米国債:上昇、株価下落で「質への逃避」-10年債利回り3.81%(2)

米国債相場は上昇。政府は米住宅金 融大手のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住 宅貸付抵当公社)への資金注入を余儀なくされるとの警戒感が広がり株 価が下落したことから、比較的安全な投資先としての国債需要が強まっ た。

10年債と30年債の利回りは1カ月ぶりの低水準を付けた。世界的 な景気減速でインフレが抑制されるとの見方から、債券投資の魅力が高 まったことも背景にある。原油相場が5月1日以来の安値付近にとどま るなか、インフレ連動債の利回りはトレーダーのインフレ期待が過去5 年間で最低水準に低下していることを示した。

イートン・バンス・マネジメントで運用に携わるスチュアート・ テーラー氏は「米国債は現在、悪い結果を織り込みつつある」と指摘。 「株価が下落するなか、米国債には質への逃避買いが見られている」と 語った。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時間 午後4時1分現在、10年債利回りは前週末比3ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)低下の3.81%。一時は3.80%と、7月15日 以来の低水準を付けた。10年債価格(表面利率4%、償還期限2018年 8月)は7/32上げて101 17/32。

30年債利回りも7月15日以来の低水準となる4.42%を付けた。2 年債利回りは前週末比6bp低下の2.33%。

ドゥワイト・アセット・マネジメント(バーモント州バーリント ン)のチーフ・エコノミック・ストラテジスト、ジェーン・キャロン氏 は「投資家の懸念はインフレから世界の経済成長にシフトしている」と 述べた。このシフトで「債券市場では売りよりも買いが優勢となってい る」と付け加えた。

ファニーメイとフレディマックが急落

この日の米株式市場では、住宅金融大手のファニーメイ(連邦住宅 抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)の株価が急落。 投資週刊紙バロンズが米政府当局は両社が必要な増資を実施することが できず、政府による資金注入を余儀なくされると考えていると報じたこ とが手掛かりとなった。S&P500種株価指数は前週末比1.5%下げた。

財務省のジェニファー・ザッカレーリ報道官はこの日、バロンズ紙 の記事に対し、両社救済の権限を行使する「計画はない」と述べた。

原油先物9月限は続落。7月11日に付けた高値のバレル当たり

147.27ドルから22%下落している。

ブルームバーグの調査によると、19日に発表される7月の米生産者 物価指数(PPI)は0.6%上昇が見込まれている。6月のPPIは

1.8%上昇だった。

RBCキャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の米国債トレーデ ィング責任者、トーマス・トゥッチ氏は「インフレに関する最悪の材料 は出尽くしたとの認識があり、PPIの結果はすでに古い数字のように 扱われるだろう」と述べ、「年末にかけてインフレが改善するという見 方が債券相場の上昇につながっている」と指摘した。

金利見通し

先週発表された7月の米消費者物価指数は年率5.6%上昇と、過去 17年間で最も速いペースとなったものの、10年債相場は上昇した。

シカゴ商品取引所(CBOT)のフェデラルファンド(FF)金利 先物相場の動向によると、トレーダーの間では米連邦公開市場委員会 (FOMC)が政策金利を年内は引き上げないとの見方が強まっている。 政策金利が2%で据え置かれる確率は77%と、先週の53%から上昇した。 少なくとも0.25ポイントの利上げ見通しは23%。次回定例FOMCは 9月16日に予定されている。