日本株(終了)続落、信用不安高まり不動産に売り-国内景気を見極め

東京株式相場は続落。不動産会社アーバ ンコーポレイションの民事再生法の適用を受け、信用不安の高まりから長谷工 コーポレーションや飛島建設、ジョイントコーポレーションなど不動産や低位 建設株が軒並み売られた。米国の金融システム不安がくすぶるほか、貸し出し リスクも警戒されて三菱UFJフィナンシャル・グループや横浜銀行、広島銀 行など銀行株も安い。キャノンや任天堂など輸出関連も軟調だった。

岡三アセットマネジメントの伊藤嘉洋上席ストラテジストは、「景気後退 の度合いがどれくらいかまだ分からない。谷が浅いのか、深いのか見極める展 開だ。このためボックス相場になっている」と指摘。その上で、「景気悪化は 住宅や不動産に波及しており、黒字倒産が増えてくることを懸念している」 (同氏)と話していた。

日経平均株価終値は前日比66円25銭(0.5%)安の1万2956円80銭。 TOPIXは同7.55ポイント(0.6%)安の1238.93。東証1部の売買高は概 算で17億6319万株。値下がり銘柄数は1113、値上がり482。東証業種別33 指数は20業種が下落、13業種が上げた。

アバコーポはストップ安比例配分

この日の日経平均は売り先行でスタート。プラス圏に浮上する場面も何度 か見られたが、結局下落して終えた。下げ要因となったのが、信用不安の高ま り。米サブプライム(信用力の低い個人向け)ローン問題は、国内外の金融機 関による不動産融資の厳格化に波及し、国内の中小不動産や建設業者の資金繰 りを悪化させている。

株価の下落が続いていたアーバンコーポレイションは13日、東京地裁に 民事再生法の適用を申請し、同日受理されたと発表した。帝国データバンクに よると、負債総額は2558億円と今年最大となる。上場企業では、マンション 分譲のゼファー、スルガコーポレーションなどがすでに民事再生法を適用して おり、信用不安による連鎖倒産などが警戒され、不動産株が軒並み売られた。

9月14日での上場廃止が決まったアバコーポはストップ安比例配分で終 了。東証1部の下落率上位には、ジョイントコーポレーション、タカラレーベ ンなど不動産株、熊谷組や新井組、東急建設、新日本建設、アゼルなど低位建 設株が並んだ。アバコーポ向け債権に絡み、利益計画を減額した広島銀行は続 落。アバコーポ向け債権の取り立て不能の恐れがあるとした関西アーバン銀行 やみなと銀行も下げた。市場では、「信用不安が拡大するのか注意したい。当 局の政策転換につながる可能性もありそうだ」(いちよし投資顧問の秋野充成 運用部長)との声が聞かれた。

お盆休暇の真っ只中とだけあって、市場エネルギーは低調だった。東証1 部の売買代金は1兆8955億円と3日ぶりの2兆円割れ。過去1年間の1日当 たり平均2兆4591億円を大きく下回った。一方、日経平均先物9月物の出来 高は11万5200枚。岡三アセットの伊藤氏は、「手掛かり材料がない中、当面 は先物に振らされる展開だろう」と見ている。

1万3000円割れで買い

もっとも、心理的節目となる1万3000円台を割り込むと下値を拾う買い が入った。ブルームバーク・データによると、直近高値を付けた7月24日か ら前日までの業種別の下落率ランキング上位は、銀行(16.7%安)、鉄鋼 (15.6%)、保険(14.2%)、機械(14%)、海運(13.4%)、卸売 (13.1%)となっている。きょうはこれらの業種のうち、金融株以外が上昇。 東証業種別の上昇率上位には海運、鉄鋼、卸売指数が入り、相場の下支え役と なった。市場関係者の間では、1万2500-3000円をボックス圏の下値と見る 向きが多い。

ユナイテッド投信投資顧問の高塚孝一シニアファンドマネージャーは、 「4-6月期の国内の企業業績は15%程度の減益となる見通し。企業業績は 良くないが、株価にはすでに織り込まれており、下値を気にする必要はない。 下値固めの状況が続くだろう」と予想している。

トウペやゼンショー下げる、ティアクは急伸

個別では、需要低迷で塗料事業の売上高が当初見込みを下回る上、主原料 の溶剤・樹脂などの高騰の影響で今期(09年3月期)業績を一転して赤字に 修正したトウペが一時ストップ安。郊外型ロードサイド店に強みを持つレスラ ン業態の「ビッグボーイ」や「ココスジャパン」が想定以上に低迷し第1半期 (4―6月)は8割の最終減益となったゼンショーが急反落した。

また、想定より為替相場が円高で推移した上、銅や鉄などの素材価格の高 騰なども影響し、6月中間期の連結営業利益が前年同期比31%減になったと 午後零時30分に発表したマブチモーターが急落した。

半面、国内で農機の売り上げに回復が見られた上、海外も堅調で9月中間 期の連結営業利益予想を収支ゼロから5億円に上方修正した井関農機が続伸。 第1四半期(4-6月)に海外で周辺機器の売り上げが好調に推移した上、為 替差益が発生したことから午後零時に今期(09年3月期)の経常利益予想を 上方修正したティアックが大幅反発した。

マサーズ、ヘラクレスは算出来安値

国内の新興3市場は下落。ジャスダック指数は前日比1%安の56.29、東 証マザーズ指数は同2.6%安の445.05、大証ヘラクレス指数は同2.3%安の

717.06。ジャスダック指数は年初来安値、東証マザーズ指数、大証ヘラクレス 指数は算出来安値を更新した。年初からの下落率はジャスダックが22%、マ ザーズが43.2%、ヘラクレスは39.3%に達している。市場では、「景気後退 の度合いを見極める上で、新興市場がどこで下げ止まるか1つの焦点」(岡三 アセットの伊藤氏)との声が聞かれた。

下落した銘柄を見ると、レーサム、アセット・マネジャーズ・ホールディ ングス、ダヴィンチ・ホールディングス、グローバル住販、リプラスなどの新 興不動産株が軒並み売りを浴びた。また、通信設備使用料や光熱水道料などが かさみ第1四半期(4-6月)の連結営業利益が赤字となったメディアエクス チェンジがストップ安。