原油高でも石油メジャーの株価は不振-資源国の政治的障壁が増産阻む

今年は原油相場が過去最高水準にあるにも かかわらず、米エクソンモービル、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェル、英BP への投資家らは損失を出している。これらの石油メジャー(国際石油資本)が、 生産の支配権を国営エネルギー会社に譲渡しているからだ。

ベネズエラは、南米最大の油田であるオリノコ・オイルベルトの開発から エクソンを排除した。これを受け、エクソンのニューヨーク市場の株価は、年 初来で7.6%下落した。ロシアは、220億ドル(約2兆3300億円)規模の石油・ ガス開発合弁事業「サハリン2」の支配権を掌握。ロンドン市場のシェルの株 価は4.6%下げた。ロシア政府が、BPのロシアでの合弁事業TNK-BPから コビクタ・ガス田(シベリア)の買収を計画していると発表したことから、B Pの株価は年初来で8.1%下落した。

新興経済国の需要拡大を背景に、ニューヨークでは原油相場が46%上昇。 過去最高値の1バレル当たり142.99ドルに達した。天然ガス相場も76%高騰し ている。それにもかかわらず、石油会社の株価は低迷している。一方、米エネ ルギー省の推計によると、サウジアラビアやベネズエラなどの石油輸出国機構 (OPEC)加盟国の今年の原油輸出収入は1兆ドルを超えると予想されてい る。

ロイヤル・ロンドン・アセット・マネジメントで約170億ドル相当の運用 に携わるアイバー・ペサー氏は、ロンドンからの電話インタビューで、埋蔵資 源への「アクセスをめぐって、石油各社は民間他社とだけではなく、国営石油 会社とも競合している」と指摘。国営石油会社は現金や最新技術を利用しやす い状況にあるため、「BPやシェルにとって、開発権の獲得は相当困難になって きている」との見方を示す。

需要が拡大するなか、OPEC非加盟国の供給はひっ迫しており、新規の 油田をめぐる競争激化は原油相場の高騰につながっている。世界の2大石油会 社であるエクソンとシェル、欧州2位のBPの生産量は、過去10年間にわたっ て増加していたが、昨年は減少に転じた。

政治的障壁

世界石油会議が今週、マドリードで開催される。エクソンのレックス・テ ィラーソン最高経営責任者(CEO)やサウジのヌアイミ石油鉱物資源相、カ タールのアティーヤ・エネルギー・産業相ら約600人が出席し、埋蔵量や価格、 戦略などに関して協議する予定だ。同会議は3年に1回開かれる。

BPのトニー・ヘイワードCEOは11日、ロンドンで「必要なのは資源へ のアクセスだ。政治的な要因や参入障壁、高い税金がすべて問題になっている」 と語った。原油やガスの増産を阻む障壁は「水面下の問題にとどまらず、表面 化している」と述べ、これらは「地質学的な問題ではなく、政治的な問題だ」 との見方を示した。

ロシアやナイジェリア、ベネズエラは、資源開発を認可する際、国外企業 より国内企業を優遇している。BPの推計によると、国営石油会社は、世界の 原油の確認埋蔵量の総量である1兆2000億バレルのうち、約8割を保有してい る。

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