傾向 が強まった」と指摘した。

ロンドン時間午後5時4分までに、10年債利回りは前日比2ベーシスポイ ント(bp、1bp=0.01ポイント)上昇し4.17%となった。同国債(2018年7 月償還、表面利率4.25%)価格は0.19ポイント下げ100.65。一方、2年債利 回りは1bp下げ3.99%と、5月15日以来の低水準に近づいた。

ドイツの欧州経済研究所センター(ZEW)が19日発表した8月のドイツ 景況感指数(期待指数)はマイナス55.5と、1991年12月の統計開始以来で最 低となった前月(マイナス63.9)から改善した。ブルームバーグ・ニュースが まとめたエコノミスト43人の調査では、中央値でマイナス62が見込まれていた。

ニューヨーク・ニューズルーム

種類別ニュース: 為替 NI FRX 、 NI JFRX、 NI FX NI KAWASE 経済 NI ECO 、 NI JNECO 、 NI JEALL 中央銀行 NI CEN 、 NI JCEN EMU(欧州経済通貨同盟) NI EMU 英国債 NI GLT 債券 NI BON 国債 NI GBN   欧州国債 NI EUB マネーマーケット NI MMK 英国経済 NI UKECO 米国債 NI USB 米国株 NI USS 株式 NI STK 米国預託証券(ADR) NI ADR ミューチュアル・ファンド NI FND 欧州国債 NI EUB 独債券 NI BND 仏債券 NI OAT 英国債 NI GLT 伊国債 NI BTP スペイン国債 NI SMB ベルギー国債 NI BBB オランダ国債 NI NAB 金融市場 NI JMALL 海外市況 NI TOPJF トップニュース NI TOP、 NI TOPJ 海外トップニュース NI TOPKAIGAI

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE