【今週の債券】もみ合い、短観悪化は織り込み済み-1.5%台半ばで売り

今週の債券相場は高値圏でのもみ合いが 込まれる。日米の景気懸念や利上げ観測後退から、債券が買われやすい基調が 継続するとみられるが、相場は7月1日発表の企業短期経済観測調査(日銀短 観)で景況感が悪化することをすでに織り込んだ格好。高値警戒感も出ており、 新発10年債利回りが1.5%台半ばに低下すると戻り売りが膨らみそうだ。

10年債利回りの予想レンジ1.55-1.70%

今週の新発10年債利回りについて、27日の夕方までに市場参加者5人に ヒアリングしたところ、全体の予想レンジは1.55%から1.70%となった。前 週に取引された値幅は1.59―1.725%となっており、若干切り下がる見通し。

日興シティグループ証券の佐野一彦チーフストラテジストは、「インフレ から景気後退へのテーマ移行は想定通り。しかし、先週はそれが予想を超えて 進んだ感は否めない。短観の結果次第だが、ここからの利回り低下ピッチは鈍 くなっても不思議ではない」と予想する。

前週の債券相場は上昇。日米景気懸念や株安、信用不安再燃で過度な利上 げ観測が後退し、債券買いが優勢になった。新発10年債利回りは連日、水準 を切り下げて、週末には1.59%と、5月13日以来の1.6%割れを記録した。

しかし、新発10年債利回りは、前週だけで10ベーシスポイント(bp)以上 も低下しており、急ピッチの相場上昇に対する懸念も出ている。岡三証券の坂 東明継シニアエコノミストは、「前週の相場上昇は行き過ぎとみている。何か きっかけがあれば、戻り売りが出る可能性がある」と警戒。振れの大きい相場 展開を見込んでいる。

10年債入札、クーポン1.6%に引き下げか

需給面では、3日の10年利付国債入札が注目。最近の国債入札では、最 低と平均落札価格の差である「テール」が拡大するなどおおむね低調だが、足 元は債券が買われやすい地合いとなっている。AIGインベストメンツの横山 英士ポートフォリオマネジャーは、「利回りは低下しているが、買いの方向と なっているので無難な結果で、波乱はないだろう」と予想する。

もっとも、前週末の入札前取引では、7月発行の10年国債複利利回りは

1.625%で取引されており、表面利率(クーポン)は前回債から0.2ポイント 低い1.6%に引き下げられそう。岡三証券の坂東氏は、「入札前にはさすがに 高値警戒感が出るのではないか」とみている。

日銀短観やECB政策動向も注目

国内指標では、日本銀行が1日に発表する短観(6月調査)が最大の材料。 ブルームバーグの事前調査では、業況判断DIは、大企業・製造業がプラス3、 大企業・非製造業がプラス8と、いずれも今年3月の前回調査の実績(プラス 11、プラス12)から悪化が見込まれている。

ただ、DI悪化はある程度織り込まれており、03年6月調査(旧基準)以 来5年ぶりのマイナスとならない限り、債券相場への影響は限定的となりそう。 三井住友アセットマネジメントの堀川真一保険資産運用第1グループヘッドは、 「悪い数字を織り込み済み。予想通りなら1.6%台で推移する」とみている。

海外市場では、3日の欧州中央銀行(ECB)政策委員会が注目。トリシ ェ総裁は今月初めの会見以降、利上げを繰り返し示唆しており、市場では0.25 ポイントの利上げを予想する見方が多い。同総裁は、連続利上げには否定的な 発言をしているが、声明文や理事会後の会見を受けて、追加利上げ観測がどの くらい残るかが注目される。

市場参加者の予想レンジとコメント

27日夕までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先物 は中心限月9月物、新発10年国債利回りは293回債。

◎岡三アセットマネジメント・山田聡債券運用部長

先物9月物134円70銭-135円80銭

新発10年債利回り=1.55%-1.65%

「米国は危機モード再燃で10年債の4%割れが見込まれ、国内でも大き な節目1.6%を割り込むのは仕方がない。ただ、ECBが利上げ後もタカ派を 継続する可能性があり、1.5%台を深く買い進むのはリスク。10年入札は流れ ないとみるが、入札前に、買いはいったん自制的になる。米雇用統計は強い数 字は予想しづらく、ECB理事会の後に、勢い良く買われることもあり得る」

◎三井住友アセットマネジメント・堀川真一保険資産運用第1グループヘッド

先物9月物134円50銭-135円70銭

新発10年債利回り=1.55%-1.70%

「先週相場が上昇したので、積極的な買いは入らないだろう。注目は日銀 短観の大企業DIだが、悪い数字を織り込み済み。予想通りなら1.6%台で推 移する。米雇用統計も悪いとみている。強めとなった時だけ材料になる。EC Bは予想通り0.25ポイントの利上げを行うだろう。10年債入札はテールが流 れそう。先物の流動性が低く、ヘッジに使いづらく、買いにいけない」

◎AIGインベストメンツ・横山英士ポートフォリオマネジャー

先物9月物135円00銭-135円70銭

新発10年債利回り=1.55%-1.62%

「6月調査の日銀短観が注目されるが、相場への影響としては、米雇用統 計など米経済指標の方が大きいだろう。ECB理事会では、すでに利上げが織 り込まれている。利上げがなければ波乱となるが、予想通りであればそれほど 大きな影響は出ないのではないか。10年債入札は、利回りが低下しているもの の、買いの方向になっているので、無難な結果で、波乱はないとみている」

◎大和証券SMBC・小野木啓子シニアJGBストラテジスト

先物9月物134円50銭-136円00銭

新発10年債利回り=1.55%-1.68%

「先週はインフレ懸念よりも、景気悪化懸念や金融不安などにスポットラ イトが当たる材料が目立ち、週を通じて上値を切り上げた。今週は短観、EC B理事会、米雇用統計などの大きなイベントを消化しながらの展開。週後半に は、10年債入札が予定されていることなどもあり、相場は徐々に上値の重い動 きとなりそうだ。利回り曲線は、中期セクターのへこみが進みにくいとみる」

◎岡三証券経済調査部・坂東明継シニアエコノミスト

先物9月物134円40銭-135円90銭

新発10年債利回り=1.55%-1.70%

「値動きの大きい展開。前週の相場上昇は行き過ぎとみている。これまで の利回り上昇の反動が出たほか、需給要因も相場を押し上げた。月末・月初要 因の需要は次第に薄れていくし、10年債入札前にはさすがに高値警戒感が出そ うだ。短観でDI悪化は織り込まれた印象。前回4月の短観もそうだったが、 事前に相場が急上昇しているので、悪い数字でも反応しない可能性がある」

--共同取材:池田祐美、宋泰允、船曳三郎 Editor:Tetsuki Murotani,Naoya Abe

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