投資銀行間のこの奇妙な構図-不安定な銀行が別の不安定な銀行支える

米サブプライム(信用力の低い個人向け) 住宅ローン関連損失を受け、計473億ドル(約5兆300億円)の増資を実施し た投資銀行の米メリルリンチとスイスのUBS。そんな両社が競合他社の資本増 強の支援役となっている。

英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)による 123億ポンド(約2兆6100億円)の株主割当発行で、メリルとUBSは米ゴー ルドマン・サックス・グループとともに引受会社となった。欧州最大規模の同株主 割当増資ではRBSの株価が年初来で31%下落したことから、引き受け担当の 投資銀行が新株を購入せざるを得ない水準まであと20ペンスとなった。

アクサ・インベストメント・マネジャーズの投資戦略副ディレクター、フラ ンツ・ウェンツェル氏(パリ在勤)は「現在の環境下で、金融機関への投資は失 敗した事業にさらに金をつぎ込むようなものだ。一部金融機関を見守っているが、 投資先として買い入れるにはまだあまりに早過ぎる」と語った。

株主割当を引き受けることによる最大1億700万ドルの手数料収入が、自 社の資本をリスクにさらしても投資銀行が競合他社の増資を支援する理由だ。各 社は同引き受けから計10億ドル超を年初来で手にしており、新規株式公開(I PO)の幹事役による収入の50%減少の一部を補った。欧州の金融機関が1月 以降に株主割当で調達する予定だと発表した金額は785億ドルで、企業が2007 年全体で調達した金額を上回っている(ブルームバーグ調べ)。

メリルで欧州、中東、アフリカ地域の株式資本市場担当責任者を務めるジョ ン・クロンプトン氏(ロンドン在勤)は「これまでの伝統的な収入源の多くをわ れわれは失ってしまった」と指摘。引受業者にとって今年「寄与度が最も積極的 に高いのは株主割当だ」と説明した。

高まるリスク

ただ、金融株の下落で、株主割当の魅力は薄れる可能性がある。MSCI世 界金融株指数は年初来で24%下落。10業種指数のなかで最悪の騰落率だ。

英住宅ローン最大手HBOSの増資(41億ポンド規模)引き受けを手掛け る米モルガン・スタンレーとドレスナー・クラインオート・グループは、HBO Sの新株を7月に購入する必要に迫られるかもしれない。同社の株価は先週のロ ンドン市場で毎日、新株発行価格(275ペンス)を下回る場面があった。

RBSの株主割当が完了する1週間前となった今月2日、同行の株価はロン ドン市場で219.5ペンスへ下がった。年初は381.09ペンスだった。引受業者 は1ペンス200ペンスで購入されないRBSの新株をすべて引き受ける保証を していた。

シュローダー・インベストメント・マネジメント(ロンドン)で欧州株約 35億ドル相当の運用を担当するアンドルー・リンチ氏は「ちょっと不思議な状 況だ。不安定な銀行が別の不安定な銀行を支える構図だ」と語った。

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