月例報告:景気の基調判断「弱含み」に下方修正-後退局面の公算(2)

政府は7日公表した8月の月例経済報告で、 日本経済の基調判断を「景気はこのところ弱含んでいる」に下方修正し、4年 8カ月ぶりに「回復」の表現を削除した。輸出・生産などの減少を踏まえ、前 月までの景気回復が足踏みする「踊り場」状態から、後退局面に入った可能性 があるとの認識を示した。2002年2月から続いてきた戦後最長の景気拡張局面 に、終止符が打たれた公算が大きくなった。

月例経済報告で景気が「弱含み」との表現を使用するのは、01年5月以来。 先行きについても「当面、弱い動きが続く」との見方を示し、米国経済の持ち 直しとともに回復していくとした前月までのシナリオを棚上げした。主要な項 目別には、輸出、生産、雇用情勢について前月から判断を下方修正する一方、 個人消費と設備投資は「おおむね横ばい」との判断を維持した。

福田康夫首相は同日夕、首相官邸で記者団に対し、景気の現状について「後 退というか、減速がかなり明確になった」との認識を示した。首相は「厳しさ はわたしも感じている」とも指摘。その上で、「国民生活も企業活動も、いろ んな分野で元気が出るような取り組みをしていかなければいけない。そういう ことについてはすでに党や関係省庁にも指示している」と述べ、経済対策の策 定を急ぐ考えをあらためて示した。

また、与謝野馨経済財政政策担当相は月例経済関係閣僚会議後の会見で、 景気が後退局面入りしたかとの質問に対し、「専門用語であまり使われないの で、後退という言葉は使わないが、文字通り弱含みであることは、日本の経済 は必ずしも楽観視できない状況に入りつつある」との認識を示した。

景気回復時期は諸外国経済に依拠

経財相は景気回復の時期については「アメリカをはじめとした諸外国の経 済の状況に依拠するところが大きい」と指摘。さらに、日本のバブル経済崩壊 後の回復には相当時間がかかると予想されていたのに対し、「今回は日本経済 自体の体質がしっかりしている」と述べ、設備・債務・雇用の3つの過剰が解 消されていると説明した。

その上で、「日本経済の内在的なマイナス要因はない。それによって今回 の状況が招来されたものではない。従って、対外的な要因が解消されれば、日 本経済は自ずと元に戻ると確信を持って申し上げられる」と強調した。

一方、内閣府政策統括官付参事官の西崎文平氏は、足元の日本経済につい て「景気後退局面入りした可能性がある」と指摘し、「数カ月間については、 回復が期待できる状態ではない」と言明した。判断を引き下げた主因について は、米景気減速による直接・間接の影響で「輸出の弱含みが定着した」と説明。 生産についても、2四半期連続の減少と低下傾向が鮮明になっていることに触 れ、「在庫調整に入った可能性がある」と語った。

月例報告では輸出について、欧米向けを中心に輸出減少が続いていること を踏まえ、前月までの「このところ」を削除し、「弱含んでいる」と判断を2 カ月ぶりに下方修正。生産については、電子部品・デバイスを中心に全体とし て在庫調整局面に入っていることを受け「緩やかに減少している」とし、前月 の「このところ弱含んでいる」から2カ月ぶりに判断を引き下げた。

さらに雇用情勢については、6月の完全失業率が4.1%と上昇し、実質雇 用者所得も減少していることなどを受け「厳しさが残る中で、このところ弱含 んでいる」とし、前月までの「厳しさが残る中で、改善に足踏みがみられる」 から6カ月ぶりに判断を引き下げた。

リスクが一部顕在化

月例報告は、先行きについては「アメリカ経済や株式・為替市場、原油価 格の動向等によっては、景気がさらに下振れするリスクが存在することには留 意する必要がある」とし、これまで指摘してきた米国の景気後退懸念などのリ スク要因の一部が、日本経済の減速という形で顕在化したことに言及した。同 時に、さらに下振れリスク要因が残っていることも指摘している。

個人消費については、07年10月に「おおむね横ばいで推移している」へ 下方修正して以来、今月も判断を維持した。 内閣府が需要側と供給側の統計 を総合して指数化した消費総合指数は、4-6月期に前期比0.5%低下したが、 2月のうるう年要因に伴う反動減の要素を除くと同0.1%の減少となった。内 閣府の西崎氏は、個人消費について「ぎりぎり横ばいで粘っている」とする一 方、「当面は個人消費の回復は見込みづらい」との見方を示した。

このほか、住宅投資については「おおむね横ばいになっている」とし、前 月から表現を微修正した。企業収益については「減少している」、設備投資に ついては「おおむね横ばいとなっている」とし、それぞれ前月の表現と判断を 維持した。

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