東京外為:ドル・円もみ合い、欧州景気の減速懸念-米欧指標を見極め

東京外国為替市場ではドル・円相場が1ド ル=110円ちょうどを挟んでもみ合った。米国に出遅れるかたちでユーロ圏やオ ーストラリアなどの景気減速見通しが強まるなか、これまで買い進められてい た高金利・資源国通貨に売り圧力がかかりやすくなっており、ドルと円の買い 戻しが交錯する格好となった。

みずほコーポレート銀行国際為替部の岡田雅雄参事役は、ここのところ続 いているドルの上昇がどれだけの持続力を今後も持ち得るのかという点を判断 するうえで、週央以降に発表される米欧の経済指標が注目されると指摘。「ユ ーロ圏全体に加えて、ドイツとフランスそれぞれの国内総生産(GDP)が発 表される予定で、ここが大きな分岐点になる」とみており、ユーロ圏景気の減 速と米経済の復活を示す数字が出てくれば、再びドル高が加速する展開もあり 得るとみている。

ドル・円相場は、早朝の取引では対ユーロでのドル買いに引っ張られて一 時110円39銭(ブルームバーグ・データ参照、以下同じ)と、1月2日以来の 水準までドル高が進行。その後は、クロス・円全般で円の買い戻しが活発化し、 109円63銭まで円が値を戻す場面もみられた。

ユーロが下落

米国のサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題などを背景 にユーロ・ドル相場は7月15日に一時1ユーロ=1.6038ドルと、ユーロが1999 年1月に発足して以来の高値を更新した。

しかし、その後はユーロが伸び悩む展開が継続。そうしたなか、先週7日 には欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁が政策委員会後の記者会見で、4 -6月と7-9月の成長は「特に弱い」との見通しを示したことをきっかけに、 ユーロ売りが加速する格好となった。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドのヘッド・オブ・FXストラテ ジー・ジャパンの山本雅文氏は、「ECBはこれまで景気に楽観的な見通しを 維持する一方で、インフレ警戒をより強く出していたため、追加利上げが視野 に入っていたが、景気が明らかに悪化している状況から、利下げが織り込まれ つつある」と説明。ユーロは来年にかけて軟調な状況が続くとみている。

さらに、先週末にはグルジアからの分離独立を目指す南オセチア自治州で、 グルジアとロシアの軍事衝突が伝わっており、週明け早朝の東京市場では、原 油相場の下落も相まって、「持ち高調整に伴うユーロ売りが一方向的に進む展 開」(新生銀行キャピタル・マーケッツ部・キム・カンジャ次長)になった。

ユーロ・ドル相場は早朝の取引で一時1.4907ドルと、2月26日以来のユ ーロ安値を付けた。ユーロ・円相場も一時1ユーロ=163円65銭と、6月5日 以来の水準までユーロ安・円高が進む場面が見られている。

今週はユーロ圏の4-6月期GDPが14日に発表される予定だが、ECB の政策委員会メンバー、ウェリンク・オランダ中央銀行総裁は、「4-6月に かなり急速に悪化した」ことから、同四半期の成長率は「それほど良さそうも ない」との見方を示している。

来年の利上げ期待は米国のみ

また、オーストラリア準備銀行(RBA)はこの日に公表した四半期報告 書で、2008年のGDP予想を下方修正。内需の「大幅な鈍化」により、利下げ 余地が今後拡大するとの見通しを示した。

市場では、「蓋を開けてみると、来年以降に利上げ期待があるのは米国だ けになってしまった」(シティバンク銀行個人金融部門リテール・プロダクト 本部為替市場調査・尾河真樹シニアマーケットアナリスト)との指摘が聞かれ、 目先はドルの買い戻し継続が見込まれている。

豪ドルは円とドルに対して弱含みとなっており、追加利下げ観測が生じて いるニュージーランド・ドルも上値の重い展開が続いている。

米経済指標を見極めへ

一方、前週末の米国市場では、ニューヨーク原油先物相場が4ドルを超え る急落となった。シティの尾河氏は、「サブプライム問題が発生して以降、米 国から逃げてきた投資資金が原油相場を押し上げていたが、足元ではその逆戻 しが起きており、ドルの上昇要因になっている」と説明している。

ただ、13日に7月の小売売上高が発表されるなど、今週は米国でも経済指 標の発表が控えており、ドルに強気のムードがどこまで持続するかには疑問符 が残りそうだ。

尾河氏は、「米国では今までの減税効果がはく落していくなかで、秋口に かけて経済指標は弱いものが出やすい」と指摘。足元では他国の景気見通しが 急に悪くなったということで、ドルが押し上げられているものの、米経済指標 が弱くなっていくなかで、一時的にドルが売られる可能性もあるとみている。

--共同取材:曽宮一恵 Editor:Tetsuzo Ushiroyama, Hidenori Yamanaka

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 三浦和美 Kazumi Miura

+81-3-3201-8583 kmiura1@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo

+81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net 香港 Sandy Hendry

+852-2977-6608 shendry@bloomberg.net

円に関するニュース JPY <Crncy> CN ユーロに関するニュース EUR <Crncy> CN ドルに関するニュース USD <Crncy> CN