【今週の日本株】下値固め、インフレ抵抗力に海外勢評価-内外で統計

名実ともに7月相場入りする今週(6月 30日-7月4日)の東京株式相場は、下値を固める展開となりそうだ。金融問 題や原油高の影響から米国経済の先行きに懸念は強まっているものの、相対比 較で日本経済のインフレ抵抗力の強さを評価する動きが外国人投資家らから出 ている。国内外で経済実勢を見極める材料が相次ぐ中、日本株の底堅さがあら ためて確認される可能性がある。

三菱UFJ投信戦略運用部の関口研二部長は、「世界的にインフレに対す る警戒感が強まる中、長年デフレ経済下にあった日本は相対的に優位な立場だ。 原油高などを嫌気した世界的な株安に連動する場面でも、下値ではインフレ抵 抗力を評価した買いが入りやすい」と見ている。

日経平均株価の先週末終値は、前の週末比398円(2.8%)安い1万3544 円36銭。一時は約2カ月ぶりに1万3500円を割り込んだ。4月の米スタンダ ード・アンド・プアーズ(S&P)/ケース・シラー住宅価格指数が前年同月 比で15%超の過去最大の下落率を記録し、米住宅問題の先行き不透明感が強ま ったほか、米証券大手ゴールドマン・サックスが金融大手シティグループにつ いて悲観的な見方を示したことなどで金融混乱が警戒された。

外国人の中長期資金が流入

日経平均は先週末まで7日続落と、昨年11月13日までの8日続落以来と なる連続安となった。相場環境は悪化しているが、フォルティス・インベスト メンツ・ジャパンの清川鉉徳ディレクターは、「直近でヘッジファンドのショ ート(売り)が目立った割には大きく下げていない」との認識だ。同氏は、腰 の引けた国内の機関投資家が下値を積極的に拾っているとは思えないとし、 「豊富な資金を抱える中長期運用の海外勢が、比較的安全な投資先として日本 株に資金を振り向けていることが相場の下げを限定的にしている」と見る。

東京証券取引所が26日発表した6月第3週(16-20日)の投資主体別売 買動向(東証・大証・名証の1・2部合計)によると、外国人は12週連続の 買い越し(金額1774億円)となり、4月第1週以降の累計買越額は2兆7000 億円強に達する。6月第3週の日経平均は31円安と軟調だっただけに、外国 人の売り越し転換を予想する向きも多かったが、ふたを開ければ、小泉純一郎 元首相の下での「郵政解散」後の構造改革期待を背景とした2005年6月第3 週から12月1週までの26週連続買い越し以来の連続記録となった。

資産運用管理サービスを提供するラッセル・インベストメントがグローバ ルな日本株運用機関53社を対象に実施した6月調査によると、今後1年間の 日本株の見通しについて65%が強気と答えた。前回3月調査(66%)からほぼ 横ばいだが、国内外債券や為替を含む調査対象10資産の中でトップを保った。 日本株が割安との見方は52%と、3月の76%からは後退したものの、強気の 見通しは崩れていない。

短観DI悪化は反映済み、設備投資計画に警戒も

7月1日には、重要指標である日本銀行の企業短期経済観測調査(日銀短 観、6月調査)が発表される。住友商事総合研究所の奥田壮一チーフエコノミ ストは、「業況判断の落ち込みは避けられそうになく、国内景気の下ぶれリス クが強まっていることを示す内容になりそうだ」と話す。ブルームバーグ・ニ ュースが民間調査機関20社を対象にまとめた予想(中央値)は、大企業・製 造業の業況判断DIがプラス3。前回3月調査の実績プラス11から8ポイン トの低下を見込む。

もっとも、23日発表された4-6月期の法人企業景気予測調査で、大企 業・製造業の業況判断BSIが過去最悪となったことで、「同統計と連動性の 高い短観のDI悪化は、市場では既に相当程度織り込まれている。予想中央値 から余程大きく下ぶれない限り、株売り要因にはならない」(野村証券の佐藤 雅彦エクイティ・マーケットアナリスト)との声が多く聞かれる。

短観では、DIに加え設備投資計画への関心も高い。住商総研の奥田氏は 「大企業・製造業の設備投資計画が上方修正されれば、景気は緩やかながらも 拡大を続けているとの期待を持てるが、逆に下方修正となれば完全に景気後退 モードになる」(同氏)と、警戒感を示す。ブルームバーグ予想では、大企 業・全産業の08年度設備投資計画は前年度比2.0%増と、3月調査(1.6% 減)から上方修正が見込まれている。

米雇用統計とECB理事会

海外では7月3日に発表される6月の米雇用統計が注目だ。今月6日発表 の5月の同統計では、失業率が5.5%と4月の5.0%から急上昇し、雇用情勢 悪化による米景気低迷が長期化するとの警戒感が一気に高まった。「ドル安・ 米株安・原油高の引き金を引いた経緯があるだけに、雇用統計の結果を見るま で市場参加者の慎重姿勢が続きそうだ」(野村証の佐藤氏)。ブルームバーグ 予想(中央値)では、6月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が5万人減少、 失業率は5.4%。

また3日には、欧州中央銀行(ECB)理事会も開かれる。ECBからは トリシェ総裁をはじめ、各理事からも利上げを示唆する発言が相次いでおり、 利上げに踏み切るとの観測が強まっている。大和住銀投信投資顧問の稲葉豊 樹・執行役員株式運用部長は、「米欧の金利差拡大を背景にドル安が進行すれ ば、ドル建て原油など商品相場に資金が流入する可能性が高い。その場合は、 インフレによる世界経済失速への警戒感が一段と高まり、世界的な株安に日本 株も引きずられる」と見る。

第2東京タワー着工、米国でISM指数や自動車販売

このほかの材料として、国内では週初30日に5月の住宅着工統計と建設 工事受注額が発表され、7月4日には5月の景気動向指数の発表が予定されて いる。また、7月1日には東武鉄道が開発主体である第2東京タワーの「東京 スカイツリー」の建設が始まる。

米国では、30日に6月のシカゴ購買部協会景気指数、7月1日に6月の供 給管理協会(ISM)製造業景況指数や自動車販売台数、2日に5月の製造業 受注指数、3日にISM非製造業景気指数などが発表される。4日の米国市場 は独立記念日で休場となる。

*T

【市場関係者の当面の日本株相場の見方】 ●東海東京調査センターの隅谷俊夫投資調査部長

「今週は外部環境の不安定さを引きずる形で、日経平均は1万3000円ま で調整する可能性がある。原油価格は、米国の原油在庫が例年と比べて少なく、 しばらく上昇基調を維持する公算が大きい。米景気は製造業にも不況の波が押 し寄せつつあり、スタグフレーションの様相が出ている。米国株は下値めどが 見当たらなくなっており、イールドスプレッドで割高シナグルが点灯したまま。 原油価格が続伸すれば、米国株はさらに下落するリスクがある」

●東洋証券の大塚竜太情報部長

「日米ともに短期的に大幅に調整してきたため、テクニカル的にリバウン ド相場になろう。日銀短観は、法人企業統計の内容と変わりはないとの見方が 多く、相場にとって中立要因。原油、インフレ加速による米国景気の先行き警 戒感は依然根強いが、日本株はアジア株が大幅安となる中でも相対的にしっか り。物価上昇に対する抵抗力があるとみられているためだ。投資テーマとして、 7月7日の洞爺湖サミットに向け、環境関連銘柄が盛り上がる可能性が高い」

--共同取材:長谷川 敏郎、常冨 浩太郎  Editor:Shintaro Inkyo

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