みずほC・福井氏:ドル来年初めに90円、FRB利下げも-米にデフレ圧力

米国経済は、戻し減税による景気浮揚効果が 薄れれば、急減速しかねない。原油など資源価格が高騰を続けない限り、景気低 迷でデフレ圧力が高まるため、米連邦準備制度理事会(FRB)は利下げを再開 する――。みずほコーポレート銀行国際為替部の福井真樹シニアマーケットエコ ノミストは4日のインタビューで、日米金利差と相関性が高い円・ドル相場は、 来年初めにも1ドル=90円程度まで円高・ドル安に振れるとの見方を示した。

福井氏は、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題に端を 発した根強い信用不安などを背景に、米国経済は住宅価格の下落、金融機関の損 失・評価損拡大と貸し渋り、雇用情勢や企業景況感・消費者心理の悪化に見舞わ れていると指摘。潜在成長率を下回る景気低迷が米国経済の需給を緩めるため、 「年末にかけて景気後退色が一気に強まり、利下げ観測が台頭する」と述べた。

日本銀行は政策金利(現在0.5%)を据え置くが、米利下げ観測を受けて、 円・ドル相場と特に相関性が高い2年物国債利回り格差が縮小すると予想。円は 10-12月に100円を突破し、2009年1-3月には今年3月に付けた約12年7カ 月ぶり高値95円76銭を上回って90円程度に上昇。4-6月には、約14年ぶり の円高・ドル安となる85円前後もあり得るという。

FRBは、金融システム不安が表面化した昨夏から今年4月までに、政策金 利を計3.25ポイント引き下げ、2%とした。その後、原油など資源価格の高騰 を背景に、金融市場では早期利上げ観測が台頭。ただ、7月は資源価格が10% 下落し、米住宅公社(GSE)の経営不安説も浮上する中、FRBが年内は利上 げしないとの見方が盛り返した。年内据え置きの確率は約4割とみられている。 1カ月前は2割弱だった。

日米金利差、信用不安

福井氏は、日米金利差を重視。株価や原油相場とは異なり、「混乱期でも平 時でも、円・ドル相場と安定的な関係を見いだせる」と強調した。米2年債利回 りは「近い将来の複数回の利上げを織り込んだ水準にあり、高すぎる」ため、米 景気低迷を映して低下すると予想。政策金利から消費者物価の上昇率を差し引い た実質金利はマイナスで、市場や企業・家計の予想インフレ率上昇が懸念される が、「FRBは景気が回復軌道に乗るまで、複数年にわたってマイナス金利を続 けた実績がある」と語った。

米国だけでなく世界経済の重石となっている信用不安が本格的に収束に向か う時期については、「来年3、4月頃」と予想。09年1月に発足する米新政権 が経済政策の基本方針を固め、住宅市場や金融機関への公的資金投入に本腰を入 れることを条件に挙げた。米住宅公社(GSE)支援法案は7月30日に成立し たが、福井氏は「米大統領選を控え、ブッシュ政権が税金投入に動きづらい事情 を、市場は見透かしている」と指摘した。

円・ドル相場は07年6月につけた約4年半ぶり安値の124円13銭から、今 年3月17日の95円76銭まで約9カ月で22.9%上昇。その後、6月16日の108 円58銭まで13.4%下落した。バーナンキFRB議長やポールソン米財務長官が 米住宅金融大手ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅 貸付抵当公社)の支援策を打ち出した直後の7月16日に一時103円77銭まで上 昇した。