7月の銀行貸出は堅調な伸びを維持、設備投資向け需要は低下も(3)

日本銀行が8日発表した貸出・資金吸収動 向等によると、エネルギー・原材料価格の高騰で運転資金需要が増加しているこ とから、銀行貸出は堅調な伸びが続いた。ただ、景気の先行き不透明感から設備 投資向けの貸出需要が低下しているとの指摘も出ている。

7月の銀行貸出平均残高は前年同月比2.0%増、銀行・信金計の貸出平均残 高は同1.8%増と、いずれも前月と同じ伸びだった。貸出債権の償却や流動化な ど特殊要因を調整した銀行貸出平均残高は同2.5%増と、2007年1月以来の高 い伸びとなった。

リーマン・ブラザーズ証券の川崎研一チーフエコノミストは銀行貸出が堅調 な伸びを続けている背景として、「一部、地方公共団体向けの貸し出しの増加が 寄与している。大企業向けや個人向けの貸し出しの伸び率の上昇も寄与している が、企業向けに関しては、原材料価格の高騰から企業が運転資金の借り入れを増 やしていることが影響している」と指摘。その上で「景気の減速に伴い、設備投 資資金等の長期的な資金需要は弱まっていると考えられる」としている。

政府は7日公表した8月の月例経済報告で、日本経済の基調判断を「景気は このところ弱含んでいる」に下方修正し、4年8カ月ぶりに「回復」の表現を削 除した。輸出・生産などの減少を踏まえ、前月までの景気回復が足踏みする「踊 り場」状態から、後退局面に入った可能性があるとの認識を示した。2002年2 月から続いてきた戦後最長の景気拡張局面に、終止符が打たれた公算が大きくな った。

7月の銀行貸出平均残高の内訳は、都銀等が同1.0%増、地銀・第2地銀は 同3.2%増。信金は同0.6%増。外銀は同28.0%増。特殊要因調整後の内訳は 都銀等が同1.5%増。地銀・第2地銀は同3.6%増だった。

日銀の北原道夫金融機構局参事役は「原材料の値上がり等を背景に大企業の 運転資金需要が増えており、銀行は貸し出しの増加、企業は預金の取り崩しで対 応している。住宅ローンも堅調が続いている。ただ、地方や中小の金融機関から は、運転資金需要が増えているとの声がある一方、景気の先行き不透明感から企 業の設備投資向けの借り入れ姿勢が慎重になっているとの声も聞かれる」として いる。