ウォール街の弁護士にも信用逼迫-収入不透明で銀行が前払い拒否

信用逼迫(ひっぱく)はウォール街を活躍の 場とする大手法律事務所のパートナーたちの懐にも影響し始めた。弁護士たちは 通常、年間の総収入見込みに基づいて前払いの形で銀行から現金を引き出すこと ができたが、今年は収入が例年に届かない恐れから、一定額以上については銀行 に利子を支払わなければならない羽目になった。

法律事務所の多くでは、年末にパートナーの間で分け合う収入がどの程度に なるかが分からない状態だ。あるコンサルタントは15%の収入減少を予想して いる。このため、パートナー契約により保証されている最低額以上の現金が必要 な弁護士は、銀行から融資を受けることになった。

英銀バークレイズで専門職向けサービスのチームを率いるアンドルー・ジョ ンマン氏は「業界全体で、このような事態になったのは前代未聞だ」と話す。 「これまでは常に、十分な利益が上がるという確信があった」と指摘する。

ブルームバーグ・データによれば、今年は合併などの金融案件が34%減少。 一般の訴訟も減っているなかで、法律事務所は可能な限りコスト削減を図ってい る。法律事務所が節約するのはハイテクバブル破裂後や米同時多発テロ事件後の 不況時以来のことだ。

総収入で上位100に入る法律事務所のパートナーたちの2007年の1人当た り収入は中央値で120万ドル(約1億3000万円)だったが、ニューヨークの法 務・経済コンサルタント、ブルース・マクウィン氏は、今年は最大で15%の減 少と予想している。

微妙な判断

信用危機発生以来の大手金融機関の損失は、収入の多くを金融案件から得る 法律事務所の商売にも濃い影を落としている。ジョンマン氏によると、事務所運 営のための借入金が昨年よりも25%増えている事務所は数多い。「幾らまで支払 っても大丈夫かを見極めるのが難しいところだ」と同氏は述べた。

ジョンマン氏の顧客には、収入で米上位50の事務所のうちの15が含まれて いる。同氏によれば、ある事務所はパートナー1人につき25万ドルの個人融資 の契約をバークレイズとの間で結んでいる。従来は前払い金として無利子で資金 を引き出せたが、今は3.5%の金利を払わなければならないという。

法律事務所のパートナーへの利益分配は通常、年央と年末に行われる。バー クレイズと融資契約を結んだ事務所は年央の分配を取りやめたという。米銀シテ ィグループ傘下のシティ・プライベート・バンクの弁護士担当グループ責任者、 ダン・ディピエトロ氏は、融資を頼むパートナーの数は「相当増えている」と話 している。