東京外為:円の買い戻し加速、利下げ観測でオセアニア通貨に売り圧力

東京外国為替市場では午後の取引で円が強 含み。日中は1ドル=108円20銭付近での小動きが続いていたドル・円相場は 一時107円72銭(ブルームバーグ・データ参照、以下同じ)まで円が水準を切 り上げた。景気減速や利下げ観測を背景にオセアニア通貨の売り圧力が強まる なか、午後はオーストラリア準備銀行(RBA)がインフレの鈍化見通しを示 したことをきっかけに豪ドルが一段安となり、徐々に円の買い戻しが優勢な展 開となった。

資産管理サービス信託銀行資金為替部の野村祥宏調査役は、「豪やニュー ジーランド(NZ)はファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)の雲行きが 怪しくなってきており、これまで一本調子で上昇してきた豪ドルとNZドルに 売り圧力がかかりやすい」と指摘。東京市場では、国内投資家を中心にクロス・ 円(ドル以外の通貨と円の取引)で円買いが出やすく、じわじわとドル・円相 場に波及する格好になったと説明している。

豪中銀がインフレ鈍化見通し示す

NZ準備銀行のボラード総裁はこの日、ラジオ・ニュージーランドとのイ ンタビューで、「景気の軟化局面では、人々が値上げなどに消極的になるため、 十分な利下げ余地が生じる」と発言した。

さらに、午後にはオーストラリア準備銀行(RBA)の政策決定会合の結 果が伝わった。市場予想通り政策金利は据え置かれた。スティーブンス総裁は 「需要の鈍化を背景に、金融当局は今後現行よりも引き締め姿勢を緩めた政策 に移行する余地が拡大しているとみている」と説明。また、同総裁は2010年に インフレ率は3%未満に低下するとの見通しも示した。

大和証券SMBC金融市場調査部の長崎能英シニアFXストラテジストは、 「これまでオセアニア通貨にはそれなりに資金が入ってきていると思われ、悪 い話に反応して持ち高を落とす動きが一時的に強まる可能性がある」と指摘し ていた。

豪ドルは対円で1豪ドル=99円31銭と、6月3日以来の水準まで下落。N Zドルも1NZドル=78円台前半と、前日のニューヨーク時間午後遅くに付け た78円99銭から大きく値を下げた。

ユーロ・円相場は一時1ユーロ=167円台前半と、前日のニューヨーク時間 午後遅くに付けた168円64銭からユーロ安・円高が進んだ。

FOMCを見極め

一方、この日の米国時間には連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市 場委員会(FOMC)を開く。ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想 では、政策金利は据え置かれる見通しで、先行きの政策動向を見極める上で、 声明文の内容が焦点となっている。

前回6月会合の声明文では、「経済成長の下振れリスクが残るものの、幾 分か縮小したもようであり、インフレとインフレ期待の上振れリスクは拡大し た」として、インフレへの警戒度が高められた。経済指標の弱含みや信用不安 がくすぶるなかで、インフレと景気判断のバランスをどのようにとるかが注目 される。

みずほコーポレート銀行国際為替部の加藤倫義参事役は、FOMCについ て、「市場は中立の見解を見込んでおり、ドルにはポジティブになりにくい」 として、結果が判明するまでは警戒感から小幅な値動きが続くとみている。

原油相場が急落

半面、前日の海外市場では、ニューヨーク原油先物相場の下落を受けて、 ドル・円相場は一時108円29銭と、2営業日ぶりの水準までドルが上昇した。

また、一時1ユーロ=1.5631ドルまでドル安が進んでいたユーロ・ドル相 場は、1.55ドル半ば近辺までドルが反発。この日の東京時間では一時1.5523ド ルと、2営業日ぶりの水準までドルが上値を切り上げている。

大和証券SMBCの長崎氏は、「先週末にイランの核開発問題で原油相場 が上昇した局面では107円台前半までドルが売られ、原油が落ち着くと、ドル は戻ってくるといった感じで、原油相場の動向に振らされている格好になって いる」と説明している。