NY外為:ドル続落、株安・原油高で米景気減速の長期化懸念広がる

ニューヨーク外国為替市場ではドルが続 落。対ユーロでは6カ月ぶりの高値を付けた後、下げに転じた。株価が下落し、 原油相場が上昇したため、米国の景気減速が長引くとの懸念からドル売りが出 た。

リーマン・ブラザーズ・ホールディングスなど金融機関の信用市場での損 失が一段と膨らむとの憶測から円は対ドルで続伸。低金利の日本で資金を調達 し、高金利通貨で運用するキャリー取引を解消する動きとなった。ドルはユー ロに対しても下落。月初からの6%上昇は持続するにはピッチが速過ぎるとの 見方が背景にある。

INGファイナンシャル・マーケッツの自己勘定取引ディレクター、マシ ュー・カッセル氏(ニューヨーク在勤)はブルームバーグテレビジョンとのイ ンタビューで、「過去6-9カ月、ぜい弱な状態が続いている米経済が改善に 向かっている兆候はまったくないと思う。ドルは長期的な上昇基調を維持でき る環境下にはない」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時5分現在、ドルはユーロに対して前日比

0.6%下落し、1ユーロ=1.4785ドル。一時は1.4631ドルと、2月20日 以来のドル高・ユーロ安水準を付ける場面もあった。前日は同1.4694ドル。 円はドルに対して0.4%高の1ドル=109円72銭(前日は同110円13銭)。 円は対ユーロでは0.2%下げて1ユーロ=162円21銭。一時は5月13日以 来の高値となる160円87銭まで買い進まれる場面もあった。

RSI

対ドルでのユーロの相対力指数(RSI、期間14日)は23.42。30を下 回る水準はユーロの反発を示唆している可能性がある。

英銀大手スタンダード・チャータード銀行のシニア為替ストラテジスト、 マイク・モラン氏は「ドルが上値を追うには材料不足だ」と指摘した。

原油相場は1.5%高のバレル当たり114.53ドルで終了。ブルームバーグ の算出によると、対ドルでのユーロと原油相場の過去1年の相関係数は0.9。 相関係数1は完全に動きが一致することを意味する。

金融機関の評価損でキャリー取引が抑制されるとの思惑から円は対ポンド で0.3%上昇した。

日本の政策金利は先進国で最も低い0.5%。一方、英国は5%、ユーロは

4.25%。

JPモルガン・チェースのアナリストは米証券大手リーマン・ブラザー ズ・ホールディングスが2008年6-8月(第3四半期)に、信用商品への投 資などで約40億ドル(約4400億円)の評価損を計上するとみている。ゴー ルドマン・サックス・グループは米保険最大手のアメリカン・インターナショ ナル・グループ(AIG)について、追加増資を余儀なくされる「可能性が高 まっている」と指摘した。

S&P500種株価指数は0.9%安。アジアと欧州でも株価は下げた。

元国際通貨基金(IMF)チーフエコノミストのケネス・ロゴフ米ハーバ ード大学教授は信用市場の混乱によって大手米銀が破たんする可能性があると の見方を示した。

7月の住宅着工件数は96万5000戸と、1991年3月以来の低水準とな った。前月は108万4000戸。生産者物価指数(PPI)は前年比9.8%上昇 と、1981年6月以来で最も高い伸びとなった。

RBSグリニッチ・キャピタル・マーケッツ(コネティカット州グリニッ チ)の国際通貨戦略責任者、アラン・ラスキン氏は「この日発表の指標はスタ グフレーションのリスクを示唆している。市場は先走っている感があるが、ユ ーロはゆっくりと1.50ドルを回復するだろう」と語った。

シカゴ商品取引所(CBOT)のフェデラルファンド(FF)金利先物相 場の動向によると、米連邦公開市場委員会(FOMC)が12月16日の定例会 合で2%のFF金利誘導目標を少なくとも0.25ポイント引き上げる確率は19 %。1週間前の37%から低下した。次回定例会合は9月16日。

ダラス連銀のフィッシャー総裁は19日、食品やエネルギー価格の上昇を 受けて企業がコスト高を転嫁するなか、米国のインフレ加速局面は長期化する 可能性があるとの見解を示した。さらに、ドル回復の物価への影響を判断する には早過ぎると述べた。

欧米金利差

米2年債利回りは独2年債を1.68ポイント下回っている。利回り差は6 月6日の過去15年で最大だった2.26ポイントから縮小しており、ドル建て 資産の相対的な魅力が高まっている。

豪ウエストパック銀行のシニア為替ストラテジスト、リチャード・フラヌ ロビッチ氏は「欧州経済は急減速している。米経済が下半期に鈍化しても、利 回り差はドルの支援材料になるはずだ」と述べた。

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