サブプライムで傷んだ米金融機関をカナダの銀行が買収できる理由

米国の金融機関が痛みを味わうなか、カナダ の銀行は勢力を増している。

ノバスコシア銀行やトロント・ドミニオン銀行を含むカナダの銀行が過去1 年で米金融機関の買収に投じた金額は100億米ドルと、過去最高に達した。CI BCワールド・マーケッツのアナリスト、ダーコ・ミヘリック氏によれば、ロイ ヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)やモントリオール銀行による物色も続き そうで、アラバマ州の地銀リージョンズ・ファイナンシャルやオハイオ州の同ハ ンティントン・バンクシェアーズがターゲットとなる可能性がある。

カナダの銀行に買収余力があるのは、厳密な貸し出し基準でサブプライム (信用力の低い個人向け)住宅ローン関連の損失や評価損が2007年初め以来100 億カナダ・ドル(約1兆330億円)で済んだためだ。これに対する米銀の損失額 は2430億米ドル(約26兆6900億円)。また、米銀の株価は過去1年で平均42% 下げ、自己資本比率改善に向けて傘下の投資信託会社や証券会社を売却対象とし ている。これらが資金潤沢なカナダの銀行の買収対象となる。

トロント・ドミニオン銀のエドムンド・クラーク最高経営責任者(CEO) は「われわれと同程度に堅調にみえる銀行は世界に5行とない。だから、買収取 引を勝ち取ろうと競い合う銀行も多くはない」と語る。

カナダの銀行の買収能力が高まっている要因にはカナダ・ドルの強さもある。 相場は米ドルに対して過去2年で5.8%上昇した。

トロント・ドミニオン銀は3月にニュージャージー州の地銀コマース・バン コープを約71億米ドルで買収し、カナダ企業による外国銀行の買収で過去最高 記録を立てた。米オンライン証券大手のEトレード・ファイナンシャルのカナダ 部門を4億4200万ドルで取得するノバスコシア銀は、米資産を買収する方針を 示している。

またミヘリック氏によれば、時価総額約620億カナダ・ドルのRBCは最大 160億カナダ・ドルの、モントリオール銀は同50億カナダ・ドルの買収がそれぞ れ可能だという。