ムーディーズ:日本国債の格付けを「Aa3」に1段階引き上げ(4)

米格付け会社ムーディーズは30日、日本 国債の格付けを「A1」から「Aa3」に1段階引き上げたと発表した。格付 けの見通しは「安定的」としている。

ムーディーズのシニアバイスプレジデントのトーマス・バーン氏は、格付 けを1段階引き上げた理由について「継続的な財政引き締めあるいは再建の取 り組みへの期待、およびデフレのマイナスの効果のなだらかな低減を背景とし ている」と指摘した。

また、今回、格付け見通しのポジティブへの変更・見直しといった通常の 手順を経ずにいきなり1段階引き上げたことについては「政府および与党の財 政再建へのコミットメントが強いと考えられること」と、「今年度の経済成長 が減速したとしても、不安定な世界経済情勢に対して日本経済はその強さを維 持していくとみられることに基づく」としている。

ムーディーズは昨年10月11日に日本国債の格付けを5年4カ月ぶりに、 それまでの「A2」から「A1」に1段階引き上げた。

政府は先週末27日、成長力強化と財政健全化を柱とした経済財政改革の 指針「骨太の方針2008」を閣議決定。この中で、2011年度の国・地方の基礎 的財政収(プライマリーバランス)の黒字化を実現するため、歳出・歳入一体 改革について最大限の歳出削減を行うことなどを盛り込み、財政規律の維持の 姿勢を強調した。

日本国債の格付け発表後のドル円相場は一時、1ドル=106円07銭(ブル ームバーグ・データ参照、以下同じ)まで円が値を切り上げた。午後1時現在 は106円21銭。円は対ユーロでも一時、1ユーロ=167円43銭まで上昇した。 債券相場では、先物市場の中心限月9月物が午後の取引開始後に、前週末比18 銭高の135円41銭まで上昇し、午前の高値(135円40銭)を上回った。年金 基金などが月末に伴い、保有債券の年限を長期化させる買いを入れたもようで、 格上げの影響は限定的とみられる。

ソシエテ・ジェネラル銀行外国為替営業部長の斉藤裕司氏は「すごい意外 感があった。何の前触れもなかったし、福田政権がそれほど財政再建にアグレ ッシブ(積極的)という印象もないし、増税のタイミングも先送りといっている し、このタイミングは違和感がある」と指摘。その上で、「サプライズはサプ ライズで、例えば日本に資金を入れたいという人がいるとすると、1ノッチ上 がったという既成事実はあるので、機関投資家などはお金を入れやすくなる」 との見方を示した。

バーン氏はまた、日本の消費者物価の動向について「総合ベースでもコア ベースでもプラスの領域に移行しているが、その上昇ペースは他の先進諸国の 例に比べて比較的緩やかであり、マクロ経済の安定性を脅かしたり、日銀によ る予防的な引き締めにつながったりすることは考えにくい」との見方を示した。 その上で、日本の銀行システムについては、「再編が進み、欧米での信用危機 による最悪の影響も回避しているため比較的良好な状態にある」などと指摘し た。

さらに財政状態については、主として公共投資や地方自治体の歳出削減を 通じた継続的な取り組みによって「徐々に改善する傾向」にあるとの認識を示 した。ただし、格付けのもう一段の引き上げについては、「持続的な財政再建 および政府債務削減の見通しが求められる」とした上、「低い出生率および急 速な高齢化を背景とした社会保障費および年金支出の増大という強い向かい 風の中で、政策上の選択肢は限られる」として厳しい見方を変えていない。

--共同取材 小沢 均、小宮弘子、宋泰允 Editor : Masaru Aoki,Hitoshi Ozawa

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