米株・債券の4-6月成績は悲惨に-インフレで74年との共通点多数か

投資家は2008年4-6月期に、米国株 式・債券相場の下落で14年ぶりの大打撃を被りそうだ。一部の大口資金運用担 当者は、最悪期が過ぎるまでに投資家が被る損失について、1974年の弱気相場 との共通点が多いかもしれないと指摘する。

S&P500種株価指数は3月末以来3.4%下落、米国債に投資した場合のリ ターンはマイナス2.88%となり、両者を合わせた下落では14年ぶりの規模とな る(メリルリンチとブルームバーグの調べ)。S&L(貯蓄貸付組合)危機が起 きた1990年代以降、株式、債券市場がともに下落したのは6回だけ。原油相場 が19回最高値を更新し、インフレ高進で債券投資の価値が目減りするとの懸念 が広がった。

投資会社ドレマン・バリュー・マネジメントとブラックロック、キャンビ ア・インベスターズは、主要株価指数の一層の下落を乗り切るため、銀行と通信、 石油会社の株式を購入している。3社の運用資産総額は1兆3800億ドル(約 146兆円)。ドレマンのデービッド・ドレマン氏(運用資産約1540億ドル)は、 先週金融機関の株価が10年ぶり低水準に下落するなか、米地銀大手のキーコー プ株を購入。同氏が運用を担当する「DWSドレマン・スモール・キャップ・バ リュー・ファンド」は5年間、同種のファンドの9割を上回る成績を上げている。 ブラックロックは06年以来、配当利回りが最高となっている通信のAT&Tを 買い増し、キャンビアはマラソン・オイルの割安感を指摘する。

ドレマン氏は「インフレ加速と流動性危機の間で、現在の市場環境は私の 人生のなかでも最も厳しい局面の1つといえる」と指摘した上で、しかし「急ぎ 過ぎた結果として生じた損失は、安値買いでおつりがくるだろう」と語った。

弱気相場

ドレマン氏が自分の会社を立ち上げたのは1977年で、S&P500種が30% 下落してから3年後のことだった。74年当時は米インフレ率が一時12.3%と高 水準になり、株価は大きく下げていた。現在、消費者物価指数(CPI)は5月 までの1年間に4.2%上昇し、19の商品を対象とするロイター・ジェリーズC RB指数は過去1年間で49%上昇と、年間上昇率で過去最高となっている1973 年の48%を上回っている。

ダウ工業株30種平均が6月としては1930年以来、国債相場は過去4年で それぞれ最低の成績となり、投資家は今月、損失を被ることになった。米金融当 局が利上げに動くとの観測が、ダウ平均の今月の1292ドル下落につながってい る。S&P500指数の業種別10指数のうち今年上昇しているのは、エネルギー 生産(6.3%)と鉱業・化学(0.5%)の2業種のみ。

バレストラ・キャピタルのライアン・アトキンソン氏(運用資産5億5000 万ドル)は、ダウ平均が06年9月以来の水準に低下しているのは「長期弱気相 場」の一部で、住宅価格が下落し、消費者の間でデフォルト(債務不履行)が増 え、信用収縮が景気拡大を阻害するなか、10-15年続く可能性があるとみる。 同氏は「多くは買い持ち一辺倒で、常に上昇する株を好むに投資家にすぎない」 とし、「歴史は、強気相場があれば弱気相場があることを示しており、今は弱気 相場だ。投資家が見失っているのはその点だ」と語った。

世界の株式相場は6月、02年9月以来で最大の下落となりそうだ。MSC I世界指数は8.4%下落、中国のCSI300指数は22%下げている。

個別物色

米資産運用会社ビリニー・アソシエーツのラズロー・ビリニー社長は、現 在の株式相場について長期的な賭けに出るのは「極めて危険」と指摘し、株価は 過度に振れており、そうした状況がいつ収まるかを検討する上で役立ちそうな 「過去の尺度がほとんどないため」と説明した。

ビリニー社長は、フランスの高級ブランド、エルメス・インターナショナ ルなどの株式を購入している。ブルームバーグのまとめによると、同社を「買 い」推奨している米アナリストは皆無で、17人が「売り」を勧めている。同社 長は米鉄鋼最大手のUSスチールも保有。エルメスは買収観測などを背景に今年 16%上昇、USスチールは熱延鋼板の値上がりが寄与して55%高となっている。 「個別物色を展開している」とし、「恐らく最も骨の折れる仕事だが、報酬も最 高だ。そこに勝機がある」と語った。

キャンビア・インベスターズのブライアン・バリッシュ氏は今年、エネル ギーと原材料会社を購入することで、他社を上回る成績を上げている。米4位の 石油会社、マラソン・オイルや世界3位の産金会社、ニューモント・マイニング 株は、ここ1年間の原油の102%、金の45%それぞれ上昇に後れを取っている として、上昇を見込む。同氏は、エネルギー価格の低下で恩恵を受ける企業や、 景気拡大で利益増が見込まれる企業への投資は敬遠している。「勝ち組は少数で、 負け組が大勢だ」とし、「それはつらいことだが、当社は厳しい向かい風に見舞 われていない分野に資金の集中を図っている」と語った。

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