三井造:今期業績に下振れ懸念-さらに「30%程度コスト増」と社長

【記者:松井博司、菅磨澄】

8月6日(ブルームバーグ):国内造船第3位の三井造船では、鋼材価格の 予想以上の値上りで、今期(2009年3月期)業績予想を下方修正する可能性が 出てきた。加藤泰彦社長は1日、ブルームバーグ・ニュースのインタビューで、 今期の造船事業の鋼材コストに関し、さらに「30%程度増加している」と指摘。 主力の造船業は価格転嫁が難しく、今期業績予想に「下振れの懸念もある」と語 った。

三井造船は5月8日の決算発表で、今期予想の連結業績を、売上高が前期比

7.7%増の7100億円、営業利益は同3.1%減の350億円、連結純利益が同3.4% 減の160億円と見通している。このうち、船舶部門では売上高3200億円、営業 利益100億円を計画していた。

加藤社長は、今期に入って鉄鋼メーカーから「見込んでいた以上」の値上げ 要請があったという。売上高の4割以上を占める船舶部門では受注時に価格を決 める商慣習で、船主に「価格の変更をお願いする状況にはない」とし、今期業績 に「少なからぬ影響が出てくる」とみている。ただ、加藤社長は、第1四半期 (08年4-6月)決算発表を7日に控え、具体的な数値に関しては言及しなか った。

鉄鋼大手の新日本製鉄では、造船大手と進めていた厚鋼板の価格交渉がトン 当たり3万円の値上げで決着しており、今上期中に段階的に実施。造船各社は受 注済み船の価格値上げが困難で、値上げに難色を示していたが、世界的な鉄鋼需 給ひっ迫により安定調達を優先し、値上げを飲んだ格好だ。

受注好調、供給過剰の見方にも楽観的

現状について加藤社長は、損益面で逆風でも、受注面で「3-4年先まで受 注を抱えている」と指摘し、「無理に注文を取っていく状況にはないため、われ われにとって魅力的な船を選別受注していくのが今の環境」という。鋼材だけで なく船価も値上りしているため、現在受注している船舶については満足な価格で 受注できていると強調する。また、「主力商品のばら積み貨物船の引き合いは活 発なので、しばらく、この状況は続く」とみている。

ただ、業界では10年以降、船舶が供給過剰となり、海上運賃や船価の下落 要因になるのではないかと懸念する声もある。加藤社長は「40-50%の需給ギャ ップが出るのではないかとも言われている」としながらも、中国、韓国などの新 興造船所で引き渡しが遅れていることを挙げ、「エンジンなどキーコンポーネン トの調達や、スキルを持った職人が確保できないだろう」とみている。「2010 年問題はいつか来るだろうが、まだ先の話」とし、船価の下落に関して「少なく ともここ4-5年は心配する必要はない」と楽観的だ。

海外進出も選択肢

日本の造船業界では中韓などの造船会社に対抗してコスト競争力などをつけ る方策を模索する動きが出ている。加藤社長は「クオリティのある、船主にとっ て魅力的な船を供給できれば、日本の造船は評価され生き残れる」と話すが、I HIとJFEホールディングスは生き残りを賭けて造船事業統合の話し合いを始 めている。

加藤社長は再編を模索することの是非について「判断がついていない」と話 す。同社は傘下に三井海洋開発や四国ドック、新潟造船など本体とは違う船種 (ふなだね)を建造している企業をそろえ、独立独歩の路線を歩んでいるが、 「この体制は今後も堅持していく」と強調する。

一方、日本の造船会社が人手不足や技術伝承、コスト高に悩んでいるのも事 実。川崎重工業が現地資本と合弁で設立した中国の造船会社に一部の造船を任せ ている。三菱重工業もベトナムで造船を計画しており、進出の検討を開始、その 準備も兼ねてベトナムから研修生の受け入れを始めている。三井造船も環境は同 じで、加藤社長は両社のように中国やベトナムなどへの「海外進出については選 択肢の一つだ」と述べ、今後の検討の可能性を示唆した。

--共同取材:安真理子、竹本能文、Mike Firn Editor:Hideki Asai、 Kenshiro Okimoto

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