日本株:輸出中心に大幅反発、インフレ懸念和らぐ-鉄鋼も大幅高に

午前の東京株式相場は大幅反発。原油安や 米金融当局の物価見通しをきっかけに米国を中心とした世界的なインフレ懸念 が和らぎ、電機や輸送用機器、機械など輸出関連株中心に幅広い業種が買われ た。個別では、トヨタ自動車やホンダ、ソニー、キヤノンといった時価総額上 位銘柄がそろって急伸。新日本製鉄が4日ぶり急反発するなど、直近の下げが きつかった鉄鋼株も大幅高となった。

三菱UFJ投信の関口研二戦略運用部長は、「原油価格の動きが止まった のは大きい。今年前半の100-120ドルの範囲であれば、不確実性が1つ減っ てきたということになる」と指摘した。

日経平均株価の午前終値は前日比287円24銭(2.2%)高の1万3201円 90銭、TOPIXは22.22ポイント(1.8%)高の1269.93。東証1部の売買 高は概算で9億7378万株。値上がり銘柄数は1392、値下がり銘柄数は229。

東証業種別33指数の騰落状況では、値上がり業種が31、値下がり業種が 2。電気機器、輸送用機器、機械、精密機器、ゴム製品、鉄鋼、化学、不動産 が高い。半面、業績悪化の三菱UFJフィナンシャル・グループが大幅安とな るなど銀行が下げたほか、陸運も安い。

一時118ドル、FOMCは金利据え置き

インフレに対する警戒がやや後退し、幅広い上昇につながった。外部環境 の改善に自律反発も加わり、日経平均は今週に入っての下落で割り込んでいた 25日線(1万3134円)を回復。景気と企業業績に対する警戒は依然根強いも のの、「コマツが9日ぶりに反発するなど、相場が少し落ち着いてきた」(リ テラ・クレア証券の井原翼理事・情報部長)と、安ど感が出ている。

5日のニューヨーク原油先物相場は大幅続落し、一時はバレル当たり118 ドルちょうどまで落ち込んだ。7月11日の最高値147.90ドルからは20%の下 落率となる。また、同日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデ ラルファンド(FF)金利の誘導目標を予想通り2%に据え置くことを決定。 声明では1次産品価格上昇に関し、前回までの「上昇が続いており」から「先 に見られた」へと修正。過去の事象と表現することで、価格上昇が頭打ちにな ってきたとの認識を示した。

7月の米雇用統計では名目賃金が抑制されるなど、FOMCが警戒する長 期のインフレ期待の各指標は足元で低下。原油価格が再び上昇しなければ、総 合インフレも今後は低下が予想される。今回の声明を受け、「少なくとも年内 はFF金利の誘導目標を現行の2%に据え置くことになろう」(三菱UFJ証 券の森山昌俊シニアエコノミスト)との見方が一般的となっている。

丸和証券の小林治重調査情報部長は、「原油価格の下げが鮮明になり、イ ンフレ懸念は影が薄くなった。米金融当局が厳しい認識を示すなど景気はまだ 見極めなければならないが、2つの懸念のうち、1つについては安心感が出て いる」と話した。インフレ懸念の後退とともに、企業業績悪化に対する過度の 警戒も緩和したことで、幅広い上げにつながった。

電機の上昇率高い

輸出関連株の中でも、午前は電機株指数の上昇率が3.9%高と特に大きか った。ソニーが前日比5.4%高、キヤノンが5%高、富士通は8%高。原油安 によって、米個人消費に対する不安が弱まった格好だ。きのうの米国株市場で は、百貨店チェーンのシアーズ・ホールディングが急伸し、S&P500種の小 売株指数は5.4%上昇、24業種の中で上昇率3位となっていたことも好影響を 与えた。

ソニーについては、ドイツ最大のメディア会社ベルテルスマンが保有する 音楽事業合弁会社ソニーBMG・ミュージックエンタテインメントの持分50% をソニーが取得すると5日発表。野村証券金融経済研究所などが株価にポジテ ィブとの判断をしている。また、野副州旦社長の就任後初の経営方針説明会が 5日開催された富士通も、大和総研が投資家向けメモで「全体としてはポジテ ィブな印象」とコメントしていた。

日電波が値上がり1位、三菱レは急落

個別では、循環回復への期待などからUBS証券が格上げした日本電波工 業が値幅制限いっぱいのストップ高となり、午前の東証1部値上がり率1位。 業績予想を引き下げながらも、新たなリスクが浮上したわけではないとして中 長期成長力が評価されたセキュアード・キャピタル・ジャパン、4-6月期の 連結営業利益が同68%増と伸びた日本写真印刷もそれぞれ大幅高となった。4 -6月期の連結営業利益が前年同期比7.2%増となったツムラは2年ぶりの高 値。4-6月期業績が堅調でアナリストからポジティブとのコメントが相次い だソフトバンクは反発した。

半面、今期業績予想を減額したことを受け、日興シティグループ証券が格 下げした三菱レイヨンが急落。利益予想を引き下げたアシックスやウッドワン、 双葉電子工業、三菱ガス化学もそろって大幅安となった。野村証券金融経済研 究所が投資判断を引き下げた住友重機械工業は反落。