東京外為:円に買い戻し圧力、欧州景気の減速懸念でユーロの調整続く

午前の東京外国為替市場では円の買い戻し 圧力が強まっている。ユーロ・円相場は一時1ユーロ=162円52銭(ブルーム バーグ・データ参照、以下同じ)と、6月5日以来、約2カ月ぶりの円高値を 付けた。欧州の景気減速懸念を背景にユーロの調整が進むなか、株価の下落で 投資家のリスク回避姿勢も警戒され、円の買い戻し優勢の展開となっている。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の井上英明グループマネージャーは、全般 的に調整相場入りといった感があり、ユーロは調整と景気悪化の両面でまだま だ下値を探る展開が続くと予想。そうしたなか、「米株が金融関連を中心に下 落基調を強めており、株価動向をみながら、クロス・円(ドル以外の通貨と円 の取引)では円の上値を試す動きが出やすい」とみている。

ユーロ圏の景気減速感根強い

ユーロ圏では14日に4-6月の域内総生産(GDP)が発表される。そう したなか、12日には、ドイツのシュタインブリュック財務相が通信社マーケッ ト・ニュース・インターナショナル(MNI)とのインタビューで、4―6月 の独GDP伸び率がマイナス1%になった可能性があるとの見解を示すなど、 景気の減速懸念が根強く残っている。

ユーロの先安観に加えて、前日の米株下落を受けて投資家のリスク許容度 が低下するとの見方もあり、クロス・円では円の買い戻しが継続している。

一方、この日の東京時間午前8時50分には日本のGDPが発表されたが、 市場予想の範囲内の結果となり円相場への影響は限定された。

三菱UFJ信託銀の井上氏は、日本のGDPについて「よっぽど弱ければ 円売りの可能性もあるが、クロス・円で円の買い戻し圧力が強まっている状況 から、影響は限定される」とみていた。

米信用不安根強い、小売統計を見極め

半面、12日までに米銀大手JPモルガン・チェースが、7-9月期に少な くとも15億ドル(約1650億円)の評価損を計上する可能性が明らかとなり、 サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題を背景とした景気の先 行き不透明感が払しょくし切れない状況が再び浮き彫りとなった。

このため、欧州やオセアニアの景気減速感を背景に進んでいたドルの買い 戻しが鈍り、海外市場ではユーロ・ドル相場が一時1ユーロ=1.4964ドルと、 ドルが東京市場で付けた2月26日以来の高値1.4816ドルから押し戻された。

ドル・円相場はドルが前日の高値1ドル=110円35銭から押し戻される展 開となっており、この日の東京市場では109円台前半まで下落し、上値の重い 推移となっている。

そうしたなか、この日の米国時間には7月の小売売上高が発表される。市 場では戻し減税の効果がはく落して、全体の伸びがマイナスに落ち込むとの予 想もあり、米景気に弱気の見方が戻れば、一段とドルの買い戻し余力が落ちる 可能性が警戒される。

ただ、「米国の個人消費に関しては、市場が弱気の見通しに傾いているも のの、意外に底堅い可能性もあり、蓋を開けて見ないとわからない」(三菱U FJ信託銀・井上氏)ともいい、指標発表を控えて、積極的にドルを売る動き も見られていない。