武藤前日銀副総裁:「人間万事塞翁が馬」-大和総研理事長就任で会見

【記者:日高正裕】

6月30日(ブルームバーグ):7月1日付で大和総研理事長に就任する日本 銀行前副総裁の武藤敏郎氏は30日午後、都内で会見し、日銀総裁候補に挙がり ながら国会の同意が得られなかったことについて「人間万事、塞翁(さいおう) が馬」と述べて現在の心境を語るとともに、今後は民間の立場からこれまでよ り自由に情報発信していくと、抱負を語った。

武藤氏は元財務事務次官で、2005年3月から08年3月まで日銀副総裁を務 めた。政府は3月19日に任期終了の福井俊彦前総裁の後任として武藤前副総裁 を昇格させる人事案を提示したが、野党が拒否。政府が次に総裁候補に提示し た田波耕治国際協力銀行総裁や、副総裁候補に提示した渡辺博史前財務官も拒 否され、それ以来、副総裁1人、審議委員1人の欠員が続いている。

武藤氏は「国会の同意人事であり、しっかりと受け止める必要がある」と 言明。「わたしの人生観としては、いろいろなことがかつてもあったし、人間万 事、塞翁が馬というか、淡々と事実を受け止め、新しいポストでしっかり自分 の役割を果たしていきたい」と語った。日銀副総裁と審議委員が空席となって いることについては「一刻も早く正常な姿に戻るのが望ましい」と述べた。

武藤氏は金融政策については「景気の下振れ懸念と物価の上振れ懸念とい う相矛盾する状況にあり、現時点で物事を決め打ちしてどちらかのサイドに立 ってものを言うのは難しい。上に行くこともあれば、下に行くこともあるので、 逐一状況の変化を見極めていくことが最も回答に近づく可能性が高い。あらか じめ特定のポジション取りをしないのが望ましい」と述べた。

一方、消費税率の引き上げ問題については「私自身がどう考えているかを この場で言うのは差し控えさせていただく」として、一転して慎重な口ぶり。 「2050年まで展望すれば何らかの国民負担が必要だろうが、当面の姿について どうするかは政治そのものの話」とした上で、「必要があれば当然議論していき たいが、今はまだ白紙」と述べるにとどめた。

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