日本株:金融中心に大幅続落、米金融不安の再燃と国内景気後退(2)

午前の東京株式相場は大幅続落。米銀大手 のJPモルガン・チェースが追加評価損を計上するとの発表を受けて金融不安が 再燃しており、三菱UFJフィナンシャル・グループや野村ホールディングスな ど金融株中心に下落した。為替相場で円高が進み、トヨタ自動車やキヤノンなど 輸出関連株も売られた。午前8時50分に発表された4-6月の日本のGDP (国内総生産)は前期比年率2.4%減となり、景気後退入りしたとする見方を裏 付けている。

MU投資顧問の森川央シニアストラテジストは、「中国経済がオリンピック 後に反発しなければ、日本の景気後退の期間や深さが思ったより長くなるという 不安がある。国内景気が決して良くはないので、金融機関の見通しは悪い。貸し 出しの拡大や利ざや改善も期待できず、鳴かず飛ばずのイメージ」と話す。

午前の日経平均株価終値は前日比297円2銭(2.2%)安の1万3006円58 銭。TOPIXは同26.46ポイント(2.1%)安の1244.96。東証1部の売買高 は概算で9億5414万株。東証1部市場の騰落状況は値上がり銘柄数146、値下 がり1480。東証業種別33指数は空運と海運を除いて31業種が下落した。

一時13000円割り込む

午前の日経平均株価は、シカゴ先物市場(CME)の日経平均先物9月物の 12日清算値1万3260円を下回って始まった。その後もじりじりと下げを拡大し、 一時3営業日ぶりに1万3000円を割り込んだ。きっかけとなったのが、米金融 不安の再燃だ。直近の日本株は海外株高やドル高・円安傾向、商品相場の下落な ど外部環境の好転を追い風に上昇してきたが、この日は逆風が吹いた。

米銀大手JPモルガン・チェースは2008年7-9月(第3四半期)に少な くとも15億ドル(約1650億円)の評価損を計上することが明らかにした。届出 書によると、トレーディング状況は7月以降、4-6月(第2四半期)と比べて 「著しく悪化した」したほか、不動産担保証券や貸出債権のスプレッド(米国債 に対する利回り上乗せ幅)が「急速に拡大」して、損失計上につながったという。

サブプライム(信用力の低い個人向け)ローン問題に端を発した金融不安に 対する警戒感が強まり、前日の米株式市場では金融株中心に売られてダウ工業株 30種平均は139ドル安となった。この流れを朝方の東京市場も引き継ぎ、TO PIXの業種別値下がり率上位にはその他金融、保険、証券指数が並ぶ。

為替相場の円高進行も足を引っ張った。午前の東京外国為替相場は1ドル= 108円台後半で推移。一時108円63銭と、1週間ぶりの水準のドル安・円高と なった。東証1部市場の売買代金上位には、トヨタ自動車やホンダ、キヤノン、 ソニーなど輸出関連株が並んだ。

GDPはマイナス

国内景気の後退局面入りが確認されたことも下げを加速させた。4-6月の GDPは前期比年率2.4%減と1年ぶりのマイナスとなった。ブルームバーグ・ ニュースが調査した民間エコノミスト29人の予想中央値(同2.3%のマイナ ス)とほぼ同水準だったが、「いざなぎ景気」(1965年11月から57カ月)を 抜いて2002年から続く戦後最長の景気拡大は、終止符を打つことが改めて確認 された。ガソリンや生活必需品の相次ぐ値上げで個人消費が振るわず、これまで 景気拡大を主導してきた輸出が失速した。

みずほ投信投資顧問の清水毅シニアファンドマネジャーは、GDPについて 「8月の月例経済報告で政府は後退局面にある可能性が高いと示唆したが、今回 のGDPはそれを裏付ける内容となった。企業収益を含めて悪くなっていくため、 しばらくは上値の重い展開になろう」と予測している。

広告やリゾートトが急落、コープケミやIHIは反発

個別では、食料品などの値上げで国内景況感が悪化、米国経済の減速で企業 収益も弱含んでいるとして、2008年9月中間期の連結営業利益予想を9%引き 下げた電通が反落。同業のアサツーディケイも、業績と配当予想の引き下げを受 けて大幅安、博報堂DYホールディングスも1月22日の年初来安値5130円に接 近してきている。

このほか、会員権買い控えなどで今期(09年3月期)業績予想を下方修正 したリゾートトラストは、急落して約6年ぶり安値に沈んだ。電炉用人造黒鉛電 極の需要が増大して08年6月中間期は19%の営業増益となったが、下半期は 6%の営業減益という前回予想を据え置いた東海カーボンも急落。

半面、主力の肥料事業で値上げに備えた前倒し的な仮儒が発生したことが大 きく寄与し、第1四半期(4-6月)の利益が9月中間期計画を上回ったコープ ケミカルが急反発。提携先の拡充などでTSUTAYAの会員数が大きく伸びて 4-6月期(第1四半期)決算は36%の営業増益となったカルチュア・コンビ ニエンス・クラブ(CCC)が急騰した。エネルギー・プラント事業の回復で、 第1四半期純損益が黒字に転換したIHIは反発。