米ARS問題に伴うコスト、投信不正取引などを上回る可能性も

米国の入札方式証券(ARS)問題をめぐ る連邦・州当局の調査を終わらせるためにウォール街が負担するコストは、過 去10年間の投資信託の不正取引やアナリストの調査をめぐる制裁の規模を上回 る可能性がある。

UBSとシティグループは先週、約260億ドル(約2兆8600億円)相当の ARSを顧客から買い戻し、合計2億5000万ドルの罰金を支払うことで合意し た。両社はARSを短期金融商品の代替となる安全な投資先として販売してい たという当局の調査結果を受けた措置だ。メリルリンチも100億ドル相当を買 い戻す計画を発表。ニューヨーク州のクオモ司法長官は8日、ARSを販売し たほかの企業に対する調査が続いていることを明らかにした。

米銀バンク・オブ・アメリカ(BOA)のアナリスト、ジェフリー・ロー ゼンバーグ氏の先週のリポートによれば、金融機関は顧客から買い戻したAR Sで計40億ドルの評価損を強いられる可能性がある。

2003年に始まった投信の不正取引をめぐる調査は、計50億ドルを超える罰 金支払いや手数料の引き下げ合意につながったほか、アナリストの中立性をめ ぐる問題では、スピッツァー前ニューヨーク州司法長官や、証券取引委員会(S EC)など連邦当局が10社に対して計14億ドルの罰金支払いを命じた。

デューク大学のジェームズ・コックス教授(証券法)は、ARS問題をめ ぐるウォール街と当局の合意について「本質的に違法でない商品を開発した被 告が、これほどの規模の買い戻しを強いられた例はこれまでに見たことがない」 と指摘している。