米バンガードやフィデリティ:日本、インド、台湾株を買い増しへ(2)

米大手投資信託会社、バンガード・グループ とフィデリティ・インベストメンツ、キャピタル・グループは、日本と台湾、イ ンド株が割安になったとみて買い増す計画だ。

アジア株の時価総額は、弱気相場入りに伴い年初来で2兆3000億ドル(約 254兆円)減少。インドステイト銀行と台湾の電子機器受託生産大手の鴻海精密、 トヨタ自動車の株価は25%余り下落した。ブルームバーグ・ニュースがまとめ たデータによれば、約10年ぶりの高水準となったインフレ率や借り入れコスト の上昇がもたらしたこの株安によって、MSCIアジア太平洋指数の株価収益率 (PER)は13.9倍と、少なくとも13年ぶりの低水準となった。

住宅不況に伴い米国企業の収益が落ち込むなか、アジア企業の収益伸び率は 平均5%となっている。収益伸び率は、バリュー投資の父とも称されるベンジャ ミン・グレアム氏がPERとともに重視した指標だ。

バンガード・インターナショナル・グロース・ファンドの共同運用担当者で、 英シュローダーズの世界株責任者でもあるビルジニー・メゾヌーブ氏は、「われ われは買い増しを検討しており、これにはアジア市場の大多数が含まれる」と述 べた上で、「投資家らは『ちょっと待てよ。成長している企業をまだ見つけるこ とができる』と言って戻り始めている。非常に魅力的な価格の企業が一部に出始 めた」と説明した。

バンガード・インターナショナル・グロース・ファンドのウェブサイトおよ びブルームバーグ・ニュースがまとめたデータによると、同ファンドはインドス テイト銀行株を2月から買い増しており、4-6月(第2四半期)にはトヨタと ホンダ株も買った。メゾヌーブ氏は同ファンドの保有株に関するコメントは控え た。

アジアの金融株

アジアの金融機関の信用関連損失は世界全体の5%未満にとどまっている が、株価は年初来で25%下落し、MSCIアジア太平洋指数の10業種中、最大 の下げとなっている。金融株のPERは12.6倍に低下。S&P500種株価指数 の金融株のPERと比べ77%低くなった。この格差は1995年以来、最も大きい。

インドステイト銀の株価は今年、1-6月(上期)としては少なくとも 1991年以来最大の下げとなり、7月には一時、PERが6.44倍と3年ぶりの低 水準となった。ただ同月に発表した4-6月(第1四半期)決算は、投信や保 険の販売手数料がほぼ3倍に増加したことなどから、前年同期比15%の増益と なった。

モルガン・スタンレーの富裕層向け資産運用部門のチーフ投資ストラテジ スト、デービッド・ダースト氏は、アジア株投資について「良いものも悪いも のも一緒くたに売られた」と指摘。アジアの「多くの企業は経営陣の優れた判断 や地理的に離れていることにより、最悪の事態を一部回避できた」と指摘した。

ブルームバーグ・ニュースがまとめたデータによると、キャピタル・グル ープの87億6000万ドル規模のアメリカン・ファンド・インシュアランス・イ ンターナショナルは4-6月期にインドステイト銀のグローバル預託証券(G DR)7万5480単位を購入した。

一方、JPモルガン・プライベート・バンクのグローバル投資スペシャリ スト、ゴードン・タン氏は、アジア株が歴史的に見て低価格でも、買いだとは 確信できないという。タン氏は、4-6月期に前期比年率2.4%のマイナス成 長となり、上場企業の60%余りで時価総額が純資産を下回るような日本市場な どでは特に、投資家はいわゆる「バリュートラップ(万年割安)」に注意する必 要があると説明した。

シンガポールで4000億ドルの資産運用に携わるタン氏は、「日本株のPE Rはかなり良いように見えるが、成長要因が存在しない」と指摘し、「マイナ ス成長が続いている以上、われわれが重点を置く市場ではない」と語った。

22億4000万ドルを運用するフィデリティ・アドバイザー・ダイバーシファ イド・ストック・ファンドは、米アップルから携帯電話端末「iPhone (アイフォーン)」と携帯デジタルメディアプレーヤー「ⅰPod(アイポッ ド)」の生産を受託している鴻海精密を17%買い増し、6月末時点で持ち分は 350万株となった。鴻海精密の時価総額は一時、年初来で約3分の1減少。7月 にPERは10.97倍と、少なくとも1997年以来の低水準となった。

自動車メーカーも投資家の関心を集めている。一部のメーカーの株価はこ の10年あまりで最大の下げとなった。キャピタル・グループの597億ドル規模 のアメリカン・ニュー・パースペクティブ・ファンドは4-6月期にトヨタ株 280万株を買い増した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたデータによると、 持ち分は42%増え、949万株となった。