【今週の債券】もみ合い、景気後退支援も1.4%は警戒-経済対策見極め

今週の債券相場はもみ合いが見込まれる。 景気後退観測の強まりが、引き続き相場の支えとなりそうだ。日本銀行が今週 に景気判断を下方修正するとの見通しについては、市場では織り込み済みとの 声が多く、影響は限定的とみられる。一方、新発10年債利回りが節目の1.4% 付近に低下すれば売りが膨らむと警戒されており、相場上昇も限られる。

10年債利回り予想レンジ1.40-1.52%

今週の新発10年債利回りについて、15日夕までに市場参加者4人にヒア リングしたところ、全体の予想レンジは1.40%から1.52%となった。前週の 値幅(1.415-1.500%)とほぼ横ばいの推移となる見通し。

岡三証券の坂東明継シニアエコノミストは、今週の債券相場について、 「好需給が相場の下値を支えるが、高値警戒感もあるため戻り売りが出やすく、 上値も抑えられる」として、方向性が出にくいと予想する。

前週の債券市場では、景気後退観測を背景に買いが優勢になり、新発10 年債利回りは水準を切り下げ、いったんは1.415%と4月以来の水準まで低下 した。しかし、日銀の利下げ観測が強まらない中では、1.4%割れへの警戒感 は根強く、15日には戻り売りが優勢となり、一時は1.50%まで上昇した。

三井住友アセットマネジメントの堀川真一保険資産運用第1グループヘッ ドは、「先週末に大きく売られたため、買いづらくなった。今週前半は5年債 入札を控えて様子見姿勢が強まる。13日の4-6月期GDP(国内総生産)で 景気後退に関連する材料は出尽くした感があり、動くとすれば需給」と述べて、 今週の相場は高値圏でのもみ合いを予想する。

一方、政府・与党が月内にもまとめる総合経済対策について、今週に財源 を含めて調整が本格化する見通しだが、規模などが具体化するまでは債券市場 への影響は限られそう。RBS証券の市川達夫シニアストラテジストは、「直 接材料にはなりにくいが、上値で戻り売りの材料にはなりそうだ」という。

日銀会合、景気判断の下方修正は織り込み

日銀が18、19日に開く金融政策決定会合では、現行の金融政策について 全員一致で据え置くとの見方が支配的だ。ブルームバーグ・ニュースの調査で は有力日銀ウオッチャー17人全員が現状維持を予想した。景気判断については、 政府はすでに下方修正しており、日銀も情勢判断を「さらに減速」から「停 滞」へ下方修正するとの見方が強まっている。

こうした利上げ観測の一段の後退や景気判断の下方修正について、債券市 場ではすでに織り込まれているとの見方が一般的。三井住友海上火災保険投資 部の高野徳義グループ長は、「日銀が景気判断を下方修正しても、緩和バイア スに傾くような白川方明日銀総裁の発言は考えられない」と述べ、相場への影 響は限定的という。

5年債入札注目、クーポン引き下げ予想

需給面では、20日の5年利付国債(8月債)が注目材料。景気後退観測の 高まりを背景に、相場の地合いは好転しており、無難な結果が予想されている。 ただ、表面利率(クーポン)が引き下げられる見込みのため、「需要がどの程 度強いか不安がある」(岡三証券・坂東明継シニアエコノミスト)との声も一 部で聞かれており、入札結果によっては相場の波乱要因になる可能性もある。

前週末の入札前取引では、8月発行の5年債複利利回りは1.03%で取引さ れた。このため、クーポンは前回債の1.3%から0.3ポイント低い1.0%が有 力だ。相場が下落すると、1.1%となる可能性も出てくる。発行予定額は前回 債と同額の1兆9000億円程度。

市場参加者の予想レンジとコメント

15日夕までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先物 は中心限月9月物、新発10年国債利回りは295回債。

◎三井住友海上火災保険投資部・高野徳義グループ長

先物9月物136円90銭-138円10銭

新発10年債利回り=1.42%-1.52%

「市場のテーマはインフレから景気減速に移っている。焦って買う状況で はないが、景気の先行きを見極めるまでは売り込みづらい。ただ、いくら景気 が悪くても5年の1%割れは買っていきにくい。日銀が景気判断を下方修正し ても、緩和バイアスに傾くような総裁発言は考えられない。入札にかけて売ら れても、いずれ買い戻され、先週のレンジを大きく抜けることはないだろう」

◎岡三証券経済調査部・坂東明継シニアエコノミスト

先物9月物136円80銭-138円20銭

新発10年債利回り=1.40%-1.52%

「今週は方向性が出にくい。好需給が下値を支えるが、高値警戒感もある ため戻り売りが出やすく、上値も抑えられる。5年債入札は、クーポン1%に なる可能性があるが、需要がどの程度強いか不安がある。日銀決定会合は、政 策金利据え置きでインパクトはない。景況感悪化を重視する内容になるかもし れないが、織り込み済みで、よほど弱めでないと相場への影響は限定的」

◎三井住友アセットマネジメント・堀川真一保険資産運用第1グループヘッド

先物9月物136円90銭-138円20銭

新発10年債利回り=1.40%-1.50%

「先週末に大きく売られたため、買いづらくなった。今週前半は5年債入 札を控えて様子見姿勢が強まりそう。1%クーポンだと楽観視できない。日銀 決定会合では、政策の現状維持が決まるとみており、市場への影響はない。G DP統計で景気後退に関連する材料は出尽くした感があり、相場が動くとすれ ば需給要因。銀行勢の残高積み増しの動きなどがポイント」

◎RBS証券・市川達夫シニアストラテジスト

先物9月物137円00銭-138円00銭

新発10年債利回り=1.42%-1.52%

「日銀会合で金融政策は据え置きで、景気判断や見通しも大きく変えない とみる。これまで物価と景気に対して五分五分の割合としていたのを景気重視 の内容にする方向とみて、注目している。5年債入札は先週末に調整したので

1.1%クーポンもあり得る。安くはないが仕方なく買うのではないか。経済対 策は直接材料にはなりにくいが、上値で戻り売りの材料にはなりそう」

--共同取材:池田祐美、宋泰允、船曳三郎 Editor:Hitoshi Sugimoto,Tetsuzo Ushiroyama

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