東京外為:円買い戻し進む、欧州景気の減速懸念でユーロの調整継続

午前の東京外国為替市場では円の買い戻し 圧力が強まっている。ユーロ・円相場は一時1ユーロ=162円14銭(ブルーム バーグ・データ参照、以下同じ)と、6月4日以来、約2カ月ぶりの円高値を 付けた。欧州の景気減速懸念を背景にユーロの調整が進むなか、株価の下落で 投資家のリスク回避姿勢も警戒され、円の買い戻し優勢の展開となっている。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部の伊庭剛バイスプレジデント は、基本的に調整色が非常に強い市場環境のなか、ドルの買い戻しが一巡して いる一方で、オセアニアや高金利通貨に対して円の買い戻しが目立っていると 説明。そうしたなか、「今後は日々発表されるマクロ指標などを受けて、弱い 材料が出た通貨が日替わりで売られやすい相場展開が続く」とみている。

ドル・円相場はクロス・円(ドル以外の通貨と円の取引)での円買い戻し が波及して、一時1ドル=108円63銭と、1週間ぶりの水準までドル安・円高 が進んでいる。

ユーロ圏の景気減速感根強い

ユーロ圏では14日に4-6月の域内総生産(GDP)が発表される。12日 には、ドイツのシュタインブリュック財務相が通信社マーケット・ニュース・ インターナショナル(MNI)とのインタビューで、4―6月の独GDP伸び 率がマイナス1%になった可能性があるとの見解を示すなど、景気の減速懸念 が根強く残っている。

ユーロの先安観に加えて、前日の米株下落を受けて投資家のリスク許容度 が低下するとの見方もあり、クロス・円では円の買い戻しが継続している。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の井上英明グループマネージャーは、全般 的に調整相場入りといった感があり、ユーロは調整と景気悪化の両面でまだま だ下値を探る展開が続くと予想。そうしたなか、「米株が金融関連を中心に下 落基調を強めており、株価動向をみながら、クロス・円では円の上値を試す動 きが出やすい」とみている。

一方、この日の東京時間午前8時50分には日本の4-6月期GDPが発表 されたが、結果は市場予想の範囲内となり円相場への影響は限定された。

BBHの伊庭氏は、「日本のGDPに関しては、4-6月は個人消費の落 ち込みを背景にすでにマイナスが予想されおり、世界的に景気減速感が広がっ ている状況では、予想の範囲内であれば、為替相場への影響は比較的軽微にな る」とみていた。

米信用不安根強い、小売統計を見極め

半面、米銀大手JPモルガン・チェースが7-9月期に少なくとも15億ド ル(約1650億円)の評価損を計上する可能性が12日までに明らかとなり、サ ブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題を背景とした景気の先行 き不透明感が払しょくし切れない状況が再び浮き彫りとなった。

このため、欧州やオセアニアの景気減速感を背景に進んでいたドルの買い 戻しが鈍り、海外市場ではユーロ・ドル相場が一時1ユーロ=1.4964ドルと、 ドルが東京市場で付けた2月26日以来の高値1.4816ドルから押し戻された。

そうしたなか、この日の米国時間には7月の小売売上高が発表される。市 場では戻し減税の効果がはく落して、マイナスに落ち込むとの予想もあり、米 景気に対する弱気の見方が戻れば、一段とドルの買い戻し余力が落ちる可能性 が警戒される。

ただ、「米国の個人消費に関しては、市場が弱気の見通しに傾いているも のの、意外に底堅い可能性もあり、蓋を開けて見ないとわからない」(三菱U FJ信託銀・井上氏)ともいい、指標発表を控えて、積極的なドル売りの動き が出にくい面もある。

--共同取材:吉川淳子 Editor:Tetsuzo Ushiroyama, Norihiko Kosaka

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